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《2章迄完結済15万文字突破!》リアルとゲームのギャップが凄いが何故か絵になる美男美女  作者: 小春日和
第3章 夏祭り編

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第58話 鯉、再び。

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買い出しを終え、帰ろうとした、その直後だった。


突然、陽奈の腕を誰かが掴んだ。


「……鯉……さん?!」


陽奈に名前を呼ばれた瞬間、男の表情がぱっと明るくなる。


「ハルちゃん! 覚えててくれたんだ!」


「えー! 浴衣めっちゃ似合うね!? かわい!」


「とりあえず腕、離してくれます?」


「あっ、ごめんごめん! 会えたのが嬉しくて、つい。」


片手で頭をかきながら、慌てて手を離す鯉。


「どうしてここに……?」


突然現れた予想外の人物に、陽奈は戸惑いを隠せない。


「ラスクロでチャットしてるの、チラッと見ちゃったんだよね。」


「夏祭りに参加するって言ってたからさ。調べたら電車で簡単に来られる場所だったし。」


「今日来たら、またハルちゃんに会えるかなって!」


「あぁ……そういうことですか。」


(あちゃー……見られたくない人に見られてたな。)


確かに今日は、ラスクロの武闘会会場チャットで予定を合わせていた。


オープンチャットだったとはいえ、その場にプレイヤーは見当たらなかったため、完全に油断していたのだ。


「ハルちゃん、ゲーム内だとつれないからさぁ。」


「もう一回、直接会って話したいなって。」


「あはは……そういうことですか。」


確かに最近の陽奈は、ゲーム内で鯉を避けていた。


女性プレイヤーに誰彼構わず声をかけるため、自然と距離を置くようになっていたのだ。


いわゆる”出会い厨”である。


(厄介だな……。)


陽奈は周囲をさりげなく見渡す。


鯉と一緒に来たらしい人物は見当たらない。


「え、一人で来たんですか?!」


「もちろん!」


満面の笑みだった。


「ハルちゃんは? もしかして一人なの?」


期待に満ちた目で聞いてくる。


「いや、ゲーム内チャット通り、ラスクロのいつメンと来てて……。」


「でも今は一人だよね!」


鯉は身を乗り出した。


「だからさ……俺とデートしてよ!」


「いや、だから、いつメンが花火の観覧席で待ってて……。」


「あっ、そうか! もうすぐ花火上がるよね!」


「じゃあ、せっかく会えたんだし二人で見ようよ! ね!」


「この人、全然話聞かないな?!」


陽奈のツッコミが祭りの喧騒に響く。


「そんなこと言わないでさぁ!」


「今日はハルちゃんに会うためだけに来たんだよ!」


(本当はアキちゃんや、すい♡ちゃんにも会ってみたいけど。)


(でもハルちゃん、若くて美人だし……。)


(浴衣姿のハルちゃんとデートできたら大収穫!)


(願わくば……。)


(手を繋いで花火を見て。)


(そのまま――キス!!)


(そこから始まる二人の恋!!)


(……鯉だけに。ぷふっ。)


鯉の頭の中では、下心全開の妄想が繰り広げられていた。


もちろん、そんなことは露ほども知らない陽奈は、大きくため息をつく。


「しつこいと嫌われますよ。」


「そんなこと言わないでさぁ。」


「賑やかなお祭りで一人で歩くの、結構メンタルにくるんだよ。」


(じゃあ何で一人で来た。)


陽奈は心の中で鋭くツッコミを入れた。


その直後。


鯉は両手をパンッと合わせる。


「ね! 一瞬だけでいいから相手して!」


「俺を助けると思って! お願い!」


少し情けない姿ではあったが、鯉はそんなことを気にしている場合ではなかった。


前回は、貝類に追い返された。


今回も、このまま黙って陽奈を貝類のもとへ帰すわけにはいかない。


少しでも長く、自分のそばへ引き留めたい。


その意地は、貝類への小さな仕返しでもあった。


なかなか引き下がらない鯉に、陽奈は半ば諦めモードへ入りつつあった。


(ほんとに厄介な人に捕まっちゃった……。)


(こんなことなら、海斗さんと買い出しに来ればよかった。)


「はぁ……。」


陽奈はため息をつき、屋台の熱気で霞む夜空を見上げた。



一方その頃――


屋台が立ち並ぶ通り。


腕を組みながら仲良く歩く二人の女子中学生がいた。


一人は肩の上で綺麗に切り揃えられた黒髪に、ロリポップをくわえた少女。


鈴木歌恋。


もう一人は、色素の薄い髪を左右でふたつ結びにした少女。


香山桃子。


陽奈が勤める中学校に通う二年生コンビだ。


二人とも動きやすさ重視のラフな服装。


手には、お揃いのヨーヨーが揺れていた。


「やっぱお祭りは屋台巡りだよねー。」


歌恋がヨーヨーをつきながら言う。


「だよねー。でも射的、一個も取れなかったの納得いかない!」


桃子が悔しそうに頬を膨らませる。


「全然違う方向に飛んでたじゃん。」


歌恋は、桃子のコルクが真横へ飛び、おじさんが慌てて避けた姿を思い出して吹き出した。


「あれは風が吹いたから!」


「強風すぎでしょ。」


即座にツッコミが入る。


「ほかの当て物でリベンジしたい……。」


「それもいいけどさ。」


歌恋は桃子の肩をぽんっと叩いた。


「本来の目的、ちゃんと覚えてる?」


「もちろん!」


二人が祭りへ来た本当の理由。


それは――


「「ひなちゃんのデート偵察!!」」


互いを指差しながら声を揃える。


思わず顔を見合わせ、クスッと笑った。


今日の放課後。


保健室で聞こえてきた、陽奈と誰かの楽しそうな電話。


その真相を確かめるため、急遽夏祭りへの参戦を決めたのだった。


「覚えてるならよし!」


歌恋は満足そうに頷く。


「屋台巡りもいいけど、ひなちゃん探しながら歩かないとね。」


「イケメン気になるー!」


何でも首を突っ込みたくなる年頃である。


「でもさ……。」


二人は周囲を見渡した。


「全然見つからないね。」


陽奈を探し始めて、気付けば一時間近く。


途中、屋台に夢中になる時間もあったが、それでも見つからなかった。


「美男美女カップルなら、すぐ目につきそうなのになぁ。」


桃子が腕を組む。


「あっ!」


歌恋が手を叩いた。


「もうすぐ花火始まるし、観覧エリアにいるんじゃない?」


「絶対そうじゃん!」


「歌恋、天才!」


再び腕を組み、人混みを器用にかき分けながら歩き出す。


その時だった。


「あっ!!」


歌恋が突然足を止める。


「あわっ!」


桃子が少しだけバランスを崩した。


「な、何?」


「見つけた!」


「あれ、絶対ひなちゃん!」


歌恋が指差した先。


少し離れた場所に、白地に淡い桃色の花柄が入った浴衣姿の女性が立っていた。


横顔だけでも分かる。


間違いなく陽奈だった。


「えっ! ひなちゃん浴衣姿だ!」


「めっちゃ似合ってる!」


「ってことは……。」


桃子が目を輝かせる。


「あれだけおしゃれしてるんだから、絶対デートだよね!」


「絶対そう!」


「お相手さん見える?」


「うーん……ここからじゃ見えない。」


花火会場へ向かう人の流れが邪魔をして、一緒にいる人物が見えない。


二人は人波をかき分けながら近付いていく。


すると。


人の隙間から、男性の姿がちらりと見えた。


「え……?」


二人の顔が引きつった。


陽奈の隣にいたのは――


「なんか……癖、強くない……?」


二人の期待とは裏腹に、


そこにいたのは、イケメンとは程遠い人物だった。

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ご覧頂きありがとうございます!

少しづつではありますが、お話の更新を頑張って参ります。是非ブックマーク登録で最新話の更新をお待ちいただけるとありがたいです( *´꒳`*)


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