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《23万文字1.7万PV突破!》リアルとゲームのギャップが凄いが何故か絵になる美男美女  作者: 小春日和
第4章 オフィス編

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第81話 晃vs国崎

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対戦フィールド。


円状に広がる観客席の中央で、二人のキャラクターが向かい合っていた。


片や、ラスクロ配信当初からプレイしている歴戦のハンマー使い。


片や、始めて二週間ほどの新米ハンマー使い。


プレイ歴には明確な差がある。


晃は軽く指を動かし、操作感を確かめた。


(まあ、初心者だし……)


手加減するつもりはない。


ただ、いきなり大技で終わらせるのも味気ない。


(まずは様子見といきますか)


戦闘開始の合図が鳴り響いた。


同時に、華奢な少女アキが地面を蹴る。


大きなハンマーを肩に担ぎ、国崎へと勢いよく駆け出した。


相手の動きを見極めながら、ハンマーを振りかざす。


その瞬間。


国崎のキャラクターが横へ跳んだ。


「……ん?」


アキの一撃が空を切る。


勢いよく地面をかち割ったハンマーが、砂煙を巻き上げた。


直後、国崎が横から踏み込む。


振り下ろされたハンマーを、アキは後方への回避でかわした。


しかし、国崎の攻撃は止まらない。


国崎、スキル発動。


横薙ぎの一撃から、扇状に広がる爆風。


アキは攻撃をかわしたものの、打ち付ける爆風によってわずかにダメージを受ける。


さらに、低い位置から振り上げられるハンマー。


「っ!」


アキが後方へ弾き飛ばされた。


画面に表示されるHPの減少。


観客席から二人を見守っていた相澤が、ぽかんと口を開けた。


「……え?」


しかし、晃は何も言わない。


相変わらずの無表情。


ただし、先ほどまでの余裕は消えていた。


わずかに寄った眉間の皺。


五周年記念イベントで拓郎と対戦していたときと同じ目つきだった。


(……今の、初心者の動きじゃないだろ)


攻撃のタイミング。


回避の方向。


こちらの硬直時間を狙った、無駄のない追撃。


間違いない。実力保持者だ。


国崎のレベルは45。


だが、武闘大会ではプレイヤーの能力値が平均化される。レベルによる差はほとんどない。


ならば、五年間培ってきた技術で勝負するしかない。


晃は小さく息を吐いた。


そして、再び画面に指を走らせる。


晃、スキル発動。


アキのハンマーが二本に分かれた。


「えー、二刀流じゃん!」


相澤の声を合図に、アキが両手のハンマーを掲げて突進する。


ブォンッ!!


凄まじい音を立て、二本のハンマーが国崎の両側から迫った。


「ひえー! これ、両サイドからぺちゃんこにされちゃうじゃん!」


(流石にこれは避けられないでしょ)


当たれば一気に相手を瀕死に追いやる大技。


その代償として、自身のHPも削られる。


しかも、一試合につき一度しか使えない大技だ。


これで決める。


そんな意思を込めた一撃だった。


だが。


国崎は、迫り来るハンマーに向かって踏み込んだ。


「は……?」


晃の目が見開かれる。


国崎、スキル発動。


国崎のキャラクターが、手にしたハンマーを勢いよく地面へ叩きつけた。


地響きとともに、螺旋状の地割れが広がる。


アキのハンマーが直撃する寸前。


地面を叩きつけた反動で、国崎のキャラクターが大きく跳ね上がった。


アキの二本のハンマーが、国崎の足元をかすめる。


直後、二本のハンマーが鈍い音を立ててぶつかり合った。


国崎は、見事に大技を回避した。


大技を使った反動で、アキの動きが一瞬鈍る。


その隙を、国崎は見逃さなかった。


ハンマーを振りかぶり、空中からアキめがけて急降下する。


鈍い衝撃音。


アキのHPが大きく削れた。


「うっわ! かっけぇ!」


相澤が身を乗り出す。


「しかも、あっくんの攻撃後の隙を狙ってる……!」


二人は無言のまま、再び攻防を繰り広げた。


晃は一瞬だけ国崎に目を向ける。


画面を見つめる国崎は、真剣そのものだった。


荒削りな部分はある。


それでも、回避から攻撃へ移る流れが驚くほど自然だ。


(こいつ、ただの初心者じゃない)


スキルの特性を理解し、攻撃後の隙を狙っている。


ならば、こちらも戦い方を変えるまで。


晃は国崎の動きを観察しながら、攻撃のタイミングをずらしていく。


国崎が踏み込めば回避し、反撃。


追撃をかわした先には、次の一撃。


「おおっ! あっくん、反撃!」


相澤の声が響く。


国崎は距離を取り、体勢を立て直した。


だが、晃の対応はさらに速くなっていた。


こちらの攻撃を一度見れば、次には対策を立ててくる。


(……やっぱり、五年間やってる人は違うな)


悔しい。


けれど、それ以上に面白かった。


国崎は口元を引き締め、再び距離を取る。


そして、スキルを発動した。


横薙ぎの一撃から広がる爆風。


先ほど使用したスキルだ。


アキは同じ手にはかからないとばかりに、即座に反応。


素早く後方へ回避する。


その隙を狙い、国崎が追撃を仕掛けようとした。


しかし、アキはハンマーを構え、攻撃を受け止めるような姿勢を取った。


(……え?)


国崎の指が、一瞬止まる。


攻撃を受けるつもりなのか。


そう考えた瞬間。


アキの姿が、ふっと横に流れた。


「……っ!」


回避スキル。


しかも、攻撃を受けると見せかけたフェイントだった。


「まずい!」


気づいたときには、すでに遅かった。


アキは国崎の懐へと入り込んでいた。


「……きた」


晃が小さく呟く。


次の瞬間。


アキはその場で身体をひねり、ハンマーを振り回すように回転した。


「うわっ!」


国崎のHPが大きく減少する。


それでも国崎は、すぐさま体勢を立て直そうとした。


だが、晃は攻撃の手を緩めない。


再びハンマーを振りかぶる。


直撃。


国崎の画面に、大きく文字が表示された。


《YOU LOSE》


勝負あり。


しん、と小会議室が静まり返った。


数秒前まで大騒ぎしていた相澤でさえ、口を開けたまま固まっている。


やがて、国崎が頭を掻きながら笑った。


「いやぁー、やっぱり強いですね、晃さん」


「だよなぁー。あっくんには勝てないわ」


相澤も腕を組み、うんうんと頷く。


しかし、当の晃は無言だった。


画面を見つめたまま、微動だにしない。


(……今の、本当に初心者か?)


最初の回避。


硬直を狙った反撃。


そして、最後の攻防。


ほんの少しタイミングが違えば、自分が負けていてもおかしくなかった。


もちろん、勝負を制したのは晃だ。


だが、それとこれとは話が別である。


晃はゆっくりと顔を上げた。


「……国崎さん」


「はい?」


「初心者でこれは強い」


国崎が目を瞬かせる。


その隣では、相澤が両手で口を覆っていた。


「えええええ!? あっくんが認めた……!?」


「俺、今まで一回も褒められてないんだけど!?」


「相澤は、まず攻撃を食らいすぎ」


「ひどい!!」


「あと、スキルを使うタイミングが雑。スキルポイントが貯まった瞬間に発動させてるでしょ」


「追い打ちやめて!?」


「思ってないことは言えないから」


「正論で殴るなぁぁぁ!」


再び騒がしくなる小会議室。


「まーた高校生男子みたいに……」


呆れたように呟きながら、国崎は苦笑した。


(……危なかった)


実のところ、かなり本気だった。


動画で見た晃の戦い方を、何度も何度も研究した。


どう動けば攻撃を避けられるのか。


どのタイミングで踏み込めば反撃できるのか。


実際に戦ってみて、初めて分かったことも多い。


それでも、勝てなかった。


判断力も、攻撃の組み立て方も、


やはり晃のほうが一枚上手だった。


(……でも、楽しかったな)


国崎は画面に目を落とし、密かに笑みを浮かべた。


晃のことを、少し誤解していたのかもしれない。


もちろん、根はいい人だということは頭では理解していた。


けれど、それ以上にクールで近寄りがたい人間だという印象が強かった。


仕事もできる。


媚びない。


愛想を振りまかない。


自分とはまったく違う世界の人間。


そんな晃を一方的にライバル視し、少し距離を置いていた。


だけど。


こうして実際に接してみると、シンプルに楽しい。


晃は確かにクールな印象がある。


けれど、それは感情表現が乏しいだけなのかもしれない。


周りに興味がないわけじゃない。


今回の対戦で、それがよく分かった。


自分の動きをしっかり見て、実力を認めてくれた。


きっと、今までは自分の思い込みが邪魔をしていたのだ。


少し間を置いて、国崎が口を開いた。


「もっかい対戦お願いしていい? あっくん」


「「!」」


相澤と晃が同時に顔を上げ、国崎を振り返る。


「うわっ、くにがあっくんって呼んだ!」


「わ、悪いか!」


国崎が少し照れくさそうに言い返した。


晃は一瞬目を見開いたあと、小さく微笑んだ。


「望むところだよ、くに」


「かーーー! 友情芽生えちゃったよー!」


「「黙れ」」


二人のツッコミが重なった時。


「ただいまー」


小会議室のドアが開いた。


食堂から戻ってきた実莉である。


「…………」


室内に入った実莉は、スマホを横向きに構えた青年三人を見て、ぴたりと足を止めた。


そして、どこからともなく響く、聞き覚えのあるゲームの効果音。


「…………何してるの?」


呆然とした声が漏れた。


「あ! おかえりなさーい!」


相澤が満面の笑みで手を振る。


「聞いてくださいよ、のん先輩!」


「何?」


「なんと、国崎もラスクロ始めたんですよ!」


「くにまで!?」


実莉の視線が国崎へと向く。


「は、はい。ちょっと前から……」


「へえ……」


実莉は三人を見比べた。


(ああ……ラスクロ民、増えてる……)


そして、晃と目が合う。


その瞬間、晃は勢いよく首を横に振った。


まるで、『俺のせいじゃない』とでも言いたげに。


「ちなみに、これで四人中三人がラスクロ民ですからね。のん先輩も、そろそろどうです?」


「っ! やらない!!」


突然の勧誘に、実莉は反射的に拒否してしまった。


((もうアカウント持ってるけどね))


図らずも、晃と実莉の心の声が重なる。


「まだ何も説明してないのに断られた……」


相澤は肩をすくめた。


「まあまあ、やるやらないは他人が口出しすることじゃないから」


国崎は苦笑しながら、スマホを手に取った。


(バレるリスク、上がったじゃん……)


一人、頭を抱える実莉。


そして、その背中を静かに見つめる晃と国崎であった。

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ご覧頂きありがとうございます!

少しづつではありますが、お話の更新を頑張って参ります。是非ブックマーク登録で最新話の更新をお待ちいただけるとありがたいです( *´꒳`*)


「面白い!」「続きが気になる!」と思ってくださったら、ページ下部にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、執筆の励みになります!星1つ頂けるだけでもモチベーションめちゃくちゃ上がります!


皆様、応援よろしくお願い致します(>人<;)


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