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《23万文字1.8万PV突破!》リアルとゲームのギャップが凄いが何故か絵になる美男美女  作者: 小春日和
第4章 オフィス編

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第67話 一方的ライバル認定

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午後6時。


仕事終わりのオフィス。


日が長くなり、外はまだお昼のように明るかった。


「なんか、外が明るいと早く帰れてる感じして得した気分。」


「そうですね。」


帰宅前の実莉のデスク。


嬉しそうに荷物をまとめながら笑う彼女の隣で、


国崎は苦い表情のまま、短く答えた。


結局一日中、国崎の気持ちはモヤモヤと雲がかかったままだった。


帰宅の準備を進める実莉の手元をぼんやりと眺める。


綺麗に整理されたデスクの端。


クリアファイルに丁寧に挟まれた数枚の書類。


上司に託された朝倉晃宛ての書類だ。


「よし、お待たせ!」


帰宅準備を終えた実莉は、最後にクリアファイルを大事にカバンの外ポケットにしまい、顔を上げた。


「じゃあ行こっか。」


「はい。」


実莉と共にエレベーターへ向かう。


短期間ではあるが、これから朝倉晃と同じ職場で過ごすことになる。


晃は、国崎の直属の上司である実莉のつながりで働くことになったため、


挨拶も兼ねて国崎も一緒に書類を届けることになったのだ。


オフィスを出て、2人並んで歩く。


本来ならスキップしたくなるほど最高のシチュエーション。


だが、今日の国崎は違う。


誰が見てもわかるほどに表情が固い。


そんな国崎の隣で、実莉はハンディファンを取り出し、電源をつける。


小さな風が実莉の髪の毛をふわりとくぐる。


風に乗った実莉の柔軟剤の優しい香りが国崎の鼻をくすぐった。


思わず実莉の方をチラリと見る。


不意に目が合う。


実莉が微笑みかけてくる。


「さすが夏。まだ明るいし、暑さも残ってるね。」


「ははっ、ほんとですねー」


国崎は居心地が悪そうに目を逸らしながら答える。


実莉は首を傾げる。


普段より口数が少ない国崎の様子に気づいていた。


国崎の様子を伺うようにしばらく無言で歩くが、


何かを思いついたようにハンディファンのボタンを押す。


そして、


実莉は突然、国崎にハンディファンを向けながら近づく。


「えいっ」


勢いよく国崎の頬にハンディファンの冷却プレートを押し付けた。


「冷たっ!? えっ?! 何?! 氷?!」


目を見開き、頬を押さえながら後ずさる国崎の反応を見て、


実莉は思わず吹き出した。


「ほんとおかしすぎ。」


「もぉーーなんなんですかー!」


頬を膨らませながらも、自分の目の前で腹を抱えて笑う実莉の姿を見て、つられて笑ってしまう。


「あ!」


「やっと笑った!」


「えっ」


「ほら、今日ずっとつれない顔してたでしょ?」


「あ……」


ばれてた。


「ちゃんと見てたよ?」


実莉はそう言いながら国崎の腕を人差し指でツンと押した。


見てた。


その一言にドキッとしてしまうが、


「見てたって……」


「うん、だって私。くにの直属の上司だから。」


「あ。あぁ、そういうことですか。」


「上司として後輩の変化にはちゃんと気づかないとねー。」


そう言って駅に向かって歩き出す。


少し立ち止まっていた国崎も、慌てて後を追う。


「くに?」


国崎が追いついたことを確認してから、実莉が口を開く。


「あっ、はい。」


「困ったことあったらさ」


「遠慮せずいつでも相談してよ?」


「困ったこと……」


その一言で、思わず口が開く。


「あの!」


「ん?」


「のん先輩は、晃さんのこと──」


どう思ってるんですか?


そう聞こうとした瞬間。


「あれっ?! 実莉ちゃん!」


少し離れた場所。


駅方面から、1人の女性が手を振りながら駆け寄ってくる。


毛先にかけて淡い桃色に染まったグレージュのセミロング。


スニーカーが地面を蹴るたびに、白いワンピースがふわりと揺れる。


「あ!」


「陽奈ちゃん!」


陽奈と呼ばれた女性は、大きく手を振りながら、


休まず足を動かしている。


……はずなのだが、


なかなか実莉たちの元へたどり着けない。


限りなく足が遅い。


「え……おそ……」


国崎は無意識のうちに思ったことを口にしてしまう。


こちらから迎えに行った方が早いのではないか。


国崎と実莉がそう思い始めた頃、


やっと合流できた陽奈。


「はぁ……はぁ……やっと着いた。」


まるで長距離でもマラソンしてきたかの如く、膝に手をやりながら前かがみで立ち止まる。


スピードの割にはかなり息が乱れている様子から、かなり体力が少ないことが伺える。


「お……お疲れ様です……」


少し引き気味に国崎が声をかける。


「お疲れ様……」


下を向いたまま、片手だけを上げて答える陽奈。


「ふぅ……」


ようやく息が整った陽奈は、髪をかきあげながら立ち上がった。


その瞬間、国崎はハッと息を飲んだ。


垂れ気味のくっきりとした二重。


愛嬌のある笑顔。


髪を派手に染めたギャルに見えるが、


その愛くるしい笑顔と小柄な体格は、どこか小動物を思わせる。


誰が見ても、可愛らしい美人。


そして。


初対面のはずなのに、


どこかで出会ったことがあるような気がする。


そんなことを思いながら、国崎は陽奈を見て首を傾げた。


「陽奈ちゃん、お仕事帰り?」


実莉が声をかける。


「そう、今日は少しだけ遅くなっちゃった。実莉ちゃんもお仕事お疲れ様!」


そう言いながら、陽奈の視線は国崎の方へ向く。


「こっちは国崎。職場の後輩。」


「あー! 後輩さんか! 初めまして〜。」


「あっ、はい! 初めまして、国崎翔馬です。」


慌てて頭を下げる。


「こんにちは〜、私は朝倉陽奈です。」


「朝倉……?」


「あ、そうそう。晃くんのお姉さんだよ。」


「えっ?!」


「晃のこと、知ってるんだ!」


「うん、2回ほど会ってると思う。」


「あぁ、そうだ! もうすぐ一緒にお仕事するんだっけ? 晃が言ってた。」


「そうなの。急に声かけたのにOKしてくれて、ほんとに助かった。」


「実莉ちゃんと仕事できるから、あの子も喜んでたよ! 遠慮せずこき使っちゃってね!」


「あ、そうだ。これから晃くんの家に書類を届けに行くところで……」


「あぁ、それなら明日で良かったら、私が渡しとこうか? 家来ると思うし。」


「え、いいの? 助かる!」


実莉と陽奈が会話をしている間も、国崎は驚いたまま固まっていた。


もちろん、会話の内容なんて入ってこない。


視線だけはずっと陽奈に向いている。


頭に浮かぶのは、


いつも眠たげなマッシュヘアのイケメン、朝倉晃。


晃に似ているから会ったことがある気がしたのか。


納得がいった。


晃とは数回しか顔を合わせていないが、


彼の言動から、いい人なのは国崎も分かっている。


頭では分かっているのだが。


先週は大人びた浴衣姿の実莉と親しげにデートして、


家に帰ればこんな美人な姉まで居るのか。


そんなことを考えていたら、


国崎の心の中にふつふつとなにかが湧き上がってくる。


ずるい。


ずるすぎる。


環境に恵まれすぎではないか。


幼稚な感情だという自覚はある。


だが。


(なんか……負けたくない!)


美人な姉の登場で、国崎のスイッチが入ってしまった。


その間に、実莉と陽奈の会話は終わってしまっていたようだ。


「ごめんね、じゃあ書類宜しくね! 提出は週末だから、それまでに書いてもらって。」


「了解〜。じゃあ気をつけてね。」


陽奈は去り際に、国崎に微笑みかける。


「国崎さんも、うちの弟を宜しくね!」


国崎はその声で我に返る。


「あっ! こちらこそ。」


駅の反対方向へと去っていく陽奈の後ろ姿を、実莉と共に見送る。


「やることなくなっちゃったね。」


実莉が言う。


「そうですね……。」


ぼんやりとしながら答える国崎。


「どう? 今からご飯行かない?」


突然の実莉からの提案に、明らかに表情が変わる。


「えっ!! 今からですか?!」


「そうだけど……ダメそう?」


「いやいやいや!! ダメなわけないです、行きます!」


「良かった。」


単純だなぁ。


そう思いながらも、実莉はクスッと笑ってしまう。


先程までのモヤモヤは完全に消えた。


今の嫉妬心は一旦忘れよう。


先のことはまた考えればいい。


そう思い、切り替える国崎。


だが、ライバルと共に職場で時を過ごす日は着実に近づいてきていた。

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