生きていく未来と親友の絆
今日はルーカスが見舞いに来てくれる日だ。父達との関係も良好化し、体調も万全。兄や母とも最近よく話すし遊ぶ。家族団欒は俺が思っている以上に楽しくて幸せな時間だった。
ふと、温かな日差しが射す窓を眺めた。
ただ、誰にも言えてない事がある。
寿命だ。
最近外に出ないでベッドの上にいたら身体の変化に気づいた。
俺の魔力過度吸収体質を使い無理矢理魔力を吸収したせいだろうと考え魔力過度吸収体質について調べた。
そしたら驚くべき事が分かった。
なんと魔力過度吸収体質の人は平均寿命150年の半分くらいしか生きていないという。そして魔力をあり得ないくらい吸収するほど反動が強い。
それは寿命を削るという。俺は結構寿命が削れているだろう。
こんな親に不孝行な俺に寿命がないなど、天罰だろうか。また親に心配をかけてしまうし、親を長く支えることも出来ない。だから寿命は隠し通そう。I番良い決断でいちばん傷つかないだろう。
でも、俺はこれからどうすればいいのだろうか…
コンコン
「オーウェン様。ルーカス殿下が来られました。」
護衛からルーカスの来訪が告げられた。
「お通しください。」
ルーカスとは久々に会う。ルーカスは俺の初めての友達だと認識してから初めてだ。これからももっと仲良くしていきたいと心を弾ませながらルーカスを見た。俺は12歳のガキだから少し興奮するくらいはいいのだ。
「…オーウェン。」
入ってきたルーカスはおかしかった。無理矢理笑っている様な。変な空気を纏っている。やっぱり俺との関係を反対されたのだろうか?
ルーカスには申し訳ない。
「ルーカス?俺との関係をやっぱり反対された?」
俺が思い切って尋ねると目を見開き驚いた後弱々しく首を横に振った。
「団長のワイアットがオーウェンの剣を褒めていたよ。剣の才能があるって。」
ワイアット団長に褒められた。
その事実はとても嬉しかった。誰かに褒められるのは初めてなのだ。
俺は騎士団に入ろうかと考えながらルーカスをみた。俺との関係を反対されていないのになぜルーカスは暗い表情をしているのだろうか。しばらくルーカスの言葉を待っているとルーカスが決意をした様に顔を上げた。ルーカスの顔には悲痛と哀愁が漂っていた。
まるで俺を憐れむ様に。
「…オーウェン。聞いて欲しい事がある。」
震える声で俺に話しかけた。
「オーウェンの身体についてなんだけど、魔力を無理に詰め込みすぎたみたいで、あっ、その、ふぅ、じゅ、寿命が…」
ルーカスが話し出したのは俺の寿命の事だった。
なんだ。知っていたのか。
諦めの様な喜びの様な気持ちが溢れた。
寿命についてを自分で話す事がなくなったから嬉しかったのだろう。俺はつくづく愚かだと思う。
「ルーカス。知っていたよ。ルーカスも知っていたんだね。」
自分でもびっくりするくらい穏やかな声が出た。
ルーカスは目を見開いたあと、ジワリと涙を浮かべた。
「オーウェンッ。知ってたの?」
「うん。言わないつもりだったのだけど知られちゃったね。」
「つっ、おれはっ俺はオーウェンが助かる方法を探す。俺のせいでこうなってしまったのだから絶対に探す!いつでも寄り添うから、いつでも支えるから俺より先に死なせない!」
ルーカスは叫びながら俺を心配してくれた。ルーカスは罪悪感も抱えているのだろう。
そんな事しなくても心配してくれるだけで嬉しいのに。それに俺は死を怖くないし、恐れてない。そう恐れてなんか…
「ルーカス。ありがとう。でも俺は生きたいわけではないっ…」
ルーカスに話している途中視界がぼやけた。気付いたら止めどなく涙が流れてきた。
「つっ。こっこれは。」
「オーウェン。生きよう。一緒に生きよう。オーウェンはやりたい事あるでしょ?やろうよそれを。ね?俺が支えるからオーウェンも俺を支えて?一緒に生きよう。生きたいでしょ?」
ルーカスに言われた。
親に迷惑がかかるから。兄様がいるから。
生きなくても良い。俺は生きなくてもいい。でも、でもでもやっぱり俺は生きたいっ…
「ゔん。行きたいよルーカス。剣をしてみたい。魔法を使ってみたい。騎士団に所属したい。ルーカスと話したい。友達が欲しい。いっぱい色んなことをしたいのっ。望んじゃダメなのに望んじゃうのルーカスっ。」
「うん。望んで良いよ。いや、望め。第二王子ルーカス・ヴィルディストがそれを許そう。ね。」
ルーカスが抱き寄せてきた。暖かい体温に囲まれながら俺は幸せと死への恐怖を噛み締めた。幸せを感じるほど死への恐怖は強くなる。分かっていても俺は幸せをルーカスと追う方を選んだ。




