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異世界先生 ~転生して塾を開いたら、世界を変えてしまう!?~  作者: きりたちのぼる


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【ep.5】鍛える先生 1.授業を強化する

 レグが加わり生徒は六人、講師も気が付けば三人になっていた。三人の講師には授業の時間割を組み、可能な範囲で協力してもらった。


 最初の講師となったブロムは博識を活かした【雑学】を担当してもらい、フィールドワークなんかもしてもらった。


 【雑学】はこの村の住人なら誰にでも役立つ農業的な知識から、実生活に根付く理科に近い内容が多かった。


 フィールドワークはブリュナの【クラフト魔法】の勉強にも役に立つと、時折ブロムがその腕を披露した。


 ユイもこの授業が気に入ったようで、長谷川も生徒として一緒に参加し、時に一緒に驚いたりして楽しんだ。



 【世界史】【魔法】などをセリフィエルにお願いした。


 エルフの寿命に加え、且つ旅慣れた彼女が見聞きした経験は誰にとっても聞くに新しい驚きばかりで、【世界史】は人気授業の一つになった。

 長谷川にとってもおおいに役に立った。


 尚、【魔法】についてはやはり得手不得手があり、ユイとヴェラは未だ入門編、マナを手のひらに宿すところからだが、ブリュナ、そして意外にもテッサが頑張り、小粒なマナを手のひらに現した。


 彼女はリヴァに負けたくないと、【魔法適正】の高いリヴァに食い下がっていた。



 そしてアル、彼は【護身術】を受け持った。


 予想外だったのが、寡黙だがアルの指導の丁寧さだった。

 生徒各個人に合わせた、基礎体力作りなんかを何も言わずに授業に取り入れ、さながらジムのトレーナーのようでもあった。


 そして授業の中では【剣術】もあり、お手本はレグだった。彼はもともと稽古を付けられていたらしく、現時点でも素人の動きではなかった。


 長谷川自身もレグと一緒に剣術の稽古ができるよう、訓練メニューを作ってもらい、直線的な強さを実感できる入口に立てた。




「いよいよ塾らしくなってきた感じがするな」


「次、先生の授業ですね! 楽しみです!」


 手応えを感じ始めていた長谷川に、熱い眼差しを向ける新人レグが声を掛けた。


 長谷川はこれまでの流れで【国語】、算数を改め【算術】を教え、新たに【社会】を加えた。


 【社会】は言ってみれば新卒研修のようだった。


 メモの取り方や様ざまな考え方、チームワークや報連相の大切さなどを簡単な事例なども交えて説明した。

 各講師の授業内容で得た気付きなんかも取り入れ、かみ砕き、この世界で生きるための術として教えた。


「先生! 報連相が重要なことは理解できます。しかし、どのような事柄や内容が、その報連相の対象と考えれば良いでしょうか!」


(なんで十一歳が新卒あるあるの質問を!?)


「レグ、良い質問だね。これは大人でも判断が難しいことだから、あくまで先生の解釈として聞いてくれ。」


 レグはノートとペンを構えた。


「結論から言えば、何を報告・連絡・相談するとか、その対象をはっきりさせることは重要じゃない。それよりも、それをしなかったらどうなるか、困らないか、その先を想像することがまず大事なんだ。例えば今日の【社会】の授業、実は中止だってことを知らされずにいたら、みんなは塾に来てしまうだろ? そうしたらレグはどうだ?」


「そうですね……予定が狂ってしまう……そして相手にも迷惑をかける……なるほど!」

(早いなっ!)


「そ、その通りだな。そう、もう一つ大事なのはそれだ。自分だけでなく、相手の立場で考えることだ。で、普段からお互いに大事なことは何かを確認しておけば、自ずと何を報連相すべきか見えてくるのさ。まぁそれでも、なかなか難しいけどな」


 長谷川がぽりぽりと頭を掻くと、レグは腕を組んで深く頷いていた。その時周りに目をやると、それぞれ面白い反応だった。


 ユイやブリュナは口をあけ、ミラはかろうじてノートに何か書いていた。


 リヴァについてはそんなの当たり前と言わんばかり、何故か偉そうに腕を組んでいた。


 テッサはどこか遠くを見ていたが、ヴェラは既に眠っていた。



 それにしてもこのレグはとにかくそつがなく、【護身術】はもちろん文武両道と言ったところだった。


 もともと読み書きや、数字を使った簡単な計算を理解していたので【国語】【算術】には何の問題も無かった。

 コツと要領さえ得られれば、基本はおろか応用までこなしてみせた。


 例えば掛け算九九。


 ひとり先んじて要領良く覚えたかと思えば、九九どころか二十の段まで、きっといずれ役に立つからと自主的に覚えてしまった。


 また彼は数字の仕組みに注目し、このあと教えようと考えていた割り算の法則まで自力で辿り着いてしまったほどだ。


 一を聞いて十を知る。


 長谷川の元居た世界では小学六年生程度だったレグだが、この世界の教育レベルを考えれば、まさに麒麟児、神童ぶりを発揮していた。



 しかしそんな彼でもこの【社会】の授業だけは、時折机に方肘をつき、おでこを抑えて悩んでみたり、時に感銘したりと表情豊かだった。


(うーん、そんなに深イイ話はしてないと思うんだが……まぁ最初の印象通り、とてもまじめで……そして真っ直ぐなやつなんだな)


 ある意味驚きと感心しかなかった。


 そうかと思えば長谷川の【社会】をちょくちょくさぼるテッサとヴェラには、レグを見習わせたいと思ったりもしていた。


(まぁ自由参加だから良いんだが……)



 それにしても、塾として動き出してから、生徒たちの変化や成長はもちろん、講師たちの笑顔まで見られるようになったことが、彼はこの上なく嬉しかった。

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