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記憶を読む治療士、魔獣の家族を視てしまう --人間と魔獣の境界で揺れる青年の物語  作者: 50
揺らぎ始める世界の正義

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第14話 敗戦の手前

ハルが前へ出て、

兄ボアとゴブリン長の視線を遮った。


「……おいおい、ヒーラーが出てくるなや」


ゴブリン長の目が、

弓師からハルへと切り替わる。


兄ボアが走り、

その背でゴブリン長が槍を構える。


「来る……!」


槍が振り下ろされる。


ガンッ!


ハルはメイスで逸らし、

足を滑らせるように横へ跳ぶ。


すぐに二撃目。


ガンッ!


火花が散る。


(押される……!)


後方では、

片膝の弓師が必死に射線を維持し、

剣士がその前に立って守っている。


盗賊はナイフを投げ尽くし、

今は位置取りで牽制するしかない。


冒険者側の戦線は、

二か所で崩れかけていた。


「時間稼いで策はあるのか?」


ゴブリン長が笑い、槍を構え直す。


(戻れば……弓師を治せる。

 でも、戻った瞬間に……)


ハルは歯を食いしばる。


前に出れば、

ゴブリン長の攻撃を止められる。

後ろに戻れば、 仲間を治せる。


 (どうする…)


「逃げて……! この状況をギルドに伝えて!」

弓師が短く叫ぶ


しかし

そもそも逃げられる状況ではない


兄ボアが走る。

ゴブリン長が槍を構える。

弓師が血を流しながら矢を放つ。


崩壊は刻一刻と迫っていた

その時ハルは賭けに出る

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