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懊悩の淵  作者: 粘土
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夏の唄

 君の事が好きだった。握り締めた手の温もりを、何時までも忘れられない。たとえ、君が忘れてしまっても。

 君に出逢って、愛おしいと思ってしまった。不覚ながら。そんな積りで遭いに行った訳じゃ無いんだけれども。

 海の色と、空の蒼。山の緑と、雲の白。知らず知らずに聴いていた、何処にでも居る蝉の声。

 豆茶と間違えて呑んだ千振せんぶりの苦さ。嗚呼、懐かしい。其処に、君は居た。何をするでも無く、其処に居た。其れが不思議な程に、とても、不思議な事に、心が安らいだ。

 君が好きだった。他の誰より。美しいと思った。大好きだったよ。


 他の誰より、君に見惚れていた。365分の一の出会い。適うなら、ずっと一緒に居たかったんだよ。

 君に出会って、全部気付いてしまったよ。哀しいけれど。そんな事になるなんて信じたく無かったんだ。

 季節の花と、日常と。要らないノートと、想いを募らせた幻に似た君の姿と、君の声。

 

 君に出逢って全部が変わった。色も、音も、匂いも、味も、感触さえも。……


 僕は、少しだけ笑った。変わったんじゃなくて、気付いたんだ。本当の感覚に。僕は嬉しく思った。何故なら……。


 其れを教えて呉れた少女は、今隣に居るからだ。



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