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姉妹?


王都を出て直ぐに着替えて髪型も変えたのに、向こうも私に気付いてくれた。それにしても…


「あなた、何故ここに?」


「こちらの台詞だ。俺は仲間と合流する為に来た」


仲間と合流…彼は冒険者なのだろうか。それより自分がなぜ神国に居るのか話す訳にはいかないのに…聞かなければよかった。


「私は……その…」


「言いたくないなら構わない、それじゃあな」


私がもごついていると彼はあっさりとそう言って先へ行こうとしたので正直驚いた。詮索などはせず、興味がまるで無い様子だ。


「えっ、あのっ」

「ん?」

「礼も言わずにごめんなさい。ありがとう、あの時は助かったわ」

「ああ、気にするな」

「ねえ、どうして逃がしてくれたの」

「君は悪い人間ではないと思った」

「それだけ?」

「ああ」


そんな漠然とした理由で逃がしてくれたのか…見極める能力は多少あるようだが、ここまでの人は流石に見たことがないな。


「…変わった人ね」

「よく言われる」

「名前、聞いてもいいかしら」

「冒険者のミウだ」

「私は元王国騎士のフィリパ」

「そうか」

「会えて良かったわ、お礼が言えたから」

「義理堅いんだな」

「…そうでもないわよ」


「ねぇ~ミウ〜」

「わかったわかった。それじゃあなフィリパ」


連れの女の子が待ちくたびれた様子でミウに訴えている、申し訳ないことをしたな。


「ええ。待たせてごめんなさいね、あなた達の冒険の無事を祈るわ」


「ありがとな」

「ありがとでした」


女の子は変わった礼を言ってちょこんと頭を下げた。


「ふふ、良い仲間ね」


「ああ」


そうして2人は宿のある方へ歩いていき、私は町を出た。


見晴らしの良い草原に到着し、目当ての植物を探して回った。


睡眠の取り過ぎで完全に身体が鈍っている…私は剣で素振りしたり跳ねたり走ったりと息を切らすくらい動いた。本当は模擬戦でもしたいところだが…もう相手は居ない。


あれから鉄鋼魔法の練習もしたが相変わらず適応が難しく、自らを負傷させてしまう。まあ幾分かマシにはなっている気はするが…魔術の得意なソティリスに稽古をつけてもらえたら、なんて隙あらば頭に隊員の名前が浮かんでくる。その度に孤独を味わう羽目になる…時間を掛ければ慣れるのだろうか。…そんな甘いことを考えている様では先には進めないな。


クエストを完了させて報酬を受け取った。その際、改めて自分は冒険者なんだと自覚した。


さて、ぼちぼち情報収集を開始するか。とは言えここは神国、なるべく目立たないように人探しを行うには…取り敢えず人の集まる場所に向かおう。


町の市場に来た私は何となく売っていた果物や野菜を眺めていた。見たことない物もあり、色とりどりで見てて飽きない…などと考えながら歩いていると衝撃的な人名が耳に入ってきた。


「カレンちゃん、これおまけね!」

「ありがとうおばさんっ」

「シンくんにもよろしくね」

「うんっ」


カレン…?


今、確かにカレンと呼んでいた。


しかしどう見ても別人、10歳くらいの少女だ……でも、どことなく似ている。その時、カレンが妹と弟の話をよくしていたことを思い出した。


私達を裏切ったカレンは聖騎士で、神国に同じ名前の少女が居る…偶然とは思えない。私は慎重にカレンと呼ばれる少女の跡をつけた。


すると少女は一軒の民家に入っていった、自宅だろうか。どうしよう…流石に窓から覗いたり壁に耳を着けて盗聴してるのを誰かに見られたらまずい。危険過ぎる…しかしどうにか探りを入れないと何も始まらない。


私は決心し、市場に戻って茶菓子を買ってから再び少女の家に来た。


そして大きく深呼吸をし、しっかり心を落ち着かせてから扉を叩いた。


コンコンコン。


「はーいっ」 ガチャ。

「え…」

「どなたですか?」


ちょっとこの子、いきなり扉を開けるなんて不用心じゃないの。


「ゴホン、私はフィリパ。あなたのお姉さんの仲間…」

「フィ、フィリパさんっ!?お姉ちゃんから聞いてますっ!」

「そ、そう…」

「はいっ、とっても素敵な先輩がいるってお姉ちゃん帰ってくるたびに話してました!」

「そ、そうなの」

「はいっ」


カレンと呼ばれる少女は目を輝かせて顔を近付けてきた。眩しいくらいに明るい笑顔だ。


…それにしても自分の読みが当たって良かった、やはりこの子はカレンの妹…でもどういうこと?同じ名前の姉妹なんて有り得ない…となると私の知ってるカレンは偽名を使っていた可能性がある。まあ王国騎士団に潜入していたのだから当たり前と言えば当たり前か…。


「お姉ちゃんが言ってた通りです。フィリパさん美人…」


そう言ってカレンの妹は私をまじまじと見てうっとりしている。さて、どうしたものか…カレンの情報を聞き出すにはこれは難儀な状況だ。ってあれ、そういえば他の家族は居ないのだろうか?


「これよかったら皆さんで食べて」


私は買っておいた茶菓子の入った紙袋を差し出した。


…やはり駄目だ、気分が乗らない…今日のところは帰ろう。

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