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《23万文字1.8万PV突破!》リアルとゲームのギャップが凄いが何故か絵になる美男美女  作者: 小春日和
第4章 オフィス編

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第75話 距離感

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一方その頃。


晃と相澤を小会議室に残し、


国崎と実莉は、社員食堂に来ていた。


それぞれ昼食を済ませながら、午前中の仕事について話している。


「それにしても……やっぱ、のん先輩ってすごいですよね。」


「何が?」


「仕事の進め方ですよ。」


国崎は箸を置き、実莉を見る。


「みんなが円滑に仕事できるように、ちゃんと話し合う時間を作ったり、一緒に仕事する人同士が打ち解けられるように場を設けたり。」


「……。」


「昨日だって、晃さんと相澤を交えて、いきなり仕事を始めるんじゃなくて、ちゃんと自己紹介から始めたじゃないですか。」


実莉は少し驚いたように目を瞬かせる。


「そういうところ、やっぱ尊敬します。」


「……何? 急に。」


実莉はクスッと笑った。


「褒めても何も出ないよ?」


「いやいや、本当に思ったんで。」


「ふふっ。」


実莉は嬉しそうに笑う。


「でも、ありがと。」


「……はい。」


それから、少しの沈黙が訪れた。


食堂のざわめきだけが、二人の間を流れる。


やがて実莉が、ぽつりと口を開いた。


「……やっぱさ。」


「はい?」


「自分が指揮を取って仕事を進めるのって、何回やっても慣れないの。」


「……え?」


予想外の言葉に、国崎は目を丸くした。


「そんな風には見えないです。」


思わず口から出た。


俺の知っている、のん先輩は。


テキパキと仕事をこなして。


ミスなんかほとんどなくて。


みんなに的確な指示を出して。


それでいて、誰からも慕われている。


だからこそ、今の実莉の言葉は意外だった。


「そう?」


「はい。」


「まあ……そんな自分の内面を悟られないようには心掛けてるからかな。」


実莉は苦笑する。


「自分についてきてくれるみんなを、不安にさせたくないから。」


「……。」


国崎は何も言えなかった。


「……何故、それを俺に?」


「うーーん……。」


実莉は少し考え込む。


そして。


「なぜだろうね。」


そう言って、ふっと笑った。


「アンタは、この会社に入ってから一番世話の焼ける後輩だけど。」


「ひどっ。」


「でも。」


実莉は少しだけ目を細める。


「ずーっと私についてきてくれてる仲間でもあるからかな?」


「……。」


国崎は何も返せなかった。


けれど、何も思わなかったわけではない。


少なくとも会社の中では。


実莉にとって、自分という存在は特別なものなのかもしれない。


そう思った。


「……のん先輩。」


「ん?」


「昨日も、晃さんと一緒に帰ってましたよね。」


「えっ、うん……。見てたの?」


「はい。」


国崎は一瞬間を置いてから、慌てて両手を振った。


「たまたまですよ? 断じて後をつけていたわけでは。」


「ふふっ。」


「二人の後ろ姿が見えたので、二人きりでご飯にでも行くのかなとか気になっちゃって、少し遠くから離れて見てただけで。」


必死に弁明する国崎を見て、実莉は思わず笑ってしまう。


「違う違う。陽奈ちゃんちにお邪魔してたの。」


「……陽奈?」


「うん。ほら、この前会ったでしょ? 晃くんのお姉さん。」


「あー!」


国崎が手を叩く。


「あの超絶足の遅い美人。」


「どんな印象よ。」


実莉は呆れたように笑った。


「まあ、事実だけど。」


「そこ認めるんですか。」


「とにかく、二人きりではないよ。」


「そ、そうですか……。」


国崎はホッとしたように息を吐く。


そして。


「前から気になってたんですが。」


「ん?」


「晃さんとは、どういう関係なんですか?」


「えっと……どういうとは?」


「いつも仲良さげだし。夏祭りでは二人でデートしてたし。」


「ええ……デートじゃないけど……。」


実莉は困ったように眉を下げる。


「今後は! 二人で何かご予定とかあるんですか?」


「よ……予定……?」


実莉は軽く混乱する。


デートの予定?


それとも、どこかへ出かける予定……?


「その……付き合う予定とか。」


小さな声だった。


けれど、国崎はしっかりと実莉を見つめていた。


「えっ。」


予想の斜め上を行く質問に、実莉は目を丸くする。


「べ……別にないけど。」


「そうなんですね。」


何を聞いてんだ、俺は。


そう思いながらも、国崎の胸の奥には小さな安堵が広がっていた。


「そろそろ、昼休み終わりますね。」


「うん。小会議室に戻ろうか。」


「はい。」


二人は食べ終えた食器を返却棚に戻し、食堂を後にした。


────


小会議室へ戻る廊下。


その方向から、何やら騒がしい声が聞こえてくる。


「うひょー! あっくんナイスプレイ!!!」


楽しげな相澤の声。


「「あっくん……?」」


二人は顔を見合わせ、首を傾げる。


晃をあだ名呼びしている。


実莉と国崎は、恐る恐る小会議室の扉を開けた。


すると。


「いやぁ、ラスクロでこんなに熱く戦えるとは思わなかったー!」


そこには、女子社員二人と晃、そして相澤がいた。


全員がスマホを横向きに持ち、ゲームをしている。


そして何より。


相澤の距離が、昨日とは比べ物にならないほど晃に近くなっていた。


ガラス扉を開けた実莉と国崎は、入口で呆然と立ち尽くす。


実莉の顔が、みるみる引きつっていく。


その声で、晃が二人の帰還に気づいた。


「あっ……おかえり……。」


少し気まずそうな顔をする晃。


「おー! おかえりなさーい!」


相澤は満面の笑みで手を振った。


「た……だいま……。」


国崎は、実莉の反応に違和感を覚える。


「ゲームしてるの?」


実莉は平静を装いながら尋ねた。


「はい! ラスクロの武闘大会を!」


「ラスクロ……。」


実莉の表情がさらに固まる。


その時。


昼休み終了の合図が鳴った。


「あ、もう時間だ。」


女子社員の一人がスマホをしまう。


「楽しかったねー!」


「是非、また戦わせてください。」


「え、あ、うーん……。」


晃は、ワイワイと騒ぎながら小会議室を出ていく女子社員たちに、曖昧に返事をする。


「よし。昼からも頑張ろうか。」


実莉はそう言うと、いつもの「のん先輩」の顔に戻った。


けれど。


国崎の頭には、先ほどから一つの言葉が引っかかっていた。


――ラスクロ。


実莉と晃の関係に、何か繋がりがあるのかもしれない。


その事実に気づき始めたのは。


この場では、国崎ただ一人だった。

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