閑話 陽奈と海斗の初デート?後編
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報告失礼します!
お陰様で、
なんと、1万PV突破しました〜!
本作品が沢山の方々の目に止まっているという事実に感無量です……!
こんな素敵な経験ができたのは読者様方のお陰です!!
本当にありがとうございます!
今後ともリアギャプをどうぞ宜しくお願いしますm(_ _)m
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映画が終わり、次々と人が退場していく。
その人の波もすっかり落ち着いた頃。
最後のほうで、陽奈と海斗がスクリーンの部屋から出てきた。
二人の手には、すっかり空になったポップコーンの容器と紙コップ。
出口に設置されたゴミ箱へ、それぞれ捨てる。
「はぁ〜! なんかめっちゃ世界観に引き込まれた〜!」
満足そうに伸びをする陽奈。
その隣。
何故か、海斗はげっそりしていた。
上映中に一体何があったのか。
事情を知らない人が見たら、同じ映画を観てきたとは思えないほどである。
「面白かったね〜!」
ルンルンと軽い足取りで出口へ向かう陽奈。
その後ろを、とぼとぼと歩く海斗。
そして。
ふと足を止める。
「……」
もう一度、今出てきたスクリーンの入口を振り返った。
そこには、今二人が鑑賞してきた映画のポスターが貼られている。
ほのぼのとした背景。
ポップでカラフルなデザイン。
そして、にこにこと笑う可愛らしいゆるキャラたち。
海斗は、その中の一体をじっと見つめる。
「……こんな可愛い顔して、グロいことしてたな……」
ぼそり。
「何してんの! 早く出るよー!」
少し先から陽奈が大きく手招きする。
「オーケー……」
海斗は名残惜しそうにポスターから目を離し、渋々その後を追った。
映画館のホールへ出ると、二人は壁際に置かれたベンチに並んで腰を下ろす。
「ふぅ〜」
陽奈は満足そうに息を吐きながら、カバンに手を入れた。
そして取り出したのは――。
来場者限定の、めじるしチャーム。
まだ未開封の小さな袋だった。
陽奈はそれを両手で持ち、キラキラとした目で見つめる。
「うわー……ついにGETした」
「そんなに欲しかったの?」
「うん!」
即答。
「何が出るかなー」
ワクワクしながら袋を開ける。
そして。
「……あぁ〜!」
中身を確認した瞬間、陽奈が頭を抱えた。
「敵キャラかぁっ!」
「ははっ」
「師匠くんが欲しかったんだけどなぁ……」
チャームを眺めながら、少し残念そうに呟く。
「……でもまぁ、可愛いから良しとしようかなっ」
そんな陽奈の隣で。
海斗も、自分が持っていた未開封の小さな袋を開けていた。
「お、これは……」
「ん?」
陽奈が海斗の手元を覗き込む。
「あっ!!」
そして。
「うわぁあああ! 師匠だーーーーーー!」
ホールに響き渡るような声。
「おお……」
「海斗さん、それ師匠だよ!?」
「あ、これ師匠なの」
「そうだよ! ちゃんと映画見てた!?」
「見てたけど……途中から置いてかれたから、ひなちゃんのこと見てた」
「そういうのいいから!!」
「ごめんごめん」
海斗がケラケラ笑う。
「リアクション面白くて、つい」
「もう!」
「最後、泣いてたよね」
「なっ……!」
陽奈の顔が一気に赤くなる。
「ないてない!」
「泣いてたって」
「泣いてません!」
「目、赤かったけど」
「それは映画が感動的だったから!」
「はいはい」
「ていうか今はそんなことより!」
陽奈は自分のチャームを海斗へ突き出した。
「私の敵キャラと交換して!」
勢いよく頭を下げる。
海斗は手元の師匠チャームと、陽奈のチャームを交互に見た。
「んーー……」
少し考える素振りを見せて。
「いいよ」
「ほんと!?」
海斗は師匠のチャームを陽奈へ差し出した。
「はい」
「やったぁーーーー!!」
陽奈は嬉しそうに受け取る。
その顔を見て、海斗も笑った。
「てか、両方持っときなよ」
「えっ?」
「それも」
「要らないの?」
「うん」
「……そんなに映画興味なかった……?」
陽奈の声が、少しだけ小さくなる。
チャームを握ったまま、しょんぼりと視線を落とした。
海斗は一瞬、目を丸くする。
「ううん」
優しい声だった。
「そういうんじゃなくてさ」
そう言いながら、海斗はポケットからスマートフォンを取り出した。
「ちょっと、こっち向いて」
「へ?」
陽奈が顔を上げた、その瞬間。
カシャッ。
「!?」
「はい、これでOK」
「ちょっと! 今何撮ったの!?」
「ん? 俺とひなちゃんのツーショ」
「えええっ!?」
陽奈が慌てて自分の髪を触る。
「前髪整えてないのに!」
「いーじゃん」
「よくなーい!」
「可愛いから大丈夫」
「そういう問題じゃない!」
「撮るときは教えて?!」
「てか消して?!」
「だめ」
「なんで!?」
「俺のお土産は、この写真で十分だから」
「……」
その一言に。
結局、陽奈は渋々引き下がる。
「……ありがと」
「ん?」
「チャーム」
陽奈は手の中の師匠チャームを見つめる。
「大事にする」
照れくさそうにそう言うと。
海斗は満足そうに頷いた。
「うん」
そのとき。
ヴーヴー。
海斗のスマートフォンが震えた。
「あ」
海斗が画面を見る。
その瞬間。
ほんのわずかに。
表情が変わった。
さっきまで浮かべていた柔らかな笑顔が消える。
眉間に、ほんの少しだけ皺が寄った。
「……」
陽奈は、その変化を見逃さなかった。
海斗は画面を見つめたまま、数秒動かない。
「……出なくていいの?」
陽奈が尋ねる。
海斗は顔を上げた。
「……ちょっと待ってて」
「うん」
海斗は立ち上がると、数メートル先にある大きな柱の向こうへ歩いていった。
人目を避けるように。
そしてスマートフォンを耳に当てる。
「……Hello?」
陽奈のいる場所までは、少し距離がある。
それでも、静かなホールには海斗の声がかすかに届いてきた。
何を話しているのかまでは分からない。
ただ。
英語だった。
「……No.」
短い言葉。
「I told you……」
その先は聞き取れない。
海斗の声は、いつもの軽い調子とはまるで違っていた。
低く。
落ち着いていて。
どこか張り詰めている。
陽奈は思わず、そちらへ目を向けた。
(……誰だろう)
気になる。
すごく気になる。
でも。
電話の内容を聞くために耳を澄ますなんて、なんだか違う気がした。
陽奈は膝の上で、師匠のチャームをそっと握る。
やがて。
数分後。
海斗が戻ってきた。
「ごめんごめん〜。お待たせ」
両手を顔の前で合わせ、ニコッと微笑む。
いつもの海斗だった。
「……いえいえ」
陽奈は小さく笑う。
「そろそろ行こっか」
「そうだね」
二人はベンチから立ち上がった。
そして。
並んで歩き出す。
「このあとどうする?」
「んー……せっかくだし、どっかでお茶する?」
「いいね」
「私、ちょっと甘いもの食べたい」
「じゃあ探そっか」
いつものように。
他愛のない会話をしながら。
二人は映画館を出ていく。
陽奈は、隣を歩く海斗をちらりと見た。
さっきの電話のことを聞こうと思えば、聞けた。
けれど。
「……」
結局、何も聞かなかった。
ただ。
頭の片隅に、ひとつだけ残っている。
――あの電話は、誰からだったんだろう。
そして。
着信画面を見つめる海斗の表情が、
脳裏から離れなかった。
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ご覧頂きありがとうございます!
閑話後編、これにて終了です。
次の章以降で、海斗の違和感の正体が明らかになって行く予定なのですが……
次からは一旦本編に戻ります。
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