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《23万文字1.8万PV突破!》リアルとゲームのギャップが凄いが何故か絵になる美男美女  作者: 小春日和
第4章 オフィス編

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第73話 触覚系男子、増殖…?

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その事件は突然起きた。


晃、出勤2日目の朝である。


「……どういうことなの、これ。」


その日の勤務は、実莉の素っ頓狂な一言から始まった。


────


時は数十分遡る。


晃出勤直後のことだ。


作業のために貸し切った小会議室に入る。


鍵は空いているが、今は誰も居ない。


部屋の片隅の机の上に、実莉のカバンだけが置かれている。


「実莉さん、もう会社にいるのか。」


ぼそっと呟く。


晃も席に着き、大きく深呼吸した。


そして、ズボンのポケットからヘアピンを取り出し、前髪を軽く止める。


普段は隠れている額が露わになる。


これがいつも作業する時のスタイルだ。


「よし。」


作業準備に取り掛かろうとしたその時だった。


「おはよーございまーす!」


扉の方から元気な挨拶が飛んできた。


「…おはようございます。」


晃は返事をしながら、ゆっくり振り返る。


そこに居たのは、相澤健人だった。


昨日とは異なり、無造作にセットされたヘアー。


そして。


頭のてっぺんにはピョコンと跳ねた触覚。


「……。」


晃は口を開け、視線を相澤の頭頂部に向けたまま固まった。


相澤も相澤で、晃の髪型を見て固まる。


「えっ?! 朝倉、今日あの髪型じゃないの?!」


「あの髪型……?」


晃はぼんやりしながら首を傾げる。


「ほら、昨日の頭の触覚。」


「……あー、あの謎の癖っ毛。」


思い出したように頷く。


「もしかしてあれって、わざとやってた髪型じゃないん?」


「いや、違う。たまたま。」


「ええええったまたまなの?!」


大袈裟に驚く相澤。


「てっきり流行ってる髪型なんかと思ったのに…」


「もしかしてそれ、俺の真似したの?」


晃が相澤の頭を指しながら言う。


相澤は扉の前で固まる。


暫くの沈黙の後。


相澤は両手でサッと頭頂部を隠した。


「べ、別に真似じゃないし。たまたまだし。」


「……そっか。」


相澤は頭頂部を抑えたまま、


少しぷくっと頬をふくらませながら、自分の席に向かって歩く。


「ちなみにさ。」


席に荷物を下ろした後、相澤が晃にコソッと話しかける。


「……その髪型って流行ってるの?」


「いや、これはオレの作業スタイル。」


「うんだよな。」


再び沈黙。


「今またパクろうと──」


晃の言葉を遮るように、相澤が口を開く。


「してない。パクろうとしてない。別にモテたい訳じゃないし。」


「下心見えすぎ……。」


「なんだよ新人のくせに!」


「急な先輩面……。」


晃が呆れていると。


「おはようございます。」


また1人、出勤してくる。


「おお、くに。おは……よ……」


扉を開けた国崎に挨拶を返した相澤が固まる。


「お前……」


国崎の頭を指す相澤の指が震える。


まるでホラーでも見ているかのように。


「……?」


相澤の反応を不思議に思い、晃も国崎の方を見る。


そして目を見開いた。


しっかりと跳ねているのだ。


頭頂部の1束の髪が。


「……国崎さんまで……?」


「……へ?」


2人の視線の行先が、自分の頭に生えた触覚である事に気づいた国崎は、


慌てて頭を抑えた。


「俺の…真似……?」


晃が首を傾げる。


「い! いやこれは違っ!」


「お前もモテたいのか……?」


相澤が口元を抑えながら言う。


「違うって!! これ寝癖!!」


慌てて頭頂部を撫でて髪を落ち着かせる。


だが何度触ってもピョコンと1束だけ天井に向かって飛び起きる。


その直後。


「あ、みんなもう来てたんだ。」


淹れたてのコーヒーを持った実莉が部屋に入ってくる。


「おはよう……?」


実莉の視線は男性陣の髪型に向かった。


そして冒頭へ戻る。


「……どういうことなの、これ。」


相澤と国崎の頭頂部ぴょこんとはねた1束の髪は、


誰が見ても昨日の晃を連想させる。


「なんで相澤くんとくにはその髪型なの……?」


固まる実莉に慌てる2人。


「あ! いやこれは寝癖なんです! 晃さんの真似をしたわけでは……!」


必死に弁明を図る国崎とは裏腹に、


「俺だってモテたいんです!! 女子社員にチヤホヤされたいんです!」


拳を握りしめ、熱弁する相澤。


「その髪型はモテないと思う…」


晃がタブレットを開きながらぼそっと呟く。


「モテてたじゃん!!! 昨日モテてたじゃん!」


「知らん……」


「ねぇ、このイケメンマッシュ君ずるいよ!」


相澤は、子供のように地団駄を踏む。


「俺はそんなんじゃ無いですからね! ほんとに寝癖なんです! ほら! のん先輩、見てください! 撫でても直らないでしょ?!」


言い合いする2人をよそに、


実莉の前で、実際に頭頂部を撫でてみせる国崎。


完全にカオス空間であった。


「朝からなんなの、ホント……。」


実莉が頭に手をやり、呆れながら呟く。


小さな会議室は、朝から大変賑やかだ。


「ほんとに俺のは寝癖ですからねーーーー…?!」


国崎の悲痛な叫びが会社全体に響き渡るのであった。


挿絵(By みてみん)

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