別荘へ
アンオール西地方にあるウッドハウス。自然に囲まれたウッドハウスの持ち主はリルリッド家である。毎年、リルリッド一家は、このウッドハウスで数日過ごすのが恒例なのだが、今年は父親の都合が付かず、泣く泣く息子のリーリッドとラルロアだけで行くことに。二人だけで行くのはつまらないと思い、数人に声を掛けた。『新作の執筆に集中したいせえ』とシャリアに断られ、『今は家のことがあるので』とミクに断られてしまったが。
「二人だけだったら困ってたよねん」
ホッとしているリーリッド。人数分のグラスを用意してお茶を注ぐ。リルリッド家に代々伝わるお茶らしい。
「成る程成る程」
「美味しいわ」
「薄!」
三者三様の反応。ハルとルキは気に入ったようだが、ミントの口には合わなかったらしい。
「冷えてても香りを楽しめるように配合されたお茶だから、濃くて苦いのが好きな人には物足りなく感じるよねん」
「ボクもあまり好きじゃないよ」
「ラルにも好き嫌いがあるんだな」
「あるよ。好き嫌いがない人なんていないよ」
「それもそうだな」
「それは恋愛も一緒なんよ!」
「お! ナナが珍しく熱いぞ」
「好みがあるから恋愛は面白いんよ。誰でもいいってわけじゃないんよ!」
「そいつはアタシも同感だね。そこら辺の野郎に近寄られたら殴っちまう」
((それは違う!))
ミント以外の心の叫びが一致した。『コホン!』とわざとらしく咳払いをして空気を変えると、ミラはテーブルにクッキーを置いた。
「甘い話のお供には、甘いお菓子が付き物です。私の手作りなのでお口に合うかは分かりませんが」
「うん! 甘さがちょうどいい! 俺の好みだ」
「リルリッド家のお茶との相性も抜群だわ!」
「こいつは気に入ったねえ!」
「三人に気に入ってもらえて嬉しいです。作った甲斐がありました」
「別荘に来たのだから、ゆっくりしていればいいよねん」
「メイドとしてではなく、友人として振る舞っただけです」
「ありがとう! ミラも座って食べようよ!」
「分かりました。一杯食べてくださいね、ラルロア様」
「うん!」
ティータイムを楽しむ一同に華を添えるかのように鳴く鳥。アンオールの国鳥に指定されている鳥の鳴き声が、心地よく響き渡った。




