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魔王と平穏な日常を  作者: ダルマ787
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第23話 魔王と合流

「分断?」


「ああ、探索者とやらが、どれほどの実力者なのかわからないが、少なくともランの気配を察知し、警戒する実力はあると考えていい。そうなると、孤立させる方がいいと考えるべきだ」


「個々の撃破ですか……」


ゼンが口にする不安材料も分かる。


個々に分断するということは、個々に相手をしなければいけないという事。

分断させたのち、数の有利を作り出せないわけでもなかったが、集まられては意味がない。

そうなると、足止めでそうなることになる。


「対応が難しくあります」


ランが誰を誰に対応するか判断できないという。


「そこは俺が合流してからまた決めたいと思う」


「……できるの?」


ブンは潜入で魔王がいない状況を鑑みて尋ねる。


「分断の中には俺も含まれる。その時、一度合流したいと考えている」


「そこで、改めて対応策を練ってもらうと……」


「鍵を握るのは、【暗霧(スモッグ)】と【幻惑】」


パインとマスカの喉がゴクリとなる。


「第一の作戦は、俺を含めた探索者の分断だ」


細かい作戦は立てられないが、出来限りの策を話しておく。


「大半を任せるばかりの作戦で悪いが、タイミングは任せる」



そして、それは見事に成功した。



中央の間に、青年とランが急いで戻ってきた。


この成功のカギは全て後手にある。


探索者はダンジョンの中だけに警戒を向けていたが、実際のところランは外にいた。

その上、青年と探索者である三人の後続を付いてきていた。


だから、【暗霧】と【幻惑】が展開され、魔法使いであるガレットの認識が外れた瞬間、ランは青年をその場から引きはがした。

【幻惑】は魔法使いであるガレットに通用する。


つまり、ガレットが視たのは青年がいなくなった空間であり、実際その場に青年はまだいたのだ。


「よくやった」


だが、青年は気を抜いたりできなかった。

それは探索者である三人が想像していたより、実力があるという事。

運がよかったのは、ランの存在が感づかれることがなかった事、魔法使いであるガレットが【幻惑】に惑わされたのが大きい。

おそらく、現在【魔王】の魔力を有しているダンジョンコアから漏れる魔力が、【幻惑】のカモフラージュになり、ランの気配を消す形になった。


だが、【幻惑】に関しては、いつまで気づかれない状況が続くかわからない。


強張る表情の青年に、集まった五人はただ青年の声だけに集中した。


「時間があるとも限らない」


急ぎ早に話される自身の声に焦りが見えていることを自覚する。


青年は一呼吸置く。


焦りはミスに繋がる。

なにより、青年が焦っていては、その指示に従う者は不安しか残らない。

だから、いたって冷静に話はされた。


「探索者の特徴を伝える。男性一人は剣士、それも魔法を剣にまとわせる事ができる元騎士。女性の一人は格闘家。拳にグローブを付け、魔法の類は使えないが、それに近いモノを拳に纏わせる。最後に魔法使いの女性、おそらく一番警戒しなければいけない人物だ」


魔法に精通している者に対して、魔法が使える者が二名、それも戦闘向きではない。


そこから勝つための組み合わせを、この場にいる六人で割り振らなくてはならない。


「組み合わせは――」


全てを考慮し、最善の組み合わせを全員に伝える。


やるべきことを伝え、最後に青年からの指示ではない命令が下される。



「決して死ぬな」



静かに頷きあう仲間たちと共に、最初の戦いが始まる。




その頃、ダンジョン入り口近くで切り株に足を斜めに腰掛け、バナがサーベルライトタイガーの番(つがい)の頭を撫でる。

森の中で生きる生物は決してレスノイを攻撃することはない。


バナはダンジョンの入り口をただじっと眺めていた。



次話12時up予定

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