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《2章迄完結済15万文字突破!》リアルとゲームのギャップが凄いが何故か絵になる美男美女  作者: 小春日和
第3章 夏祭り編

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第57話 陽奈が海斗を避ける理由

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「……まあ、仕方ないんだよ。」


晃は遠くを見つめながら呟いた。


その視線の先には、人混みを器用にすり抜けながら屋台へ向かう陽奈の姿があった。


「どういうこと?」


海斗が首を傾げる。


「姉ちゃんはさ、過去に青春拗らせてるから。」


「へ?」


驚いた顔をする海斗。


晃は少し考えるように間を置く。


「姉ちゃんは昔から、女の扱いが上手いタイプの男に弱かったんだよ。」


「……え?」


海斗だけでなく、その場の全員が思わず晃を見る。


「学生の頃。」


「海斗さんみたいなタイプの先輩と付き合ってた。」


「俺みたいな?」


海斗は自分を指差した。


「背が高くて、スタイルも顔も良くて、女の子にモテるタイプ。」


「距離も近くて、誰にでも優しくて。」


「まあ……。」


海斗は苦笑する。


「確かに否定はできない。」


晃は続けた。


「ひなは、その先輩のこと本気で好きだった。」


「でも。」


その一言で空気が少し静かになる。


「結局、その先輩は別の女を選んだ。」


「……。」


「二股だったんだよ。」


「ひなは振り回されて。」


「最後は何も言わずに、その先輩はいなくなった。」


海斗の表情から笑みが消えた。


晃は静かに続ける。


「それ以来かな。」


「女の子との距離が近い男が苦手になった。」


「同じように見えちゃうんだと思う。」


「また裏切られるかもしれない、傷付くかもしれないって。」


海斗は視線を落とした。


「……なるほど。」


拓郎も腕を組む。


「だから、あんなに距離を取るんですね。」


「うん。」


晃は頷く。


「反動なんだよ。」


「それからは逆に。」


「誠実そうで、無口で、女の人に簡単になびかない人。そういうタイプを好きになるようになった。」


「なるほど。」


実莉も納得したように頷いた。


「だから海斗さんが距離を縮めようとすると。」


「本能的に警戒しちゃうんだね。」


「……。」


海斗は両膝に肘を乗せ、大きく息を吐いた。


「だから空回りするのか。」


肩を落とす。


「結構ショックなんだけど。」


「女たらしという共通点が大きいですね。」


拓郎が真顔で返す。


「俺、その先輩じゃないし。」


海斗は苦笑した。


すると拓郎が眼鏡を押し上げながら淡々と言う。


「ですが。」


「ひなさんの好きなタイプ。」


「貝類さん、そのものじゃないですか。」


「……あ。」


海斗が固まる。


「確かに。」


ラスクロでの”貝類”。


無口。


必要以上に喋らない。


女性相手でも態度を変えない。


初対面の相手からは怖がられるほどにクールだ。


腕前だけで仲間から信頼される存在。


陽奈が何年も憧れていた人物像と重なる。


「……。」


晃と実莉は思わず顔を見合わせた。


二人だけは知っている。


陽奈――いや、ハルが。


何年も貝類に憧れ続けていたことを。


だからこそ。


今ここで、


「ハルはずっと貝類のことを好きだった。」


などと本人以外が言うのは違う。


その秘密は、


本人が伝えるべきものだ。


二人は何も言わず、小さく視線だけで意思を交わした。


晃は苦笑しながら話をまとめる。


「まあ。」


「要するに、そういうタイプが好きってこと。」


「……。」


海斗は天を仰ぐ。


「これ、ちょっと痛いなぁ。」


苦笑が漏れた。


「過去の男ぶん殴りたい。」


「そいつのせいで、俺めちゃくちゃ苦労しそうなんだけど。」


その一言に、


実莉が思わず吹き出す。


「ふふっ。やっぱり海斗さん陽奈ちゃんのこと好きなんだね。」


「バレた?」


限定カフェの日、晃と拓郎だけが知った衝撃の事実。


海斗の言動は、その事実を全く隠せていなかった。


隠すつもりも無かったのだが。


「話聞いてたらすぐ分かるよ。」


実莉がクスッと笑う。


拓郎も小さく笑った。


「かなりハードルの高い人を好きになってしまったものですね。」


「笑い事じゃないって。」


海斗は頭を抱える。


「スタート地点がマイナスなの、結構きついんだから。」


その様子を見て、


晃は小さく肩をすくめた。


「でも。」


「ひなは一回信用した相手には、とことん一途だから。」


「そこだけは昔から変わってないよ。」


その言葉だけが、


少しだけ海斗の表情を和らげた。



その頃――。


屋台で賑わう通りを、


陽奈は紙袋を片手に歩いていた。


「みーちゃんはりんご飴……。」


「とうやくんもりんご飴。」


「拓郎さんは唐揚げ。」


指折り数えながら歩く。


その時だった。


「……くしゅんっ。」


小さなくしゃみが出る。


陽奈は鼻をこすりながら苦笑した。


「誰か私の噂してる……?」


もちろん、


今まさに海斗たちが自分の話をしていることなど知る由もない。


歩いていると、


赤く艶やかなりんご飴が並ぶ屋台が見えてきた。


「あ、あった!」


陽奈は嬉しそうに駆け寄る。


「りんご飴三つください!」


店主から受け取ったりんご飴を袋へ入れ、


その隣の屋台へ向かう。


「唐揚げ大サイズ、一つお願いします。」


揚げたての唐揚げが紙袋へ詰められる。


ちょうどその時。


会場全体にアナウンスが流れた。


『まもなく花火大会開始十分前となります。』


『お席へのご移動をお願いいたします。』


「あ。」


陽奈は空を見上げる。


「もうそんな時間。」


「そろそろ戻らなくちゃ。」


袋を持ち直し、


来た道を引き返そうとした――その瞬間だった。


ぐいっ。


「えっ!?」


突然、


誰かに腕を強く掴まれた。


勢いよく身体が引っ張られる。


「きゃっ……!」


足がもつれる。


咄嗟に踏ん張り、


なんとか転倒だけは免れた。


心臓が大きく跳ねる。


「ちょっと!」


「何なんですか!?」


陽奈は勢いよく振り返る。


その男は、


陽奈の腕を掴んだまま、


静かに呟いた。


「……見つけた。」


どこか聞き覚えがある。


陽奈の背中がゾクリと震える。


街灯に照らされた男の顔が、


ゆっくりとはっきりと見えた。


黒髪にメガネ。


キャップ帽を被っている。


少し低めの身長。


ぽっちゃりとしたお腹。


かなり癖の強い雰囲気。


忘れるはずがない。


間違いなくその男は。


ラスクロ限定カフェへ向かう電車で出会ってしまった人物だった。


「……あなたは。」


息を呑む。


信じられないものを見るように、


その名を口にした。


「……鯉…さん?!」

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ご覧頂きありがとうございます!

少しづつではありますが、お話の更新を頑張って参ります。是非ブックマーク登録で最新話の更新をお待ちいただけるとありがたいです( *´꒳`*)


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