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《23万文字1.8万PV突破!》リアルとゲームのギャップが凄いが何故か絵になる美男美女  作者: 小春日和
第4章 オフィス編

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第76話 漠然とした不安

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終業時間。


一日の仕事を終えた小会議室には、少しだけ疲れた空気が漂っていた。


「じゃあ、俺帰るわー!」


荷物をまとめた相澤が、扉へ向かう。


国崎も続いて立ち上がった。


部屋を出る直前、相澤は振り返る。


「あっくん、また明日も昼休みにバトろうぜー!」


「……やらない。」


「絶対やろうな!」


「……気が向いたら。」


「よっし!!」


相澤は楽しそうに笑いながら、国崎と共に部屋を出ていった。


「お疲れ様でしたー。」


「お疲れ。」


扉が閉まる。


カチャ。


途端に、小会議室が静かになった。


残されたのは、晃と実莉の二人だけ。


実莉は机の上を片付けながら、今日使った資料をまとめていく。


その向かいで、晃もタブレットをバッグにしまっていた。


しばらく、二人とも何も話さなかった。


資料を片付ける音。


バッグのチャックを閉める音。


そんな小さな音だけが、静かな部屋に響いている。


やがて。


「……ごめん。」


晃が、ぽつりと呟いた。


「……。」


実莉の手が一瞬止まる。


けれど、晃の方を見ることはなかった。


「……何に対して?」


「……。」


晃も少し黙る。


具体的には言わない。


ただ。


「なんとなく。」


それだけだった。


実莉には、思い当たることが一つしかなかった。


「……昼休みのこと?」


静かに問いかける。


「うん。」


やっぱり。


昼休み。


相澤や女子社員たちと、ラスクロをしていたこと。


実莉は資料を揃えながら、晃に背を向けたまま口を開く。


「なんで謝るの?」


「……なんとなく。」


「なんとなくばっかりだね。」


晃は少し考えてから続けた。


「いい気はしなかったかなと思って。」


「……そんなことないよ。」


実莉はそう答えた。


けれど。


何故か晃の方を見ることができなかった。


「ゲームのこと、会社では言ってないでしょ?」


「うん。」


「だから、すい♡のこととか、実莉さんがラスクロしてることとか……全部伏せた。」


「ゲームのこと隠す必要ある?とか言わないの? 記念イベントの日みたいに。」


卑屈だな。


実莉は自分の発言に対して、そう思った。


でも、口が勝手に動いた。


記念イベントの日。


ラスクロで5年間共に戦ってきた仲間たちが、初めて顔を合わせた日。


実莉がゲームでは幼女を演じていると、一番初めに知った人物。


それは。


今、目の前に立つ晃だった。


晃は隠し事をしないタイプだ。


ゲームで女子キャラを使っていることがネットで晒された時も、いつも通り何も変わらなかった。


つまり、ゲームとリアルとで違うキャラを演じ、それを隠し続けていた実莉とは、全く逆の考えの持ち主。


正直、一緒の職場で働くことになった時は、心のどこかに漠然とした不安があった。


晃が、自分の職場とラスクロとの唯一の接点になるのだから。


だけど敢えて「職場ではすい♡のこと言わないで」と晃に伝えていなかったのは。


自分と正反対の考えを持つ晃に、否定されることが怖かったからだろう。


しかし。


晃の口から溢れた言葉は、実莉の予想に反していた。


「あのさ。」


晃が呆れたように口を開く。


「俺、どんなヤツだと思われてんの。」


「え?」


「俺も一応、大人なんだけど。」


「どういう意味?」


「隠さなくてもいいって言ったのは、俺らの関係性があったからだよ。」


ここで初めて、実莉は顔を上げ、晃の方を見た。


「確かに、あの時はそんな感じのこと言ったけど。」


「でも、会社(ここ)ではそうもいかないでしょ。」


晃は真顔で話していた。


「大袈裟な話、全員に対して全く裏表のない人なんていないよ。」


「俺だって、ちゃんとTPOを弁えた大人だから。ここで全部を曝け出す必要がないことくらい、ちゃんと分かってる。」


「だから、実莉さんのこと、この先もバラすつもりないよ。」


「……そっか。」


実莉の胸の奥にあった何かが、少しだけ解けた気がした。


「……ありがと。」


実莉は小さく笑った。


「じゃあ。」


晃がバッグを肩に掛ける。


「また明日。」


「うん。また明日。」


晃はそれだけ言うと、小会議室を出ていった。


カチャ。


扉が閉まる。


実莉は一人、部屋に残された。


窓の外では、夕陽が街を赤く染めている。


その光が、誰もいなくなった小会議室の床をゆっくりと照らしていた。


「……はぁ。」


静かな部屋に、大きなため息が落ちる。


晃は、何も悪いことをしていない。


むしろ、自分のことを気遣ってくれた。


会社ではゲームのことを話さないようにしてくれている。


分かっている。


分かっているのに。


「……。」


実莉は、ぎゅっと資料を抱きしめる。


自分のせいだ。


自分が隠し事をしているせいで、また変な空気にしてしまった。


晃は何も言わずに、今まで通りにしてくれている。


それなのに。


もし、いつか知られてしまったら。


もし、何かの拍子にゲームのことが会社中に広まってしまったら。


きっと自分は晃みたいに堂々としていられないだろう。


そんなことばかり考えてしまう。


「……バカだな、私。」


ぽつりと呟く。


自分でも、何がそんなに怖いのかよく分からなかった。


状況が変わったわけではない。


晃は、これまでと何も変わらない。


……だけど。


少しだけ、気持ちがスッキリした。


実莉は荷物をまとめると、小会議室の電気を消した。


「……帰ろ。」


誰もいない廊下を、一人で歩く。


会社を出る。


夕暮れの街は、仕事を終えた人々で少しずつ賑わい始めていた。


いつもなら気にも留めない景色。


そんな景色をぼんやり眺めながら歩く。


そして。


(……信じよう。晃くんのこと。)


心の中で、そっと呟いた。

◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈


ご覧頂きありがとうございます!

少しづつではありますが、お話の更新を頑張って参ります。


次回は少し閑話挟みます!

陽奈×海斗のデート編?!


是非ブックマーク登録で最新話の更新をお待ちいただけるとありがたいです( *´꒳`*)


「面白い!」「続きが気になる!」と思ってくださったら、ページ下部にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、執筆の励みになります!星1つ頂けるだけでもモチベーションめちゃくちゃ上がります!


皆様、応援よろしくお願い致します(>人<;)


◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈

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