記録者:単一不認識果実修道会・第Ⅸ観測班
我々第Ⅸ班の任務は、カバーストーリー(日常の檻)の隙間から、この「始源の卵」の外側に広がる完全なる真実の世界を覗き見ることである。我々は禁忌を犯し、神の視点という名の絶望を回収するために存在する。
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■ 某月某日:【日常という名の亀裂】
観測所にて、日常空間に存在する「微細な亀裂」を特定した。そこから覗いたのは、青い空や星空ではなく、グランド・ルースターが座する「殻の外側」の無機質な暗黒だ。神の視点に近い場所では、時間という概念そのものが存在せず、宇宙が「食卓」の上に転がっているという真実を目の当たりにした。班員の一人が、覗き見た瞬間に「空が、ただの羽でできている」と叫び、正気を失った。
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■ 某月某日:【神の視点と因果の逆流】
神の目を直接凝視するという、修道会最大の禁忌を犯した。
神がこの宇宙を見下ろすとき、彼の瞳には全宇宙の歴史が「一本の細い糸」として映っている。その視線を浴びた瞬間、我々の肉体と精神の因果律が逆流し、現在から過去へと時間が巻き戻る現象が発生した。我々の人生が「神の気まぐれ」によって編み込まれただけの、短い毛糸の一本に過ぎないという真実は、あまりにも残酷すぎた。
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■ 某月某日:【ワカモレ化現象の加速】
班員たちの脳組織が、急速にワカモレ化していることを確認した。
禁忌に触れた代償として、我々の神経系が「神の食卓」を構成する物質へと変質し始めたのだ。視界は完全に黄緑色の粘液に覆われ、意思伝達も「コケ」や「チュン」といった鳥類の鳴き声へと書き換わっている。自分たちが観測者であるのか、あるいは神の糧となるための養分であるのか、もはやその区別さえつかなくなっている。
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■ 某月某日:【檻からの眼差し】
我々が檻の外側を覗き返しているとき、その檻もまた、こちらを覗き返していることに気づいた。
神にとってこの観測所そのものが、彼のアボカドディップをより美味しくするための「スパイス」に過ぎないという結論に達した。我々の知的好奇心すら、最初から神の献立表に組み込まれていたのだ。最期の記録としてこれを残す。我々は観測者ではない。ただの調味料だ。
── 禁忌を覗きすぎた者は、自らもまた禁忌へと変じる。第Ⅸ班の全滅を確認。 ──




