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《23万文字1.8万PV突破!》リアルとゲームのギャップが凄いが何故か絵になる美男美女  作者: 小春日和
第4章 オフィス編

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閑話 そうだ、キャンプに行こう(後編)

挿絵(By みてみん)


食後、少し休憩してから――


次に始まったのは、釣りだった。


「「「「………」」」」


竿を前に、退屈そうに座る4人とは異なり、


「……釣れました」


拓郎の竿が、またしても大きくしなる。


「え?」


椅子に腰掛け、自分の膝に頬杖をついていた陽奈が目を丸くしながら顔を上げた。


「また?」


「ええ」


拓郎が魚を釣り上げる。


その手際は、もはや職人の域だった。


「いや待って」


晃が川を覗き込む。


「この川、そんなに魚いる?」


「俺もそれ思った」


海斗も苦笑する。


拓郎が釣り上げた魚をバケツへ入れる。


その直後――


「また釣れた」


「……」


また。


さらに数分後。


「釣れました」


「……」


また。


「ねぇ」


「なんでしょう?」


「……ドーピングしてる?」


「釣りにドーピングって何ですか」


拓郎は真顔で答えた。


そして、眼鏡を人差し指でクイッと押し上げる。


「釣りというものはですね――」


始まった。


拓郎の釣り講座である。


「まず魚の習性を理解し、潮の流れ――」


「……」


「釣る場所と餌の選定、そして何より重要なのが――」


「……」


誰も聞いていない。


「――魚との駆け引きなのです」


「……」


全員、無言で自分の竿を見つめていた。


「――というわけで」


だが気にせず語り続ける拓郎。


「…あ、ほら、また釣れましたよ。」


「もうそんなに魚要らないよーっ!」


陽奈の叫び声が森に響くのであった。


────


日が沈み始める。


昼間の賑やかさとは打って変わり、辺りは少しずつ静かになっていった。


やがて――


キャンプファイヤーに火が灯る。


ぱちぱちと薪が爆ぜる音。


揺れる炎。


その周りに椅子を並べ、昼間に釣った魚を焼いていく。


「いい匂い……」


陽奈が魚を覗き込む。


「そろそろ食べ頃かな」


晃が火加減を見ながら、つまめる料理を並べていく。


「晃、これ何?」


「酒のあて」


「最高じゃん」


「姉ちゃんはお酒飲めないけどな」


「雰囲気を楽しむの!」


陽奈が笑う。


焼き上がった魚を頬張る。


「おいしい!」


「ほんとだ」


実莉も嬉しそうに頷く。


苦労して釣り上げた魚というだけで、妙に特別な味がした。


…というかほぼ拓郎が釣り上げた魚だが。


「さて」


食事が一段落したところで、拓郎が立ち上がる。


そして、キャンピングカーへ向かっていく。


しばらくして――


「……おお?」


海斗が目を丸くした。


拓郎が抱えて戻ってきたのは、一台のアコースティックギターだった。


「それでは、一曲弾きましょうかね」


「へぇー! 拓郎さん、ギター弾けるんだ!」


実莉が嬉しそうに手を叩く。


「ええ。学生時代にバンドをしていたので」


拓郎は優しく微笑んだ。


「おお、意外だな」


海斗も目を見開く。


「まあ、嘘ですが」


「嘘かい」


海斗が即座にツッコむ。


「とにかく、なんでもいいから弾いてみてよ!」


陽奈が笑いながら言う。


すると――


「いや、私は弾けません。」


「「「「なんで持ってきた???」」」」


四人の声が重なった。


拓郎は、いたって真面目な顔で答える。


「誰かしらが弾けるだろうと思いまして」


「他力本願」


実莉が呆れたように笑う。


「じゃあ、貸して」


海斗が手を伸ばした。


「ええ、どうぞ」


拓郎からギターを受け取る。


海斗はそれを大事そうに抱え、椅子へ腰を下ろした。


さっきまでの軽薄そうな笑顔とは、少し違う。


ギターを抱えた姿が、不思議なくらい様になっていた。


「……」


陽奈が、思わず見入る。


海斗が弦に指を置く。


そして――


静かに、音を奏で始めた。


穏やかな夜に似合う、ゆったりとした優しい音色。


耳に心地よいリズムが自然の中へと溶けていく。


「うま……」


晃と陽奈が、同時に目を見開いた。


「持ってきて正解でしたね」


拓郎がドヤ顔で頷く。


「結果論だね」


実莉が苦笑する。


やがて一曲が終わる。


余韻が、静かに夜へ消えていった。


「……ねえ」


陽奈が海斗を見る。


「歌わないの?」


その言葉に。


海斗の指が、ほんの少し止まった。


歌うのは好きだ。


だから歌いたい。本当は。


でも。歌えば――


自分が覆面シンガーソングライターのVeilだと気づかれる可能性がある。


海斗は少しだけ考えたあと――


いつものように、ふわっと笑った。


「ん~。歌うのは下手だから」


「えー、残念」


陽奈が肩を落とす。


その様子を見ながら、海斗は小さく笑った。


いつか。


自分の本当の姿を、みんなに打ち明ける日が来るかもしれない。


その時は――


こんなふうに、皆の前で歌えるだろうか。


「じゃあ、もう一曲弾こうかなー。」


海斗の奏でるアコースティックギターの穏やかな音色。


ぱちぱちと薪が爆ぜる音。


優しく静かに頬を撫でる風。


さわさわと揺れる木々。


賑やかな昼間とはまた違う、


ゆったりと落ち着いた時間が流れていく。


こうして――


五人のキャンプの夜は、静かに更けていった。

◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈


ご覧頂きありがとうございます!

ほのぼの日常編、楽しんで頂けましたでしょうか?

久々に登場した拓郎が大暴れしておりました…笑

少しやりすぎたかな…?と不安になっております笑


少しづつ本編も更新していきます。次のお話は10/1の19:00投稿予定です。ブックマーク登録で最新話の更新をお待ちいただけるとありがたいです( *´꒳`*)


「面白い!」「続きが気になる!」と思ってくださったら、ページ下部にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、執筆の励みになります!星1つ頂けるだけでもモチベーションめちゃくちゃ上がります!


また、ご感想も受付中でございます!どんな内容でも結構ですっ!むしろ一言でも全然大丈夫です!!お気軽にお寄せくださいっ!(切実)


皆様、応援よろしくお願い致します(>人<;)


◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈

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