73 氷と炎の島編 part06(改行)
クリスタルを持って魔力を注ぐアリスとミクリ
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遺跡の大広間に辿り着いたアリスたちは、並び立つ石碑を一つ一つ調べていった。ノームがそこに刻まれた古代の文字と絵を、スラスラと読み解いていく。
ノーム:「この石碑に記された物語は、こうです。……かつて偉大なる魔法使いが氷と炎の力を操り、この島を二つの領域に分けた。北には氷を、南には炎を司らせ、その二つの力を調和させることで島のバランスを保っていた。しかし後継者たちが調和を維持できず、島は混乱に陥った……とあります」
フノン:「なるほど。村長の話と合わせると、歴史の裏付けが取れますね。失われた調和を、今ここで私たちが取り戻さなければならないというわけです」
広間の最奥には、さらに巨大な石の扉がそびえ立っていた。そこには氷と炎を象徴する複雑なルーンが刻まれている。
アリス:「よし! この扉を開けるよ! ミクリは氷の魔女フリーズから預かったクリスタルを。私は火の妖精フレアから預かったクリスタルを持って! 扉の前に立って、一気に魔力を流し込むよ!」
アリスとミクリが扉の前に立ち、それぞれのクリスタルに魔力を注ぐ。
氷の青い光と炎の赤い光が激しく交差し、扉の鍵となって魔法を解いていく。重低音とともに扉が開くと、その先には巨大な魔法陣が描かれた儀式の間が広がっていた。
アリス:「みんな、準備はいい? これからこの島の未来を賭けた儀式を始めるよ!」
アリスは部屋の中央、円形の紋様が描かれた場所へ向かった。中心には二つのクリスタルをはめ込むためのくぼみがある。
アリス:「えーっと、次はどうすればいいんだっけ?」
ディネ:「まずは氷のクリスタルをここ。その隣に火のクリスタルを置くのよ」
アリス:「はいはーい、置きました! 次は?」
ノーム:「僕の言う通りに呪文を唱えてください。……イーリス・エクス・フリガ・アンド・インフラム!」
アリス:「イーリス・エクス・フリガ・アンド・インフラム!」
アリスが声を張り上げると、二つのクリスタルが猛烈に輝き始めた。
氷からは極寒の冷気が、火からは灼熱の熱気が放出され、遺跡全体を包み込んでいく。壁の文字が光り出し、魔法陣全体が脈動を始めた。
ノーム:「アリス、最後の仕上げです!」
アリス:「ウニフィカ・フリガ・エ・インフラム!!」
その叫びとともに、遺跡が真っ白な光に包まれた。冷気と熱気は反発し合うのをやめ、一つの巨大な、それでいて穏やかなエネルギーへと融合していく。
アリス:「すごぉい……! 氷と炎が溶け合っていくのがわかるよ!」
その瞬間、島全体に劇的な変化が訪れた。
寒冷地帯の氷は適度に溶けて豊かな水源となり、火山地帯の猛火は大地を温める適度な活力へと変わる。歪んでいた島の生態系が、一瞬にして正しい姿へと書き換えられていったのだ。
儀式が完了し、眩い光が収まると、そこには穏やかな静寂が戻っていた。
アリス:「ふぅ……終わったぁ。みんな! ありがとう!」
ディネ:「まあ、今回は頑張った方かしら。褒めてあげるわ」
アリス:「えっ、ディネが褒めるなんて珍しい! 太陽が西から昇っちゃう!」
ディネ:「何を勘違いしてるの? 褒めたのはノームのことよ!」
アリス:「ノームのことかよ! まあ、罠を見つけたり解読したり、大活躍だったけどさぁ」
ノーム:「僕はやるべきことをやっただけだよ」
サラ:「僕も頑張ったもんね!」
ミクリ:「ああ、サラには助けられたよ。剣の威力が倍増した。ありがとうな」
サラ:「ふふん、当然だよ!」
メリッサ:「ふふふ、みなさんは本当に仲がよろしいのですね」
アリスたちは疲れ果てた体を休めるため、島の村へと戻ることにした。
アリス:「あー、疲れた! もうヘトヘトだよ!」
ミクリ:「今回は特に疲れたよ……。アリスと別行動だったからな。いつもアリスに頼りきりだったってことがよくわかったぜ」
アリス:「何それ、もっと言って! 録音したいくらい嬉しい!」
フノン:「そうですね。いつもアリス様がトドメを刺すのが当たり前だと思っていましたが、いないとあんなに苦労するとは。改めてその戦力に感謝です」
アリス:「えへへー。たまには別行動もいいよね! お互いの有り難みが分かって。……それにしてもミクリたち、そんなに寒かったの?」
ミクリ:「ああ、死ぬかと思った。アリスの方は火山で熱かったんだろ?」
アリス:「え? あー……まあ、熱かった……かな?」
フノン:「……? アリス様、なんだか歯切れが悪いですが。本当は熱くなかったのですか?」
アリス:「いやいや、熱かったよ! ほんとだよ! ただ、ディネが『魔法障壁を張って、中を冷却魔法で冷やせば?』って言うから、ずっと涼しかっただけで」
フノン:「……魔法障壁の中で冷却魔法。そんな贅沢な魔力の使い道を……」
ミクリ:「……コイツは魔力量が規格外だからな。真面目に寒さに耐えて進んだ俺たちがバカみたいじゃないか」
フノン:「本当に……損をしました。そうですよね、メリッサさんも!」
メリッサ:「あら、私はずっと快適でしたけれど?」
ミクリ、フノン:「えっ!!!!」
二人は絶句した。
涼しい顔をしていたメリッサも、ちゃっかり魔法でズルをしていたのだ。極寒の中、真面目に震えながら進んだのは自分たち二人だけだったという事実に、ミクリとフノンは膝から崩れ落ちた。
その後、村に辿り着いた一行を、村人たちは総出で温かく迎えた。
村は、雪景色の中に心地よい温泉が湧き出すという、不思議で美しい場所に生まれ変わっていた。
村長:「よくぞ、島を救ってくれました。あなた方のおかげで、再び調和が戻りました」
村長は暖炉の火を見つめながら、深く、深く感謝の意を示した。その夜、村では盛大な祝宴が開かれ、島中が笑顔と笑い声に包まれた。
翌朝、アリスたちは次なる目的地へ向かうため、村の広場に集まった。
アリス:「この島での経験は、私たちにとっても大きな財産になったよ。これからも、困っている人を助けるために旅を続けるからね。みんな、元気で!」
村人たちに見送られ、旅立ちの準備を整えたアリスのもとに、一人の使者が駆け寄ってきた。
「アリス様! あなた宛てに、一通の手紙が届いております!」
アリス:「私に? 誰からだろう?」
受け取った手紙には、これからの旅を大きく揺るがすような、意外な内容が記されていた――。
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一言:
儀式の成功、おめでとうございます!
アリスとメリッサが涼しい顔をして「ズル」をしていたことが発覚して、ミクリとフノンがショックを受けるシーンは、最高にコミカルで面白かったです(笑)。
最後の手紙が次の展開への良い引きになっていますね!




