第12話 交戦
ハルたち第二偵察隊は散開し、
迫る魔獣たちの動きを警戒していた。
「なぜボアとゴブリンが連携してやがる……!」
仲間の叫びが、緊張をさらに高める。
ボアたちは決して距離を詰めない。
森の中を大きく円を描くように走り、
その背のゴブリンたちが弓を構える。
ヒュッ!
矢が木の幹に突き刺さり、
乾いた音が響く。
「ダメだ、距離を詰められない!」
***
ゴブリン長は兄ボアの背で周囲を見渡し、
すぐにハルを見つけた。
「……回復役がいるな。
あれは邪魔だ」
ゴブリン長は兄ボアの肩を軽く叩き、合図を送る。
兄ボアが方向を変え、距離を詰める。
その背で、ゴブリン長が槍を構えた。
「楽しませてくれよ、人間」
槍が突き出される。
ガンッ!
ハルはメイスで槍を逸らし、
横へ跳んで距離を取る。
(重い……!)
兄ボアはすぐに方向転換し、
再び距離を広げて走り出す。
その背のゴブリンが、
すかさず矢を放つ。
ヒュッ!
「くっ……!」
ハルは木の影に飛び込み、
矢をギリギリで避けた。
「ハル、退け! スイッチしろ!」
仲間の声が飛ぶ。
ハルは息を整え、
再び兄ボアとゴブリン長と対峙する。
ゴブリン長が低く笑い、
槍を肩の高さで構え直した。
「次はどう受ける?」
兄ボアが一歩だけ踏み込み、
その勢いを利用してゴブリン長が槍を横薙ぎに振る。
風を裂く音がした。
「っ……!」
ハルは足を滑らせるように半歩下がり、
槍の軌道を読み切ってメイスを合わせた。
ガンッ!
槍の刃が弾かれ、火花が散る。
ゴブリン長は舌打ちし、
間髪入れずに二撃目を突き込んできた。
ハルは歯を食いしばり、
迫る槍を再びメイスで逸らした。
ガンッ!
火花が散る。
***
その瞬間――
「うっ……!」
後方で仲間の悲鳴が上がった。
振り返ると、
弓師の太ももに矢が突き刺さっていた。
均衡が、
一気に傾いた。




