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《3章迄完結済17万文字突破!》リアルとゲームのギャップが凄いが何故か絵になる美男美女  作者: 小春日和
第3章 夏祭り編

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第56話 負けた人が買い出しです

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花火待ちで賑わう人々の向こう側。


陽奈たちが確保した観覧席を探しながら歩く晃と実莉の姿。


そして、その二人の手は――しっかりと繋がれていた。


「……嘘でしょ。」


予想外の結果に、陽奈は口元を押さえたまま固まる。


「大丈夫ですか?」


「一人で買い出しに行くことになりましたけど。」


晃たちから目を離せない陽奈に向かって、拓郎が淡々と言った。


先ほど煽られた仕返しである。


「あの晃が手を……。」


「信じらんない。夏祭りマジックにかかってるじゃん。」


拓郎の煽りは、まるで耳に入っていなかった。


そんな陽奈を見て、海斗と拓郎は顔を見合わせ、小さく肩を竦める。


そして海斗が陽奈の肩を軽く叩いた。


「へっ?」


その手で我に返る陽奈。


間の抜けた声に、海斗は思わず笑う。


「買い出し、俺と行こうよ。」


「二人で。」


優しく誘う。


拓郎はそのやり取りを黙って見つめる。


(海斗さんなりの気遣いなんでしょうね。)


そう思った次の瞬間。


「俺も、ひなちゃんと手繋ぎデートしたい。」


海斗は真顔で言った。


拓郎は静かに目を閉じる。


(違った。)


(下心だった。)


その一言に、陽奈はため息をつきながら海斗の手を軽く払った。


「一人で行く。」


「賭けだし。」


「えーーー。」


海斗が子どものように頬を膨らませる。


ハーフ顔のイケメンが見せる膨れっ面。


かなりレアである。


普通の女性なら、その破壊力に少しは心が揺らぐかもしれない。


しかし陽奈はまったく気にせず続けた。


「そんな顔しても連れてかないから。」


「なんで勝った人と一緒に行くのよ。」


「けち。」


「けちじゃない!」


「賭けたの自分でしょー!」


「ちぇー。」


拗ねたように口を尖らせる海斗。


陽奈は気持ちを切り替えるようにパンッと両手を叩いた。


「とりあえず買い出しは、全員揃ってからだね。」


そう言うと、大きく息を吸い込む。


「あーきーらー!」


「みーのーりーちゃーん!」


大きく手を振りながら呼ぶ。


その声はすぐに二人へ届いた。


陽奈に気付いた実莉は目を見開き、


慌てて晃の手を離す。


晃もその勢いに少し驚きながら、


つられるように手をズボンのポケットへしまった。


まるで最初から何事もなかったかのように。


そんな二人を見て、


観覧席の三人は一斉に吹き出した。


「手遅れすぎ。」


陽奈がお腹を抱えて笑う。


「何笑ってんの?」


合流した晃が首を傾げる。


「いや、別に。」


拓郎が平然と言う。


「手、繋いだままでも良かったのにー。」


海斗が悪戯っぽく笑う。


「「えっ。」」


見られてた。


そんな心の声が、そのまま顔に出ていた。


「別にあれは……。」


晃が咳払いをする。


「実莉さんが寄り道すると、合流が遅くなるから手を引いてただけ。」


「そ、そうそう!」


「別に変な意味とかないから!」


実莉も慌てて頷く。


「へぇ〜。」


陽奈がニヤニヤしながら頷く。


「青春だねぇ〜。」


「羨ましいねぇ〜。」


その横で海斗も深く頷く。


「そ、そんなことより!」


実莉が慌てて話題を変えた。


「有料観覧席だなんてすごいね!」


「しかも、一番見やすい場所だし!」


「あ、写真見ながらその話してたんだよね。」


晃も頷きながら周囲を見渡す。


無料観覧エリアと違い、


有料席は人との間隔が広い。


みはるととうやが走り回れるほど余裕があった。


「あ!」


「あきらおにーちゃん!」


「みのりおねーちゃん!」


二人が戻ってきたことに気付いたみはるが駆け寄る。


とうやもトコトコと後を追う。


「……おかえりなさい。」


少し照れくさそうにとうやが言う。


「ただいま。」


実莉が優しく微笑んだ。


「ここすごいでしょ!!」


「みーちゃんがね、お願いしたの!」


胸を張って自慢するみはる。


「席を取ったのは、みはるではなく海斗さんですが。」


拓郎が呆れ顔で補足する。


「しかも!」


「はなびが見えやすい、びっぷせきだよ!」


「「VIP席!」」


陽奈と実莉の声が綺麗に重なった。


「二人ともVIPって言葉に弱すぎ。」


海斗が笑う。


ラスクロカフェでも同じ反応をしていたことを思い出す。


「ごめんごめん、つい。」


陽奈は照れ笑いを浮かべた。


「それにしても、すごいね。」


「こんなお金、どこから出てきたの?」


実莉が海斗を見る。


「もしかして……競艇の賞金?」


晃が顎に手を当てる。


「ご名答。」


海斗が指を鳴らした。


「昨日ちょこっとお小遣いが入ったもので。」


「今日は奮発しちゃいました。」


ウインクしながら舌を出す。


「可愛げに言うけど、金の出どころは全然可愛くないな。」


晃が真顔で返した。


「こんな美味しい思いができるんだ……。」


「競艇っていいね。」


陽奈がぽつりと呟く。


「お?」


「今度一緒に行ってみる?」


「色々教えるよ。」


海斗がすかさず勧誘する。


「……アリかもしれない。」


陽奈の心が少し揺れる。


「姉ちゃんは絶対金減らすからダメ。」


晃が即答した。


「そんなことないよ!?」


「私、案外賭け事得意――」


言いかけたところで、


拓郎がぼそりと呟く。


「……ちょうど今、賭けに負けたところですけど。」


「……っ!」


グサリ。


陽奈は胸を押さえた。


「うっ……。」


「賭け?」


「何の話?」


晃と実莉が不思議そうに首を傾げる。


「ナ、ナンデモナイヨ!」


「出たよ、インコ風の口調。」


海斗が笑う。


嘘をつくのが致命的に下手な陽奈である。


「まあ、何はともあれ。」


拓郎が話を戻した。


「こんな素敵な席を用意していただき、ありがとうございます。」


海斗へ頭を下げる。


それにつられて、みんなもお礼を言った。


「どういたしまして。」


海斗は照れくさそうに微笑む。


陽奈はその様子を見届けると、すっと立ち上がった。


「じゃあみんな。」


「花火まで少し時間あるし、何か欲しいものない?」


「私が買ってくるよ。」


その言葉に真っ先に反応したのは子どもたちだった。


「みーちゃん、りんごあめ!!」


「……ぼくも、りんごあめ。」


「おっけー!」


「りんご飴二つね!」


「私は唐揚げ、大きいサイズをお願いします。」


「りんご飴の隣のお店です。」


拓郎が手を挙げる。


「了解!」


「りんご飴二つと、唐揚げ大ね!」


「他のみんなは?」


実莉、晃、海斗が揃って首を横に振る。


「大丈夫。」


「俺たちは焼きそばとか食べてきたから。」


「分かった!」


「じゃあ、ちょっと行ってくるね。」


陽奈が踵を返した、その時。


「……やっぱ俺も行く!」


慌てて立ち上がったのは海斗だった。


陽奈は振り返る。


「えー。」


「さっき断ったでしょ?」


少し嫌そうな顔をする。


手繋ぎ目当てだと思ったらしい。


「違うって。」


「人混みだから心配なんだよ。」


「大丈夫だって!」


「ちゃんと帰ってこれる!」


「ま――」


海斗が言い終えるより早く、


陽奈は駆け足で人混みへ消えていった。


「いってらっしゃーい!」


みはるが元気よく手を振る。


その横で海斗は、


陽奈へ伸ばした手を宙に残したまま固まっていた。


「……行っちゃいましたね。」


拓郎がぽつりと呟く。


「ドンマイ。」


晃が肩をすくめる。


海斗は力なく手を下ろした。


「はぁぁ……。」


大きなため息が漏れる。


「なんかさぁ。」


その場に座り込みながら、


自分を指差す。


「俺、避けられてない?」


「そのように見えなくもないですね。」


拓郎が腕を組む。


「結局どっち?」


「避けられてますね。」


「やっぱりかぁ……。」


頭を抱える海斗。


その姿に実莉と拓郎は苦笑した。


そんな中、晃が静かに口を開く。


「……まあ、仕方ないんだよ。」


背中に手をつきながら、遠くを見る。


「それ、どういうこと?」


海斗が顔を上げる。


晃は屋台へ向かっていく陽奈の背中を見つめたまま答えた。


「姉ちゃんはさ。」


「過去に青春、拗らせてるから。」

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ご覧頂きありがとうございます!

少しづつではありますが、お話の更新を頑張って参ります。是非ブックマーク登録で最新話の更新をお待ちいただけるとありがたいです( *´꒳`*)


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