Ep.23 おまけの2人
1話完結
たぶん、神様ってのはいるんだと思う。
そしてその神様は、俺にすっげー意地悪で、俺がよからぬことを考えると罰を与えるんだ。
寝ているるりの頬に、キスをした。
まさか、その現場を坂本先生に目撃されてしまうとは……!
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おまけの2人
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中曽根 悠:
(いやでも、こっちも弱味は握ってるし!)
坂本先生が篠田先生と付き合っているとは知らなかった。
夏休み中だからって、油断したのだろう。
下校中の俺らに、抱き合っているところを見られてんだから。
戸田 るり:
「ひゃあ~。なんか、すごいの見ちゃったねぇ」
門を出たら、隣で歩いていたるりがのん気にそう言った。
戸田 るり:
「あの2人ができてるって、みんな知ってるのかなぁ」
その言葉に俺はドキッとする。
中曽根 悠:
「るり、言いふらすなよ」
戸田 るり:
「言いふらさないよー」
そう言いつつも、るりはニマニマしている。
うう、どうして女ってやつは、こうも人の色恋沙汰が好きなんだ!?
決して、るりや他の奴に知られたくない秘密を人質にされている俺は、もう一度るりに念を押した。
中曽根 悠:
「絶対だからな!」
戸田 るり:
「う、うん」
頭に「?」を浮かべてそうなるりは、戸惑いながらもうなずいてくれる。
ホッとした俺は、そんな彼女の横顔をちらりと見た。
視線の先には、柔らかそうな桃みたいなほっぺ。
いや、柔らかそうじゃなくて。
柔らかいことを、俺は知っている。
中曽根 悠:
「……っ」
ダメだダメだ!
変に意識してるとバレちまう。
何にしても、あれはあんなところで寝ていたるりが悪い。
寝顔をさらすなんて、無防備にもほどがある。
だから俺は悪くない。
うん、悪くないよな。
1人うなずく俺を、隣のるりは首をかしげて見つめていた。
・ ・ ・
戸田 るり:
(変な悠)
やたら私に念を押す悠。
そんなに私、言いふらしそうに見えるのかな? 失礼しちゃう。
とは思いつつも、さっき見た篠田先生と坂本先生のラブシーンを思い出して、ドキドキしてしまう。
抱き合う2人はまるで、ドラマや恋愛漫画の登場人物みたいだった。
戸田 るり:
(今度、篠田先生に詳しく聞いちゃおうっと)
告白のきっかけをくれて、恋愛相談にも乗ってもらっている篠田先生とは仲が良い。
また部活がある日に聞きに行っちゃおうかな、なんて考える。
そうしてふと、隣の悠を見る。
なぜだか今日の悠は、そわそわしているみたいで落ち着いてない。
いつもなら帰り道の途中で手をつないでくれるのに、それもない。
変なの。
戸田 るり:
(……ていうか)
戸田 るり:
(いっつも悠から、だもんね)
手をつないでくれるのは、いつも彼から。
つい恥ずかしがってしまう私から手をつなぐことは、あまりなかった。
それも何だかなぁ、と思う。
ちゃんと思っていることを伝えることは大切と、篠田先生は教えてくれた。
私は勇気を出して、彼の手を自分からつないでみた。
中曽根 悠:
「え!」
戸田 るり:
「!?」
予想外の反応に、びっくりする。
悠なら驚きつつも笑ってくれると思ったのに、思いのほか慌てている。
そ、そんなに私からつなぐのって驚くこと?
戸田 るり:
「……えっと」
戸田 るり:
「……ダメ?」
つい、気弱になって言ってしまう。
ちらりと横を向けば、悠が顔を赤くして恥ずかしがっていた。
めずらしい。
いつもこっちが恥ずかしくなることを、平気でする悠なのに。
中曽根 悠:
「……ダメじゃねーけど」
そう言って悠は、きゅっと手を握り返してくれた。
良かった、と安心していたら。
彼はもう片方のつないでない手を、私の顔に寄せた。
戸田 るり:
(……え!?)
頬に手を添えられ──次の瞬間。
ぐにっ。
戸田 るり:
「ふにっ!?」
ほっぺたをつねられた。
軽くだけど。
戸田 るり:
「何するのー!?」
中曽根 悠:
「べっつにー」
べぇ、と意地悪そうに悠は舌を出して顔をそむけた。
一体急に何なの!
今日の悠は本当に、わけがわかんない。
あーあ、こんなんじゃ篠田先生たちみたいな素敵な雰囲気は、まだまだ遠そう。
なんて憤慨しつつも、握った手はしっかりと離さない私なのだった。
◇ 終わり ◇
❀次エピソードへ続く




