第13章6
超、久しぶりの更新です。
キールについての報告に訪れたシドが、ゼロから事の詳細を耳にしたのは正午過ぎの事だった。
「何だって? なら婚約者は、お前だったって事か!?」
「そうだ」
「良かったじゃないか!!」
声を弾ませ、肩を勢いよく叩きながら満面の笑みを浮かべるシドの姿は、心の底から親友の変化を喜んでくれている様子が伺える。
「あぁ……。基本的にはな」
だが、そんなシドに対するゼロの反応は、何処か含みのあるものだった。
ゼロの態度に、少しの違和感を覚えると、まじまじとその姿を覗き込む。
「どうした? 何か引っかかる言い回しだなぁ」
「……あいつの、私個人に対する感情は、どうやら私が抱いているものより、かなりの差があるようだ」
「はあ? 何処がだっ!?」
……呆れてものが言えないとは正にこの事で、どう捉えればそのような考えに陥るのかシドには全くもって理解出来ない。
二人はとても親密で、はたから見ていてもお互いかなり惚れあっているようにしか感じられない。
「分らんが、どうやらそう言う事らしい……。だが、もう別にそれは構わん。他の奴に奪われる事がないのなら、今はそれだけで良い。私は何時まででも待つ。そう決めた」
「何だよ、それ。お前らしく無いな。本当にそれで良いのかよ」
「良くは無いな。しかし、あいつが俺に対し義務的な感情しか持ち合わせていないと分かった以上、無理強いはしたくない。ハッキリ言って理性が何処まで保てるか自信はない。だが、嫌われて離れて行かれるよりはずっとマシだ。だから我慢する」
ゼロの自覚の無さについては、シドはずっとこんな奴だし如何しようも無いと思って来たが、己の感情に気付いてからはかなりの変化も見られていたし、きっと今度こそ上手くいくに違いないと思っていた。
あの娘は、利害性を求めることなくゼロをずっと特別視していた。
それに間違いなく、あの執着ぶりは恋する乙女そのものだった。
だが……。
そう思い、考えていた時にハッとする。
《もしかして、あの娘も、今なお自分の気持ちに気付いて無いという事は!? 》
純粋培養された希少価値のような娘だ。
ある意味それはありえるかもしれないと思いはじめると、いくら考えても今度はそうとしか思えなくなって来る。
「お前も苦労するな……」
「まぁな」
自嘲気味に微笑む友人の姿に、シドはただ苦笑いをおくる事しか出来なかった。
「実は、もう一つ話さなければならない事がある。婚約の件はあいつの運命における過程にすぎない。こちらの方が最重要事項だ。今ハビロードとブレインを呼び寄せている。フリードルが戻り次第詳しく話す事にする」
二人は共にブラックナイト創設メンバーで、現在重要となる拠点の支団長を任せており組織内でも重鎮とされる立場だ。
ゼロが組織を纏めて行く上で欠く事の出来ない人材と言っても過言ではなく、その二人をわざわざ呼び寄せると言う事は、例の決行の日が近いと言う事を伺わせた。
「いよいよなのか!?」
「今はまだ、勝手には何も言えん。あいつにも二人がどれだけ信頼のおける者達かを分かってもらって……、話はそれからだ」
ゼロは自身が玉座に就く事が決定ならば、周りに置く重臣は本当に信頼できる者達で固めたいと思っている。
我王の政権下に組した人材などに用は無い。
前王に対する忠誠心だけで我王に就いている者もいるだろうが、その者達が現段階でどれだけ信頼出来る人物かも分らない。
とりあえず、その者達の事は関知せず最初は進めて行くべきだと考えていた。
キールの中の調査も終わり、ライサンドに加担した者達は近いうちに一掃されるはずだ。一先ず観察処分になるだろうが、今バラサインに居る者達だけでも実に16名もの名が上がっている。
それに今フリードルが追っているソイドと仲間の連中が加わるとなると、総勢50名の集団の中で、実に4割に近い者達がライサンドに加担していたと言う事実にゼロは驚かされた。
ライサンドの勢力を抑え込むには、やはり叔父と協力する以外の道がない事を再認識する。
じきにニックとランドンも報告に訪れるだろう。
後はフリードルを待つしかないが、あれから何の連絡も無いままだ。
何かあったのか!?
余程の事が無い限りそれは考え難かったが、何れにしてもそろそろ報告があっても良い頃だとゼロは睨んでいた。
随分とご無沙汰しています。
父が亡くなってから、色々と周りの環境も変わりバタバタしていて随分とご無沙汰してしまいました。
超スローではありますが、執筆の方もゆっくりですが再開しています。
また宜しくお願い致します。
次話は近日中に公開予定です。




