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2二、 「色欲」の温もりという名の毒
金を手に入れた若者が次に求めたのは、孤独を埋める「体温」だった。
欲望が蒸気のように立ち込める歓楽街。そこで彼は、妖艶な歌姫・リリスと出会う。
「あなたは、とても寂しい目をしている。まるで、折れた刀を隠し持っているみたいに」
リリスの指先が彼の頬を撫でる。それは父の厳しい愛とも、弟の純粋な憧憬とも違う、甘く、すべてを溶かすような誘惑だった。
若者は、第三の大罪**「色欲」**に溺れた。
彼女と過ごす夜、彼はすべてを忘れることができた。友を救えなかった無力感も、親を裏切った罪悪感も、そして自分が今、泥の中で金を稼いでいる現実さえも。
「もう、旅なんてやめればいいじゃない。ここで私と一緒に、ずっと心地よい夢を見ていましょうよ」
リリスの囁きは、かつて父が言った「おれの言うことだけ聞いていればいい」という言葉の、官能的な変奏曲だった。
変化することをやめ、思考を止め、ただ快楽という名の「停滞」に身を任せる。これは、肉体的な快楽以上に、**「精神的な怠惰」**への誘いだった。
若者の身体はなまり、かつての鋭い身のこなしは消え、眼光は濁った。彼の刀は錆びつき、鞘から抜かれることすらなくなった。




