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記録者:単一不認識果実修道会・第Ⅹ観測班

我々第Ⅹ班の任務は、他班(特に全滅した第Ⅸ班)の遺品整理、および地上のスーパー・コンビニにおける「アボカド特売情報」の操作を通じた、カバーストーリー(偽りの日常)の完全定着である。我々が守っているのは世界の真実ではなく、人々が狂わずに明日を迎えるための「無知という名の幸福」である。

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■ 某月某日:【第Ⅸ班の遺品整理】

第Ⅸ班の観測所跡地を処理した。残されていたのは、数玉の熟したアボカドと、大量のニワトリの羽、そして血痕の混じったワカモレの山だけだった。彼らが残した「檻もまたこちらを覗き返している」というメモをシュレッダーにかけ、汚染された床を完全に洗浄した。狂気は伝染する。我々は彼らの顛末を記録に残さず、ただの「事故」として処理した。

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■ 某月某日:【日常の偽装と特売情報の操作】

地上の消費行動をコントロールし、カバーストーリーを補強した。近隣のスーパーの店長に働きかけ、アボカドを特売価格で大量に陳列させる。人々が何の疑いもなくそれを手に取り、食卓へ並べる姿を確認するたび、この世界の安全が保たれていることを実感する。アボカドが消費されることは、この「始源の卵」において、神がまだハッチングを急いでいないという何よりの平和の証拠だ。

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■ 某月某日:【第Ⅹ班の最大の危機】

班員の一人が、修道会最大の禁忌思想――「我々が管理しているこのアボカドは、本当にただの果物なのではないか?」という正気に触れ、失踪した。世界の真実を知りながら、地上のスーパーでチラシを配るという矛盾に耐えきれなくなったのだろう。この虚無感は、我々が守り続けている「偽りの日常」が、実は我々自身を最も深く蝕んでいることを示している。

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■ 某月某日:【神の抱卵と静寂】

グランド・ルースターは、今日も翼の下に頭を埋めて眠り(抱卵モード)についている。世界は静かだ。我々第Ⅹ班は、今日も何事もなかったかのように、人々の「偽りの日常」を補完し続ける。神が卵を突くその時まで、この「静寂という名の檻」を、誰にも壊させはしない。

── 観測を継続する。次の「カツン」という音が、世界の終わりで鳴るまでは。 ──

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