第60話 サハギン
カグヤにヴェロニカが仲間になったことを報告する。
魔王との契約で攻撃してきただけなので、扱いとしては傭兵みたいなものとなり、攻撃は罪にはならないらしい。
感情的なものはさておき、法律がそうならそうなのだろう。
原因の一因がアルに有ることだし、俺はじつに居心地が悪かった。
「実は、オータの街は近くの湖に生息するサハギンとも抗争状態にあります」
カグヤからそう言われたが、サハギンが何だか知らない。
「アル、サハギンってなんだ?」
「赤い鱗の魚人モビ。セクトごとにまとまって、アジトを作って集団生活を送っているモビ。違うセクトのサハギンとは仲が悪いモビ。独自の文字を持っていて、知能は高いモビ。よく似ているけど、黒い鱗はウハギンっていうモビ。こちらとも仲が悪いモビ」
「部族じゃなくてセクトっていうのか。じゃあ、族長じゃなくてセクト長がまとめているのか?」
「セクトは集団指導体制モビ。他の種族だと、長老にあたるポジションが、だいたい三人でセクトを率いているモビ」
「湖はペレス湖といいまして、その名に因んで、この地域のサハギンのことをペレストロイカと呼んでおります」
とカグヤ。
「抗争状態っていうけど、少し待っていれば、内部崩壊しそうな名前だな」
「そうならよいがのう。やつら、鉄のカーテンと呼ばれる特殊な盾を装備しており、戦うとなると厄介なのじゃ」
「盾はアルミに限るモビ」
「特にジュラルミンがいいのじゃ」
「矢でも鉄砲でも持って来いモビ」
「弾丸はジュラルミンの盾を貫通するけどな」
中途半端なアニメや漫画の知識で異世界無双を夢見るアルとヴェロニカを窘める。
「そんな夢の無いことを言っているから、この作品が怨念の濃縮されたヘドロみたいになるモビ。もっと他の毒気の抜けた小説みたいにしてほしいモビ」
「いや、こういう方が書いていて楽しいだろ!」
「そうなのじゃ。規制を気にしてあく抜きしたような、ゆるーいハーレム小説書くよりも、禁忌に触れるようなエロスを所望するのじゃ」
「そうだよ。そういうのが書きたいんだ。人が性的に興奮するのは禁忌とされるものが穢される時。近親相姦だったり、清楚な宗教関連の女性だったり、先生、看護婦、既婚者等々。しかし、そんな欲求をぶつけた作品を書いたらBANされちゃうだろ」
「一度されているモビね」
「おいおい、知らない人が聞いたら本当だと思うじゃねえか」
「知ってる人はまたかと思うのじゃ」
「柳家小さんか!」
俺たちのやり取りを聞いて、カグヤはあきれ顔である。
「あの、この人たち。いつも脱線してませんか」
「病人が一人ふえたようじゃのう」
「諦めて」
デーボとサクラは諦めた様子であった。
「さて、話を元に戻そうか。俺たちはサハギンを倒せばいいのか?」
「そうしていただけるとありがたいのです。サハギンは魔王軍の手先。それが近くにアジトを作っているので危険なのです」
カグヤの言葉にふと疑問がわく。
「それと俺たちに何の関係が?」
「聖女様に困りごとを相談したところ、あなた方を好きに使ってよいとおっしゃいました。国への報告で便宜を図ると言えば、わかってくれるだろうと」
お尋ね者である俺たちだ。
ソアラが見たと言えば追手が派遣されるだろう。
しかし、そんな報告を無しにしようというわけだ。悪くはない。
ただ働きではあるが。
「実にいやらしいところをついてくるな。ただ働きというのがちょっと残念だが、提示された条件は魅力的だ」
「ああ、報酬ならば指名依頼ということにしましょうか」
「いいのか?」
「はい。ただ、この国の冒険者ギルドは他国とちょっと違うので、この国でもう一度ランクを登録してもらう必要があります」
「ランク?」
「はい。最初は一番下のffからとなりますが」
「Fランクよりも下なのか。でも、異世界ファンタジーっぽくなってきたな」
「胸の熱いたぎりモビ。拳を固めるモビ」
「激しくたかぶるな」
その時部屋のドアが開く。
ソアラだった。
「今更失うものなど、何もないあなた達だけど、悪くない話でしょう?」
「愛と勇気だけが友達モビ」
「いや、そこは『愛がすべてさ』だろ」
「今からヘルハウンドを倒しに行くモビ」
「バウンドドックでしょ」
「俺たちはエゥーゴか!っていうか、俺たちを利用するなよ」
「あら、困っている人を助けるのは聖女の役目よ。それに、あなたたちの方にもメリットはあるじゃない」
策士っぽい笑みを浮かべるソアラ。
反論できない。これがごまめの歯ぎしりというやつか。
「ちょっと待つモビ。聖女にはなんのメリットもないモビ。きっと裏では毎年美少年を生贄としてささげるとか要求しているはずモビ」
「なんてことだ。オータ警察に電話しないと。お巡りさん、この人です」
「駄目モビ。オータ警察に見知らぬ白い車が止まっていて、警察に通報したけど、大して相手にされなかったモビ。足利事件でえん罪作っていたのは隣の県警かもしれないけど、オータ警察がもう少し真剣に動いていれば、犯人逮捕とその後の事件は無かったかもしれないモビ」
「ついでに言うと、通報した人の従兄弟が足利事件の菅谷さんの弁護人を務めていたんだよな」
「ネットで検索すると名前が出てくるから、この話はそこまでモビ」
※この物語はフィクションであり、実在する人物・団体とは一切関係ありません
品質管理とは関係ないけど、最後のところはどこかに書いておきたかったので。




