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記録者:単一不認識果実修道会・第Ⅱ観測班

我々第Ⅱ観測班の任務は、唯一神グランド・ルースターの「食事」および「体内エネルギー代謝」が、我々の生きる殻内宇宙の物理法則に与える影響を追跡することである。神が飢え、神が満たされるとき、歴史はどのように歪むのか。その不条理な記録である。

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■ 某月某日:【おやつとブラックホールの真実】

グランド・ルースターが、宇宙の遥か彼方、おとめ座銀河団の周辺に向けてクチバシを突き出し、何かを激しく「ついばんだ」。

地上の天体望遠鏡が捉えた最新データによれば、その領域にあったはずの数千の恒星系が一瞬で消失したという。

天化学界は「超大質量ブラックホールによる急激な時空の吸い込み現象」と論文を実しやかに発表しているが、笑わせないでほしい。

正体は、ただの彼の「おやつ(星間物質のつまみ食い)」である。

彼の胃袋(砂嚢)へと送られた星々は、宇宙の因果律を内側からゴリゴリとすり潰すための「砂」として機能する。

彼が健康に飯を食うだけで、我々の銀河系全体の座標が数光年単位でズラされているのだ。

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■ 某月某日:【神の排泄と超新星バースト】

宇宙の地平線の彼方から、凄まじい高エネルギーの電磁波バースト(ガンマ線バースト)が列島を直撃した。

近代科学のケージ(日常の檻)に閉じこもった学者たちは、「巨大質量の恒星が寿命を迎え、崩壊した際の一時的な大爆発」と定義して思考を停止させている。

だが、第Ⅱ班の因果律スキャナーが弾き出した結論は、あまりにも残酷な排泄の記録だった。

要するに、グランド・ルースターが「ふん」をしたのだ。

神の代謝によって生じた超高濃度のカルシウムとアミノ酸の結晶が、次元の壁を突き破ってエネルギーとして放出されたに過ぎない。

その聖なる老廃物の余波で、地球の並行世界線が2つほど、跡形もなく燃え尽きて砂嵐へと還った。

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■ 某月某日:【絶対不認識特異点への拒食】

第Ⅶ班から「アボカドの種の自転が停止した」との緊急報を受け、我々も深層エネルギーの観測に合流した。

グランド・ルースターの巨大な眼球が、虚空に漂う緑の脂質塊――アボカドの種をじっと見つめている。

彼がクチバシをあと数ミリ近づければ、すべてを濃厚なワカモレへとディップできる距離だ。

しかし、彼は決してそれを口にしようとはしない。

神々すら窒息させるアボカドの脂質は、唯一神の胃袋(砂嚢)のシステムをもってしても消化しきれない、この宇宙最大の「異物」なのだ。

彼が首を傾げ、不気味なほどの静寂の中で果実を睨みつけている間、全宇宙の重力定数がほんの少しだけ狂い、地球の株価が謎の暴落を見せた。

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■ 某月某日:【雀の朝砂による胃休め】

極東の島国(日本)にて、スズメたちが一斉に砂浴び(雀の朝砂)を開始した。

これに呼応するように、グランド・ルースターの胃壁の震動がピタリと収まる。

「チュン」

電線の観測者が放ったリセットコードが全宇宙に響き渡り、世界が一瞬だけザーッと完全な砂嵐(虚無)に反転。そして、何事もなかったかのように再構築された。

彼が星々を貪り食うことで荒れ狂っていた宇宙の消化不良(カルマの蓄積)は、スズメの一鳴きによってすべて「なかったこと」にリセットされたのだ。

人類は今朝も通勤電車に揺られている。自分たちの肉体を構成するアミノ酸が、今さっき神の胃袋の手前で一から再構成されたばかりだとも知らずに。

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■ 某月某日:【ディナータイムの咆哮】

グランド・ルースターが、大きく息を吸い込んだ。

そのクチバシの隙間から、数千光年分の星の光が吸い込まれ、絶対の論理が反転していく。

来る。胃袋が満たされ、あるいは激しく飢えた際の、あの全宇宙規模の強制覚醒イベントが。

「コケコッケーーーーーーーーーーーーッ!!」

聖なる咆哮が、世界を激しくシェイクする。

歴史の逆因果ベクトルが激流となり、近代史の独裁者たちも、現代のサラリーマンも、この声の前ではただのケージの中の雛として平伏すしかない。

宇宙の卵の殻に、ピキリと新しい亀裂が走った。

彼がすべてを食い尽くし、完全なるハッチング(孵化)を迎えるディナーの時間は、そう遠くない。

── 第Ⅱ班の観測ログは、神の満腹の吐息とともにここで途絶えている。 ──

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