終わらない不幸と絶望(ルーカスside)
オーウェンが俺を庇って竜に殺されそうになった時俺は無我夢中で竜の目を見つめた。そして自分の眼に魔力を込めた。必死に死ねと竜に願った。そしたらいつのまにか血塗れの竜の死体があった。
「ル、ルーカス?」
オーウェンが竜の血で紅く染まりながら俺を見つめて呼んだ。困惑と恐怖、疲れの入り混じった表情を見るととても愛おしく思えた。
この子が俺の親友なのだと。そしたら死んでほしくなくて堪らなくて、消えてしまわない様抱きしめながら話した。それに俺と家族の関係を変えてくれたきっかけはオーウェンだ。オーウェンにも幸せになって欲しい。そう思ったのだ。
オーウェンは家族で話して誤解が解けたと父から聞いた。俺自身もあの後父とたくさん話した。そして、父と仲良くなった。父がめちゃくちゃ俺の部屋に遊びに来る様になった。これは誤算。仲良くなったルイス兄様も沢山遊びに来るがこれはいい。弟のカルネリアスも遊びに来るがそれもいい。父上はやめて欲しい。
だが、家族との関わりをこんなにも楽しく悩める日が来るなど考えてもいなかった。
オーウェンに見舞いのお土産を持って行こうと王宮の魔法庭園に行くと丁度団長のワイアットとワイアットと同じくらいの年齢の青年が会話をしていた。ジェルディア公爵家の家紋入りの洋服を着ている為ジェルディア家のものだろう。
ワイアットには謝罪をしたが改めて謝罪をしようと近くによった。
それが間違えだったかどうかはわからない。
「スティーブ久しぶりだな。元気そうで何より。」
「ワイアットこそ元気そうで何より。それよりありがとな。」
「俺はオーウェン様に剣を渡しただけだぜ。しかしやっぱりオーウェン様は剣の固有スキルでも持ってんのか?めちゃくちゃ剣の才能あるぞ。」
「さぁ?でもオーウェン様は天才肌だからね!」
「お前はオーウェン様好きだなぁ。」
「そりゃあオーウェン様をちっちゃい頃から知ってるからな。それにあの体質と固有スキルだし。苦しいのを分かっていても俺はどうすることもできなかったから。」
「最後、竜に亀裂を入れたのは俺だが殆どがルーカス様の力だ。オーウェン様はルーカス様に大切に思われてるぞ。」
「でもオーウェン様を救ってくれてありがと。」
!
竜を倒すのを団長が援護していたのか?!
道理で簡単に倒せた訳だ。
「でも、オーウェン様大丈夫かなぁ?」
「…寿命の事ですか?」
「あぁ。魔力過度吸収体質の人は普通の寿命150年のうち半分くらいしか生きた記録がない。それなのに魔力をあり得ないくらい大量に詰め込んだから身体は相当負担がかかっているぞ。」
嘘だ。ありえない。
オーウェンはやっと幸せになれたというのに
やっと楽しくなったのに
「ワイアットは大丈夫?」
「俺はまだ大丈夫だ。スティーブよりは早く死ぬかもしれないがな。」
「二人で最年少記録を塗り替えた仲間だし、親友だ。生き延びる方法は公爵家で考えてる。共同開発だ。死ぬまで付き合うさ。」
「ありがとうスティーブ。だが、それよりもお宅のオーウェン様だぜぇ?」
「何がだ?」
「オーウェン様、今回の一件で相当寿命が散ったぞ。30から40くらいまでしかいまのとこ生きられないぞ。」
「うそだ、そんな…。」
俺はそれ以上二人の会話を聞いていられなかった。
自室に入り悶々と何日も考えているとオーウェンの見舞いの日になった。
話すべきか話さないべきかどうしよう。
俺は何をすればいいのだろう…?
澄んだ青空を眺めながら視界が歪んでいくのを耐えた。




