表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
心金を打つ ー 。  作者: 此花 陽


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
5/20

2二、 「色欲」の温もりという名の毒


金を手に入れた若者が次に求めたのは、孤独を埋める「体温」だった。

欲望が蒸気のように立ち込める歓楽街。そこで彼は、妖艶な歌姫・リリスと出会う。


「あなたは、とても寂しい目をしている。まるで、折れた刀を隠し持っているみたいに」


リリスの指先が彼の頬を撫でる。それは父の厳しい愛とも、弟の純粋な憧憬とも違う、甘く、すべてを溶かすような誘惑だった。

若者は、第三の大罪**「色欲」**に溺れた。


彼女と過ごす夜、彼はすべてを忘れることができた。友を救えなかった無力感も、親を裏切った罪悪感も、そして自分が今、泥の中で金を稼いでいる現実さえも。


「もう、旅なんてやめればいいじゃない。ここで私と一緒に、ずっと心地よい夢を見ていましょうよ」


リリスの囁きは、かつて父が言った「おれの言うことだけ聞いていればいい」という言葉の、官能的な変奏曲だった。

変化することをやめ、思考を止め、ただ快楽という名の「停滞」に身を任せる。これは、肉体的な快楽以上に、**「精神的な怠惰」**への誘いだった。


若者の身体はなまり、かつての鋭い身のこなしは消え、眼光は濁った。彼の刀は錆びつき、鞘から抜かれることすらなくなった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ