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勇者と聖女の召喚に巻き込まれた品質管理のおっさんなんだが  作者: 工程能力1.33
1章

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第59話 過去の恨み

 前回のあらすじ。幽玄道士のセリフや、片岡鶴太郎の近藤正臣のものまねをサラッとぶっこんでくる自称女子大生。そんな奴は絶対にいない。本当に女子大生なのか怪しいが、コンプライアンスの関係で、それを訊くことは許されなかった。


「久しいな、アルミラージ」


 ヴァンパイアがアルに話しかける。


「知り合いか?」

「記憶にないモビ」


 アルの角が左右に揺れる。


「我の存在を忘れたというのか!」

「おい、アル。ちょっと怒っているぞ」

「えん罪モビ」

「えん罪なものか。300年前、儀式で使用するアルミの剣を食べて立ち去った恨み。今こそ晴らしてくれる!!」


 具体的な内容が出てきた。

 俺はアルの頭をぺちぺちと叩く。


「ほら、思い出せ」

「ああ、思い出したモビ。真祖ヴェロニカ。美味しそうなアルミの剣を持っていると聞いて、ごちそうしてもらいに行ったモビ。そんなに美味しくなかったけど」

「ふざけるな!あの剣を作るためのアルミをどれだけの時間をかけて集めたと思っているんだ!!!」


 忘れていたが、この世界でアルミは貴重。苦労してあつめたアルミで作った剣を、このうさぎに食べられたとあっては、それは怒りもするだろう。


「なるほど。お前が恨んでいるのはこの駄兎のみ。ならば、ここに置いていくので、心ゆくまでいたぶってくれ。俺たちは無関係だ」

「酷いモビ。仲間モビ。由紀恵くらいの仲間モビ」

「由紀恵は関係ないだろ」


 俺がヴェロニカに差し出そうとするが、アルが必死に抵抗する。


「ちょっと、話し合いの最中にも、こっちはキョンシー退治してるんですけど」


 ソアラから苦情が入る。


「そうだ。攻撃の手を止めてくれ。俺たちは無関係」


 そう言ったが、ヴェロニカは鋭い犬歯を見せて笑う。


「それは出来ない。我は魔王からアルミを融通してもらう代わりに、手先となって人間と戦うという契約をした」

「なんだってΩΩΩ」

「Ωは不要モビ」

「緊張感に欠けるわね」


 ごめん。


 俺は青少年健全育成条例に抵触しそうな外見のヴェロニカの方を向く。


「アルミなら、俺が望むだけ与えよう。だから、魔王との契約は破棄してくれないか」

「何?」

「アルトはアルミを自由に作り出すスキルを持っているモビ。アルも毎日お腹いっぱいアルミを食べているモビ」

「本当か?」

「ああ」


 俺は不良にまつわるエトセトラでアルミ合金を作り出した。


「ほら、これでいいか?」


 近くにいたキョンシーに渡すと、キョンシーはヴェロニカのもとへと跳ねていく。

 手に取って確認するヴェロニカ。


「本物だな」

「だろう。これで信じてくれたか?」

「うむ」


 頷いたヴェロニカだったが、何かを考え込んでいる。


「まだ何か?」

「うむ。実はヒヒイロカネも探しているのじゃが――」

「やっぱり馬呑吐じゃない」

「語尾にアルってつけるモビ」

「君たちは黙ってて」


 脱線する二人を注意した。


「残念ながらそれは持ってない。っていうか、ヒヒイロカネなんてあるの?」

「あるモビ」

「当然じゃ。では我はおぬしらについていくのじゃ」


 突然のじゃロリと化したヴェロニカが仲間に加わった。


「お前は由紀恵じゃないモビ」

「由紀恵とは何じゃ。我はヴェロニカ――」


 さっそく喧嘩が始まった……




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