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《2章迄完結済15万文字突破!》リアルとゲームのギャップが凄いが何故か絵になる美男美女  作者: 小春日和
第1章 5周年記念イベント編〜5人が出会うまで〜

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第8話 戦い前夜のお買い物

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たっぷり40個入りです。

金曜日。


午後五時三十分。


今日も朝倉陽奈は定時ぴったりで仕事を終えた。


「お疲れ様でした〜!」


職員室へ元気よく頭を下げる。


そして。


誰よりも早く学校を飛び出した。


今日は予定がある。


重大な予定だ。


明日の――


LAST CHRONICLE ONLINE 5周年イベント。


もし。


本当に。


万が一。


一パーセントでも。


貝類に会える可能性があるなら。


全力でおしゃれをする。


それが乙女。


それが女子力。


それが愛。


陽奈は早足でアパートへ向かった。



二階まで駆け上がる。


鍵を開ける。


玄関へ飛び込む。


「よっしゃあああああ!!」


拳を握る。


天へ突き上げる。


気合い十分。


その瞬間。


ガチャ。


リビングのドアが開いた。


「何してんの、姉ちゃん……」


引きつった顔。


ドアノブを握ったまま立ち尽くす弟。


朝倉晃だった。


今日は前髪をピンで留めている。


珍しく額が見えていた。


数秒。


沈黙。


「えぇぇぇぇぇぇ!?晃いたの!?」


「ずっと居た」


「聞いてない!!」


「言ってない」


陽奈は玄関ドアに張り付きながら叫ぶ。


顔が真っ赤だった。


昨日。


ラスクロを一緒に遊んだ後。


そのまま泊まった晃。


そして今朝。


陽奈は仕事へ。


晃は寝ていた。


「ちゃんと鍵閉めて出てってねー!」


そう言い残して出勤したのである。


「あんたが家にいるのに鍵閉まってるとか珍しすぎるんだけど……」


陽奈は目を細めた。


そして。


ハッとする。


「あ」


「今日一回も外出てないな?」


「ご名答」


パチン。


指を鳴らす晃。


真顔で陽奈を指差した。


「家帰んのダルくてこちらの作業所にて仕事させて頂いておりました」


「作業所呼ばわりすんな」


「メシ作ったから許して」


「毎度姉を飯で吊るな!」


毎回これである。


しかも毎回許してしまう。


悔しい。


だが美味しいから仕方ない。



テーブルには生姜焼き定食。


「いただきまーす!」


一口。


「うまっ」


二口。


「うまぁ……」


三口。


「やっぱ天才じゃん」


「知ってる」


晃は即答した。


陽奈は悔しそうな顔をした。


食べながら話す。


「あーでも今日実は外で食べようと思ってたんだよね」


「飲み?」


「違う」


「デート?」


「違う!!」


即答だった。


「ひとりショッピングのついで!」


「……ひとり……」


晃が口元を押さえる。


哀れむような目。


「そろそろ家追い出すぞ」


陽奈は半ギレだった。



食後。


晃は姉の部屋を覗き込んだ。


そして固まる。


「……」


「なに?」


「服多くね?」


クローゼット。


ワンピース。


スカート。


カーディガン。


ブラウス。


大量。


とにかく大量。


「同じにしか見えないんだけど」


「見えないから!!」


「全部ベージュじゃん」


「違う!!」


「ピンクベージュ」


「違う!!」


「アイボリー」


「……それは合ってる」


女子あるあるだった。



「もう買わなくてよくない?」


「必要なの!」


「また同じようなワンピース買うんでしょ」


「違う!」


「どうせ似たやつ」


「違う!」


「絶対似てる」


「違う!」


小学生みたいな言い争いになる。


すると。


晃がふと思い出したように言った。


「でもさ」


「ん?」


「その服でイベント行ったら」


「うん」


「生徒とか知り合いに見つかった時バレない?」


ピタッ。


陽奈が止まった。


「……」


「……」


確かに。


言われてみればそうだ。


もし。


知り合いがいたら。


いつもの服装。


いつもの髪型。


秒でバレる。


「やば」


晃は深いため息を吐いた。


「絶対貝類に会うことで頭いっぱいだったじゃん」


「ちがう!!」


即否定するが、説得力ゼロだった。



結局。


「……俺も行く」


「え?」


「ショッピング」


「マジ?」


「変装込みで選んだ方がいいでしょ」


「うわ優しい」


「違う」


「シスコン?」


「違う」


そうして。


姉弟二人でショッピングモールへ向かうことになった。



夜七時。


大型ショッピングモール。


「よーし!」


陽奈が気合いを入れる。


「目標!」


「貝類に会っても恥ずかしくない服!」


「会える前提やめな」


晃が即ツッコミ。



数十分後。


試着地獄が始まった。


「どう?」


「普段と同じ」


「これは?」


「普段と同じ」


「こっちは?」


「普段と同じ」


「もう!」


陽奈が怒る。


晃は真顔だった。


「全部ひちゃ」


「当たり前でしょ!」


「そうじゃなくて」


「?」


「変装になってない」


確かにそうだった。



悩みに悩んだ結果。


晃が選んだ。


「これ」


白のロングTシャツ。


シンプル。


可愛い。


だが普段の陽奈は着ない。


「え、いいかも」


「でしょ」


続いて。


ハイウエストのデニム。


「脚長く見える」


「うわ」


「なに」


「普通に似合う」


「でしょ?」


ドヤ顔になる陽奈。



続いて雑貨コーナー。


晃が棚から取り出した。


伊達メガネ。


「これ」


「えー?」


「変装」


「でも私目いいし」


「だから伊達」


「なるほど」


掛ける。


鏡を見る。


「……あ」


雰囲気が変わる。


知的。


少し大人っぽい。


「いいじゃん!これならバレなさそ!」


嬉しそうな姉を見ながら晃は説明を加える。


「うん。しかもハルも丸メガネつけてるよね。」


「ちょっとラスクロ寄りにしてみた。」


「天才か???」


陽奈は大満足だった。


そのままの足で最後の店に向かう。


「え、もう全身買ったくね?靴は家にあるし」


ショッピング疲れした晃が言う。


「まだ見てないとこあんのー」


そう言いながら向かう先。


「げ。」


ランジェリー専門店だった。


ドン引く晃。


「…姉ちゃん、流石に気合入れすぎでは…」


「違うの!!靴下買うだけ!!」


男子は禁制だからね〜と背中を押して、ご丁寧に店から遠ざけてから入店する陽奈。


少し離れた所にあるベンチに腰かけて待つ晃。


遅い。


絶対靴下だけじゃない。


「おっまたせ〜」


店から満足そうに出てきた姉の手には大きな紙袋が吊るされていた。


「やっぱそれ靴下だけじゃないじゃん」

「靴下だけです。」

「袋のサイズおかし…」

「気のせいです。」


苦しい嘘をつく陽奈。


イベント行くだけなのに一体何を想定してんだよ…、と頭を抱えながらも、荷物はそっと持ってあげる晃だった。


買い物終了。


帰り道。


両手いっぱいの紙袋。


「楽しかったー!」


「それは良かったね」


晃は欠伸をする。


そして。


何事もないように言った。


「今日も泊めて」


「また?」


「帰るのダルい」


「正直でよろしい」


「褒めて」


「褒めない」


そんな会話をしながら。


二人はアパートへ帰っていく。


明日は。


ついに。


LAST CHRONICLE ONLINE 5周年記念イベント当日。


五年間。


顔も知らずに遊び続けた仲間達。


そして。


誰も予想していない運命の出会いが。


すぐそこまで迫っていた。


挿絵(By みてみん)

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