【ep.6】実感する先生 2.体の変化-2
長谷川自身は容姿に変化を感じていなかった。
元の世界の人生の先輩たちが口々に語っていた、“三十代後半に差し掛かったら老いを受け入れたくない病”が発動されているのかとも考えた。
しかし実際のところは以前にソフィアが言っていた【老化しないギフト】の影響の方がありそうだが、さすがに五年程度ではまだ確信に至っていない。
一方、“自分も強くならねば”と言う目標に対しては、地道な鍛錬も実を結び、その体幹は二十代の感覚でいた。
そしてアルには到底及びはしないが、彼曰く、
「ここまでの動きを身に付けられたのは驚きです。正直その辺の剣士程度でしたら互角以上には渡り合えるかと」
と、剣術の稽古でお墨を貰っていた。
自身では体つきや感覚的なことしか分からず、比較もできない長谷川にとって、この世界の実力者からの客観的評価は有難いことだった。
「これは【マルチタレント】のお陰でもあるのかな?」
しかしリヴァ誘拐未遂の事件以降、彼の中でまだまだ力不足感は拭えなかった。
(所詮、異世界から来た俺は剣や魔法に関してもともとど素人だ。【スキル】の力があるとしたってあっさり強くなれるわけもない。それに、この五年で不思議で強力な力の存在をいくつも目の当たりにした、むしろまだまだだろう……)
そんな焦燥感もあった。
それでも魔法に関しては光明があった。
それは召喚獣【ロビン】を今では幼体でも成体でも意のままに呼び出せるようになったからだった。
指導役のセリフィエルには、【精霊魔法】であれば精霊との“結びつき”が大切……とアドバイスされた。
ロビンとは日頃寝食も共にし、お手やお座りの練習かのように試行錯誤しながら訓練し、その成果だった。
「ちなみに、おそらく幼体も成体もその基本的な強さは召喚者の強さに影響を受けると思うわ。何らかの【スキル】も所持しているでしょうが、それこそさらに訓練を重ねて解明なさい! “結びつき”に加え、“イメージ”ね」
「それだけかっ?」
「仕方ないわ! ロビンみたいな召喚獣は初めてなの。エルフなら喜んで研究するわ」
と、成体状態で狼のようになっていたロビンのもふもふに、新しいおもちゃを買ってもらった子供のように、瞳を輝かせて抱きつきながら言った。
ロビンははぁはぁしながらお座りし、尻尾をぶんぶん振っていた。
(そりゃぁエルフは長命だし、そんな時間もたっぷりあるよな……)
と、それは口にせず、最初に成体化……【進化】を見たあのときよりも一回り大きくなっていたロビンを見ながら、長谷川は確かな頼もしさも感じていた。
それからしばらくして、セリフィエルやリヴァを伴って、ロビンの経験値稼ぎにと、近所の森でイノシシに似た魔物、【ボア】なんかの狩りに行く日ができた。
食材の調達にも丁度良かった。




