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懊悩の淵  作者: 粘土
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人の業

 知らぬ間に、追いやられていた。気が付いたら、酷い暮らしをしていた。酒でしか弛まない心と、薬でしか抑えられない脳。うにも成らぬさが。正直者で居る事が罪とされる世界。親切を馬鹿にされる社会。悩ましい毎日に生きる私は、果たして“生きて”いるのだろうか。そう、毎日葛藤に襲われる。次第に酒量は増え、薬も役に立たなくなって来た。死んでしまおうかと、何度思った事か。連れ合いも居ない。大切な人も居ない。友人すら居ない。労働の凡てが酒に成る。自由を謳う世の中は、其れにかせを付ける。孤独と云う枷を。畢竟、世にくみする者をのみ必要としているのだ。然し、気付いてしまった以上、肯定は出来ない。此の世界は狂っている。戦いでも無いのに人を殺して平気な面をしている。自身が理由も無く殺される事など想像もしていない。又、そんな事は無いと信じている。全く、馬鹿げている。心理学者なら、彼等を一刀両断するだろう。只、そんな暇は無い。だからして、見過ごされる。例えるなら、悪魔の様な連中が。犯罪史に名を残す様な輩を。私は心理学など爪の垢程しか学んでいない。然し、創った。自身の心理学を。名を付けるなら、経験心理学だ。詰まり、之まで私の経験した、或いは、間接的に知り得た情報を基にして構築した考え方だ。己惚れと云われても仕方が無いのは解っている。けれども、実に好く当たる。当たるのだ。姑息な学問で以って自身を誇張し、正当化する学生。特に、“好い大学”に在籍する若者達。勉学のみで人の道理を理解していない。倫理や道徳は二の次だ。本当は、そんな連中は手玉に獲り易い。心の隙間が大きいからだ。人生とは、心の遣り取りだ。従って、勉学にのみ視点を向けて来た者達など取るに足りない。たったの一手で看破出来る。全く以って可愛らしい馬鹿共だ。其れを指摘出来ない学者も又同じ事。就職の為に学問に励み、所謂親孝行の為に結婚をする。やがて、生まれた子供を自慢げに誇り、親に“孫”をプレゼントする。其の対価として、金銭や、資産を要求する。其れも又仕方無しと、財産を渡す親も間違い無く馬鹿だ。動物の中でそんな理屈を通しているのは人間だけだ。其処に矛盾を感じないのは、“たわけ”と云う言葉の意味を知らぬからだ。面倒なので、其処は説明しない。然し、疎まれるのは嫌なので、一字だけ著そう。たわけのたは、『田』だ。其れだけ解れば阿呆でも解るだろう。

 勉学に励むのは好いが、馬鹿な侭で大人に成るな。賢い事が利口で、判然はっきりと人と認識されるのは、好き勝手に創ったルールに基づいた、所謂、人の社会だけだ。終局を迎えれば、そんな身勝手な正義など通用しない。当たり前に気付け。

 私は冷遇されている。努力を認められない。まぁ、其れでも好い。酒を呑んで憂さ晴らしでもするさ。 


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