↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/100

復活のハル

 ベッドに横たわる少年。気持ちよく寝ているところに差し込んでくる光。目覚めには最適な日光だ。


「うーん……」


「起きなさい。ハル、朝ごはん」


「……ふわぁ……朝? ごはん?」


「わざわざ起こしてあげたんだから。まったく。十七歳にもなって朝寝坊なんてだらしない」


「十七歳? 何を言ってるんだ?」


「母さんがボケたとでも言いたげねぇ? 十六も十七も変わらないから安心しな」


「……俺がボケてるのか!?」


 グイッと頬をつねてみる。痛い。どうやら夢ではないと理解したハル。それよりも驚いたことがあった。


「……身体がある! ……生きてる!?」


 洗面所に駆け込み鏡を見る。そこに映るのは紛れもなくハルの姿であった。暫く鏡を見つめていると、後ろからポンッと叩かれた。


「自分の顔を見ながらニヤニヤしない。あんた、そこまで自意識過剰だった? 取り敢えず食べちゃいなさい」


「分かった」


 促されテーブルに着く。母親と祖母と食事を共にする。この世界に来てからの日常である。黙々と朝食を食べていると、母親がポツリと訊いてくる。


「半年間の一人旅はどうだったわけ?」


「どうもこうもないよ。ゆっくり羽を伸ばしていたさ」


(半年も経っているのか)


「ふぅん。で、羽を伸ばし過ぎた結果、家の前で伸びていたわけね」


「はは……ははは」


(駄目だ、まったく記憶にないぞ!?)


「ま、その様子だと心配は要らないね。早速だけど、薪割りしてもらおうか」


「帰って早々かよ!」


「充分に羽を伸ばしてきたんでしょ? だったら手伝いなさいよ」


「しゃーないな」


※ ※ ※


 朝食を終えたハルは、斧を握り締めて薪割りに勤しんでいた。小気味良く斧を振り下ろしていく。


「まだ必要か?」


「少し多めにお願い。ダンさん、腰を痛めちゃってさ」


「へいへい。しかしまあ、俺が帰ってこなかったらどうするつもりだったんだ?」


「母さんがやったでしょうね。これでも薪割りするし」


「タイミング最悪だったなあ」


「グッドタイミングだったよ。帰ってきてくれて安心してるんだから」


「へえ。それは意外」


「そういえばあんた、ルキちゃんに連絡はしていたの?」


「なんで?」


「何度も訪ねて来たからね。『帰ってきたら教えてください』って。とても心配していたよ」


「そうだったのか……」


 半年間も会えていない今、きっと心も変わっているだろうと考える。ルキに会いに行けば迷惑になるだろうと思った。


「……最後に来たのは?」


「昨日だよ」


「はあ!?」


 母親からの思わぬ言葉に耳を疑った。あまりの驚きに薪割りの手を止めてしまう程だ。


「薪割りを終えたら会ってきなさい。あんないい娘、そうそう逢えるもんじゃないよ」


「ああ。そんなことは百も承知だ!」


 止めていた手を再び動かしていく。逸る気持ちを抑えながら、確実に薪割りをするのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。