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4一、 泥のなかの「静寂」
第4章:名もなき鋼、再誕の炎
「立て。食う前に、一万回、この槌を振れ」
師匠の教えは、あまりに簡潔で、あまりに苛烈だった。
小屋に運び込まれてから一ヶ月。傷が癒えぬうちから、主人公は重い槌を振らされた。知性で理解する余地などない。ただ肉体を極限まで追い込み、思考を停止させる。
「師匠、こんなことに何の意味があるのですか。私は、あの男を殺すための剣技を学びたいのだ!」
怒りと焦燥をぶつける主人公に、師匠は一瞥もくれず、真っ赤に焼けた鉄を叩きながら言った。
「技など、後からついてくる。今のお前の心には、親への恨み、友への未練、そして自分への憐れみが混ざり合っている。そんな『不純物』だらけの鉄に、何を教えてもすぐに折れる」
師匠が求めたのは、知識の集積ではなく、余計な自意識を削ぎ落とす**「剥離」**だった。
主人公は、日に日に痩せ細り、手の平は血と豆で潰れた。だが、不思議なことに、槌を振り続けるうちに、耳の奥で鳴り止まなかった「父の声」が、次第に遠のいていくのを感じていた。
「おれの言うことだけ聞いていればいい」
かつての呪縛。それを、一打ちごとに火花として散らしていく。




