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記録者:単一不認識果実修道会・第Ⅲ観測班

我々第Ⅲ班の任務は、唯一神グランド・ルースターの頭頂部に生える「多重トサカ」の挙動監視である。彼がトサカを震わせるたびに、我々の宇宙の並行世界は生成され、そして粉砕される。これは、神のかゆみと並行世界の消滅に関する記録である。

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■ 某月某日:【トサカの微震】

グランド・ルースターが右側のトサカを軽く震わせた。

このわずかな震えに呼応し、地球上では数千万の「もしも」が分岐した。「もしもあの時、あの道を選んでいたら」という人類の微かな後悔が、確率の海となって膨張する。

しかし、神がトサカの根本を爪で軽く弾いた瞬間、それらの分岐した世界線はすべて「ノイズ」として処理され、砂嵐の中へと飲み込まれた。今朝の通勤電車で見かけたあの男の「別の人生」も、今、この瞬間に消滅した。

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■ 某月某日:【爪によるスクラッチ・プロトコル】

神がトサカの根本に、強烈な「かゆみ」を感じたらしい。鋭利な爪がトサカを激しく掻きむしる(スクラッチ行為)。

このわずか数秒の行動で、我々の観測している因果律の海において、約4万通りの「人類が平和的にアボカドの真実を悟る世界線」が、物理的に引き裂かれて消滅した。人類の幸福な未来を決定づけるはずの分岐点が、神のかゆみの代償として切り捨てられた事実に、班員たちは言葉を失っている。

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■ 某月某日:【トサカの色変いろへんと歴史の書き換え】

神が退屈したのか、トサカの色を「鮮やかな赤」から「不吉な黒」へと変色させた。この変色に伴い、世界全域の歴史アーカイブに「大規模な改竄」が発生する。

人類が数千年以上かけて積み上げてきた「聖なる記録」の一部が、神の気まぐれな色の変化により、別の歴史へと強制的に書き換えられた。昨日の晩飯の献立すら覚えていない人類には気づく由もないが、我々が管理していた因果の帳簿は、またしても帳尻が合わなくなっている。

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■ 某月某日:【深淵からの掻き音】

トサカの奥深く、神の精神の核に触れる部分から、不気味な「ゴリゴリ」という音が響いた。彼が自分のトサカを剥ぎ取ろうとでもしているかのような、暴力的な掻き音だ。

この音の共鳴により、我々の観測所のモニターに映し出されていた「全並行世界のマップ」が、一瞬にして黄緑色の砂嵐に染まった。現在、観測可能な世界線は、神が現在抱卵しているこの「偽りの日常ケージ」のみ。他のすべての可能性が、今、神の爪の下で物理的にすり潰されたことを意味している。

── 班員の精神状態が限界に近い。次のトサカの動きを観測できるか、保証はできない。 ──

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