第28話 魔王と計画③
青年から発せられた担当する割り振りに意を唱えたのは、ランとブンの二人だった。
「いくら何でも、無謀すぎます!」
「……無理」
配役は、こうだ。
魔法使いであるガレットには、ブン、パイン、マスカの四人が、ゼンにはラブを、そして青年はミルの相手をする。
青年以外の誰もが思う。
パインとマスカの安全を第一に考え、青年とゼンの命を差し出している。
ゼンは感情を出さず尋ねる。
「私とその剣士の差はないと」
「いや、戦力の違いは俺にはわからない」
「では、なぜ?」
「一つは時間稼ぎをしてもらいたい」
「現状、できる事を踏まえ、相手の人数が三人であるなら、一人一人を相手にする方がマシだ」
「身体能力の弱さで魔法使いを狙うと」
「勝算はそこが一番高いように思う」
「人数を減らし、さらに個々を狙うと」
「それが一番現実的だろう。当初の目的を果たすにしても、勝たなければ話し合いにもならない」
「相手がそれにふさわしいと」
「少なくとも、俺はそう思った」
各々が考える。
魔王の最初の提案。
「――探索者を仲間に迎え入れる」
人族に恐怖を抱くパインとマスカはぎゅっと二人手を握る。
ゼンとランとブンは、敵としてやってくる相手を迎えるという難解な問題の答えを考える。
「後の事は今、考えても仕方がない。ひとまず、勝つということが大前提の話だ」
だとしても、一番の問題はそこが大きい。
「せめて通信手段があれば……」
「通信?」
「俺たちだけでどこにいても話が出来れば連携が取れる。いや、話せなくても、せめて俺ができるダンジョン内を他の誰かが把握することができれば……」
「そっか。私達じゃコアに触ってないとできないもんね」
始めて青年の思考が停止した。
「……コアに触っていればできる?」
「え、知らなかったの?」
「マスカも知っていたのか?」
「……え、う、うん。コアの掃除をした時に……。それに分断の時も何もわからないんじゃ、できない」
あまりに盲点だった。
【幻影】で分断できると判断されたとき、青年は理解に及ばないと可か不可でしか尋ねなかった。
「じゃあ、【幻影】は離れたところには出せない? だが、視えている状態では出せる?」
「う、うん。だから、コアを触っている状態で、だ、ダンジョン内くらいだったら」
その瞬間、時間稼ぎ、ガレットとの対峙、全てが青年の脳で組み立て直されていく
行き当たりばったりの作戦に色が付き始める。
全てがうまくいくはずはない。
だが、どれか一つでもうまくいけばいい。
「できる事を手短に話す」
時すでに探索者は侵入している。
何時までもそのままには出来ない。
だが、その前に残った疑問。
「ねぇ、魔王は、その、拳闘家に勝てるの?」
魔王である青年の戦闘能力が未知だった。
だが、それはあっさり答えられた。
「まず、無理だろうな」
次話17時up予定




