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4二、 悲しみを「粘り」に変える
ある夜、主人公は炉の火を見つめながら、亡き友・カイトのことを想っていた。
自分を逃がすために盾となり、命を落とした友。その死を想うたび、胸を刺すのは「怒り」ではなく、底知れない「悲しみ」だった。
「悲しいか」
いつの間にか背後に立っていた師匠が、静かに問うた。
「……はい。私がもっと強ければ、彼は死なずに済んだ」
「その悲しみを、決して忘れるな。だが、それに溺れるな。鋼は、硬すぎれば折れる。だが、炭素という不純物を適度に取り込み、何度も折り返すことで、粘り強さを得る。『悲しみ』こそが、お前の刀の粘り(心金)になる。」
師匠は、一本の未完成の刀を主人公に手渡した。
「いいか。本当の知性とは、傷つかない方法を知ることではない。傷ついた後に、どう立ち上がるかを知ることだ。本当の品性とは、汚れを避けることではない。泥の中にいながら、一筋の光を見失わないことだ」
主人公は、刀を握り締めた。
その掌に伝わる鉄の冷たさは、かつて親から与えられた美刀とは全く違っていた。重く、無骨で、そして生きている者の体温を吸い込むような、飢えた鉄の感覚。




