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記憶を読む治療士、魔獣の家族を視てしまう --人間と魔獣の境界で揺れる青年の物語  作者: 50
揺らぎ始める世界の正義

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第12話 交戦

ハルたち第二偵察隊は散開し、

迫る魔獣たちの動きを警戒していた。


「なぜボアとゴブリンが連携してやがる……!」


仲間の叫びが、緊張をさらに高める。


ボアたちは決して距離を詰めない。

森の中を大きく円を描くように走り、

その背のゴブリンたちが弓を構える。


ヒュッ!


矢が木の幹に突き刺さり、

乾いた音が響く。


「ダメだ、距離を詰められない!」


***


ゴブリン長は兄ボアの背で周囲を見渡し、

すぐにハルを見つけた。


「……回復役がいるな。

 あれは邪魔だ」


ゴブリン長は兄ボアの肩を軽く叩き、合図を送る。


兄ボアが方向を変え、距離を詰める。


その背で、ゴブリン長が槍を構えた。


「楽しませてくれよ、人間」


槍が突き出される。


ガンッ!


ハルはメイスで槍を逸らし、

横へ跳んで距離を取る。


(重い……!)


兄ボアはすぐに方向転換し、

再び距離を広げて走り出す。


その背のゴブリンが、

すかさず矢を放つ。


ヒュッ!


「くっ……!」


ハルは木の影に飛び込み、

矢をギリギリで避けた。


「ハル、退け! スイッチしろ!」


仲間の声が飛ぶ。

ハルは息を整え、

再び兄ボアとゴブリン長と対峙する。


ゴブリン長が低く笑い、

槍を肩の高さで構え直した。


「次はどう受ける?」


兄ボアが一歩だけ踏み込み、

その勢いを利用してゴブリン長が槍を横薙ぎに振る。


風を裂く音がした。


「っ……!」


ハルは足を滑らせるように半歩下がり、

槍の軌道を読み切ってメイスを合わせた。


ガンッ!


槍の刃が弾かれ、火花が散る。


ゴブリン長は舌打ちし、

間髪入れずに二撃目を突き込んできた。


ハルは歯を食いしばり、

迫る槍を再びメイスで逸らした。


ガンッ!


火花が散る。


***


その瞬間――


「うっ……!」


後方で仲間の悲鳴が上がった。


振り返ると、

弓師の太ももに矢が突き刺さっていた。


均衡が、

一気に傾いた。


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