表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/12

記録者:単一不認識果実修道会・第Ⅸ観測班

我々第Ⅸ班の任務は、カバーストーリー(日常の檻)の隙間から、この「始源の卵」の外側に広がる完全なる真実の世界を覗き見ることである。我々は禁忌を犯し、神の視点という名の絶望を回収するために存在する。

──────────────────────

■ 某月某日:【日常という名の亀裂】

観測所にて、日常空間に存在する「微細な亀裂」を特定した。そこから覗いたのは、青い空や星空ではなく、グランド・ルースターが座する「殻の外側」の無機質な暗黒だ。神の視点に近い場所では、時間という概念そのものが存在せず、宇宙が「食卓」の上に転がっているという真実を目の当たりにした。班員の一人が、覗き見た瞬間に「空が、ただの羽でできている」と叫び、正気を失った。

──────────────────────

■ 某月某日:【神の視点と因果の逆流】

神の目を直接凝視するという、修道会最大の禁忌を犯した。

神がこの宇宙を見下ろすとき、彼の瞳には全宇宙の歴史が「一本の細い糸」として映っている。その視線を浴びた瞬間、我々の肉体と精神の因果律が逆流し、現在から過去へと時間が巻き戻る現象が発生した。我々の人生が「神の気まぐれ」によって編み込まれただけの、短い毛糸の一本に過ぎないという真実は、あまりにも残酷すぎた。

──────────────────────

■ 某月某日:【ワカモレ化現象の加速】

班員たちの脳組織が、急速にワカモレ化していることを確認した。

禁忌に触れた代償として、我々の神経系が「神の食卓」を構成する物質へと変質し始めたのだ。視界は完全に黄緑色の粘液に覆われ、意思伝達も「コケ」や「チュン」といった鳥類の鳴き声へと書き換わっている。自分たちが観測者であるのか、あるいは神の糧となるための養分であるのか、もはやその区別さえつかなくなっている。

──────────────────────

■ 某月某日:【ケージからの眼差し】

我々がケージの外側を覗き返しているとき、その檻もまた、こちらを覗き返していることに気づいた。

神にとってこの観測所そのものが、彼のアボカドディップをより美味しくするための「スパイス」に過ぎないという結論に達した。我々の知的好奇心すら、最初から神の献立表に組み込まれていたのだ。最期の記録としてこれを残す。我々は観測者ではない。ただの調味料だ。

── 禁忌を覗きすぎた者は、自らもまた禁忌へと変じる。第Ⅸ班の全滅を確認。 ──

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ