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《3章迄完結済17万文字突破!》リアルとゲームのギャップが凄いが何故か絵になる美男美女  作者: 小春日和
第3章 夏祭り編

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第59話 胸騒ぎ

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「なんか……癖、強くない……?」


歌恋の呟きに、桃子も小さく頷いた。


陽奈の隣にいる男性。


浴衣姿の陽奈と並んでいる姿は、決して「絵に描いたようなイケメン彼氏」ではなかった。


むしろ。


髪型は少し個性的で表情もどこか軽そう。


服装も祭りに気合いを入れてきたというより、


ふらっと遊びに来たような雰囲気。


二人が期待していた「王子様系イケメン」とは、かなり違っていた。


「……えーっと」


桃子が困ったように首を傾げる。


「まあ……でも」


歌恋が腕を組んだ。


「イケメンの基準って、人それぞれだし」


「そうだよね」


桃子も頷く。


「顔だけじゃないもんね。大事なのは中身!」


「そうそう。ひなちゃんが楽しそうなら、それが一番だよね」


二人は自分たちに言い聞かせるように何度も頷く。


本当は少しだけ残念だった。


保健室で楽しそうに電話していた相手。


浴衣を着て、いつもより少しおしゃれをして出かけた相手。


きっと、すごく素敵な人なのだと思っていた。


だけど。


恋愛は本人たちのものだ。


外野が勝手に口を出すものではない。


「……そっとしておいてあげよう」


「うん」


二人は陽奈たちへ近付くのをやめた。


「せっかく来たんだし」


桃子が夜空を見上げる。


「花火、最後まで楽しんで帰ろう!」


「賛成!」


二人は少しだけ肩を落としながらも、花火観覧席へ向かって歩き出した。


______


その頃ーー


有料観覧席。


花火開始まで、残り十分。


会場には開始を知らせるアナウンスが流れ始めていた。


『まもなく夏祭り花火大会が開始となります。観覧席の皆様は――』


大勢の人々が夜空を見上げ、期待に胸を膨らませている。


ブルーシートの前、


少し開けたスペースで相変わらず仲良くはしゃぎ回っているみはるととうや。


しかし。


ラスクロいつメンだけは、少しだけ空気が違っていた。


「……ねぇ」


実莉が不安そうに周囲を見渡す。


「やっぱり陽奈ちゃん遅すぎない?」


陽奈が買い出しに向かってから、かなり時間が経っている。


最初は誰も気にしていなかった。


屋台が混んでいるのかもしれない。


買い物に時間がかかっているのかもしれない。


そう思っていた。


だが。


さすがに遅い。


「道に迷ったとか……?」


拓郎が首を傾げる。


「陽奈ちゃん方向音痴ぽい……」


「いや、にしても遅すぎでしょ」


晃がスマホを取り出した。


「ていうか、有料観覧席って結構分かりやすい場所にあるよ?」


会場の入口から案内板も出ている。


陽奈が迷う可能性は低い。


「本人に聞くのが一番早い」


そう言って晃は電話をかける。


「あー確かに!」


実莉が頷いた。


「何かあったなら連絡くらい――」


その瞬間。


聞き覚えのある音楽が、大音量で流れた。



全員の動きが止まる。


「……え?」


「この曲……」


反射的に音の方向を見る。


音の発信元。


それは――


ブルーシートの上。


先程まで陽奈が座っていた場所。


そこに置かれたスマホだった。


画面には、


『晃着信』


と表示されている。


「……忘れてるね」


実莉が呟いた。


数秒の沈黙。


「なんでもっていってないんだよ!」


晃が頭を抱える。


「何のためのスマホなんですか」


拓郎も呆れたように言った。


「陽奈ちゃんらしいというか……」


実莉は苦笑する。


だが。


その中で。


一人だけ。


全く違う反応をしている人物がいた。


海斗。


彼はスマホから流れる音楽を、じっと見つめていた。


その曲。


その声。


そのメロディ。


間違えるはずがない。


Veilの曲だった。


「……Veil」


海斗が小さく呟く。


なぜ。


陽奈のスマホから、自分の曲が流れている?


その疑問の答えを探すように、画面を見つめる。


「え、今そこ気にする?」


晃が不思議そうに言った。


「姉ちゃんさ」


「もう五年くらい前からずっと、その歌手好きなんだよ」


その言葉を聞いた瞬間。


海斗の表情が固まった。


五年前。


ずっと。


陽奈が。


自分の歌を聴いていた。


胸の奥が、大きく跳ねた。


「ひなちゃんが……」


無意識に口元を押さえる。


「俺のこと……」


一瞬。


嬉しさが込み上げる。


「好きだったのか……」


その小さな呟き。


しかし。


周囲は聞き逃さなかった。


ぽかんと口を開けて海斗を見つめる。


「……」


「……」


「……」


「いや違うからね?」


晃がすぐにツッコむ。


「姉ちゃんが好きなのは、その歌手だから」


「好きな人が帰ってこない不安から、変な方向に思考飛んでません?」


拓郎も冷静に続ける。


「海斗さん……しっかりして」


実莉まで心配そうな顔をする。


三人からの鋭いツッコミ。


普段なら笑って返す海斗だった。


でも。


海斗の耳には届いていなかった。


胸の奥がざわついている。


嬉しいからじゃない。


違和感。


何かがおかしい。


陽奈がスマホを忘れるなんて、珍しいことではある。


でも。


ただ忘れただけなら。


なぜ、こんなにも嫌な予感がする?


海斗には分かった。


陽奈は困っている。


理由なんてない。


根拠もない。


ただ、


海斗の直感が告げていた。


――今すぐ陽奈の所へいけ。


次の瞬間。


海斗は立ち上がった。


「うわっ」


突然の行動に、晃たちが驚く。


「……行かなきゃ」


小さく呟く。


「え?」


「俺、ちょっと探してくる」


海斗はそう言って靴を履く。


「え、でも!」


実莉が慌てて声をかける。


「花火始まるよ!?」


人生で初めての日本の夏祭り。


楽しみにしていた花火。


有料観覧席。


全部。


今日のために用意された特別な時間。


でも。


今は。


そんなものより大切なものがある。


海斗は振り返らずに答えた。


「いいんだ」


静かな声。


「迎えに行かなきゃ」


少しだけ振り返る。


真剣な瞳。


「好きな人が困ってるんだから」


その言葉に。


三人は何も言えなくなった。


いつもの軽い雰囲気の海斗ではなかった。


本気だった。


「……姉ちゃんを頼んだよ」


晃が背中へ声をかける。


海斗は少しだけ笑った。


「任せて。弟よ」


「……」


「……」


「俺、まだあんたの弟じゃないんだけど」


晃のツッコミが飛ぶ。


その声を背中で聞きながら。


海斗は人混みの中へ走り出した。


花火開始まで、あと十数分。


そして、陽奈はまだ知らない。


自分を探して、


海斗が一番に動き出したことを。

◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈


ご覧頂きありがとうございます!

不規則に物語更新をしてしまってすみません(´;ω;`)

少しペースは乱れますが、今後もお話更新して行きますので、是非ブックマーク登録で最新話の更新をお待ちいただけるとありがたいです( *´꒳`*)

「面白い!」「続きが気になる!」と思ってくださったら、ページ下部にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、執筆の励みになります!星一つでもめちゃくちゃモチベーション上がります。


どうか応援よろしくお願いしますm(_ _)m


◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈

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