表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界先生 ~転生して塾を開いたら、世界を変えてしまう!?~  作者: きりたちのぼる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
31/33

【ep.7】葛藤する先生 3.そして事件は起きる

 長谷川にとってやるせない出来事が続いたある日、事件は起きた。


 その日は授業が無かったブリュナとミラ、ユイの三人で最寄りの町、フォルナに買い物に出かけた日だった。


 成長した生徒たちは、これまでもアルやセリフィエル、時にはブロムなんかの用事に同行して、町に繰り出すことがあった。


 そして今回は慣れたこともあり、生徒だけで初めての買い物だった。

 出発の時も三人はとても浮かれていた。


 そして――



「先生! 本当にごめんなさい、本当に……!」


 息を切らして塾に駆け込んできたミラとブリュナだったが、ユイの姿は無かった。


「とにかく落ち着こう」


 長谷川は冷静に努めたが、嫌な予感しかしなかった。


 気配を察したソフィアが水を持って駆けつけた。

 ブリュナは口も付けずに泣いていた。


「ミラ、どうしたんだ? ユイは……?」


「私が……私が目を離した隙に……」


 ふたりが町の雑貨屋に目を奪われていたら、いつの間にかユイがいなくなっていた。

 

 そして彼女が立っていた場所には、ブロムと一緒に授業でクラフトしたお気に入りの巾着が落ちていたと、長谷川とソフィアに差し出した。


(完全に甘かった……)

 ヒヤリとしたあと、途端にやり場のない怒りが彼を責め立てた。


 三年前、相談役の男の招かざる来訪が頭をよぎった。


「すまないミラ、君はブロムを呼んできてもらえるかい? いつも彼が素材採取している小川の辺りにいるはずだ」


 ミラはすぐに頷き、教室を飛び出した。


 長谷川は泣いているブリュナを不安そうに介抱するソフィアに任せ、庭先の広場で授業をしていたアルを呼びに行った。



 面々はすぐに集まった。授業をしていたアル、レグにテッサ、それにブロムが加わった。

 事情を伝えると、みんなの視線が自然と長谷川に集まった。


 彼は口を開いた。


「今から町に行く」


「ふむ……しかしまだ誘拐されたとも限らんじゃろ」

 即断した長谷川にブロムは冷静に答えた。


「行くにしたって、まずは村の自警団なり、町の衛兵なりに相談してじゃな……」


 ダンッ!


「そんな時間はないんだっ!」


 机を右手で強打し、初めて声を荒げる長谷川の姿に、みんなが激しく驚いた。

 それでブリュナがまた泣き出し、ミラも怯えていた。


「すまない……でも……アル、君なら想像つくんじゃないか?」


 一同がアルを見ると、彼は真一文字に口を結んだまま少し頷いた。

 肯定していた。


 それで長谷川の迷いも消えた。


「アル、すまないがこれから俺と一緒に町に向かって欲しい。ブロム……今回はユイの事情もあって自警団や衛兵は恐らく頼れない……君には念のため、塾に残ってソフィや生徒たちと一緒にいてもらえないか」


「もちろんお供します」

「あい分かった。しかしお主も無茶はするなよ」


 ふたりともすぐに快諾した。すると、


「先生! 僕も行きます!」

「私も!」


 レグにテッサが迷わず続いた。


 しかし――


「それはダメだ! ふたりもここに残って欲しい……」


「いえ、いくらアルがいても、ふたりでは厳しい。それに町中でユイちゃんを探すなら人手は必要です! 何かあれば僕らも動けます!」


 レグの言い分はもっともだった。テッサも目で訴える。


「ダメだ! ここは大人に任せるんだ!」

「しかし!」


「ダメだと言ったらダメなんだっ!!」


 食い下がるレグに長谷川はまたも声を荒げた。


「……わかりました」


 レグはうなだれた。

 テッサは長谷川の声に気圧されてか、怯えたようにも見えた。


 ふぅぅ――


「何度もすまん……みんな、塾を頼む」


 そう言って彼はソフィアと目を合わせた。

 彼女も少しだけ頷いた。真剣だった。


 長谷川は素早く納屋に向かった。


 ブロムに作ってもらっていた質素なショートソードを腰に下げ、脇に置いていたレザープレートを纏った。


 その頃にはアルも控えめだが意匠の凝った自前の剣を腰に下げていた。

 


 ふたりが塾を出た頃には、すでに夕日も西に沈み始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ