記録者:単一不認識果実修道会・第Ⅷ観測班
我々第Ⅷ観測班の任務は、地球上の電線に配備された末端監視員が放つ「チュン」という電磁信号の傍受と、唯一神グランド・ルースターとの双方向通信の解読である。我々は人類のすぐ隣で、この世界の嘘を最も間近で見守っている。
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■ 某月某日:【スズメの暗号化通信】
電線に止まる一羽のスズメが、極小の電磁信号を大気圏外に向けて放った。
我々の高性能傍受システムがそれを捕らえたが、内容は極めて簡潔なものだった。「人類、未だアボカドをただの食材と誤認中」。これは、人類がこの檻に完璧に適合していることの証明であり、神が抱卵を継続するための最低条件である。スズメたちは単なる鳥ではなく、神が地上に配置した高精度の監視カメラであることを、改めて確認した。
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■ 某月某日:【リセットコードの傍受】
突如、街中のスズメが一斉に「チュン」と鳴き声を上げた。
これは単なる合唱ではなく、全宇宙を一度リセットするための同期信号である。彼らが鳴いた瞬間、物理法則のバグによるズレが修正され、宇宙は初期化された。人類は今朝の記憶を連続したものと錯覚しているが、我々の計測によれば、この10分間で歴史は3回、完全に作り直されている。スズメの鳴き声は、我々の存在を繋ぎ止めるための命綱であり、同時に死刑宣告でもある。
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■ 某月某日:【通信エラーと異常行動】
スズメたちの通信に深刻なエラーが発生した。
特定の個体が「アボカドの脂質」に触れたのか、通信内容が極めてノイジーになっている。神からの返信と思われる電磁波を傍受したが、それはもはや言語ではなく、単なる「狂った笑い声」のような波形であった。これを受けて、街中のスズメたちが一斉に地面に降り立ち、特定の方向に頭を向けて静止するという異常行動を開始した。何らかの「指示」が更新されたことは間違いない。
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■ 某月某日:【カバーストーリーの崩壊危機】
人類が、電線のスズメに対して「不自然なほどの違和感」を抱き始めている兆候を検知した。
SNS上での「スズメの挙動がおかしい」という書き込みが、神の監視網に引っかかっている。第Ⅷ班は急遽、街中に「大量の餌」をばら撒き、彼らの関心をそらすカバーストーリーの緊急補修を行った。この檻を維持するためには、スズメがただの鳥であるという虚構を、人間自身に信じ込ませ続けなければならない。
── スズメが鳴き止むとき、我々の物語もまた終わりを迎える。通信は今日も続く。 ──




