第56話 負けた人が買い出しです
◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈
本作品のキャラモチーフのLINEスタンプ販売中です!
『リアルとゲームのギャップが凄い人達』
で検索してみてください☆
晃、陽奈、実莉、拓郎、海斗のリアルとゲームのキャラクタースタンプです。
「電話できん?」「ご飯あるよ」「え?なに?」「肝に念じろ」
等色々な場面で使えるスタンプがたっぷり40個入ってます。
リアギャプメンバーと一緒にLINEトークを盛り上げていきましょう!
◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈
花火待ちで賑わう人々の向こう側。
陽奈たちが確保した観覧席を探しながら歩く晃と実莉の姿。
そして、その二人の手は――しっかりと繋がれていた。
「……嘘でしょ。」
予想外の結果に、陽奈は口元を押さえたまま固まる。
「大丈夫ですか?」
「一人で買い出しに行くことになりましたけど。」
晃たちから目を離せない陽奈に向かって、拓郎が淡々と言った。
先ほど煽られた仕返しである。
「あの晃が手を……。」
「信じらんない。夏祭りマジックにかかってるじゃん。」
拓郎の煽りは、まるで耳に入っていなかった。
そんな陽奈を見て、海斗と拓郎は顔を見合わせ、小さく肩を竦める。
そして海斗が陽奈の肩を軽く叩いた。
「へっ?」
その手で我に返る陽奈。
間の抜けた声に、海斗は思わず笑う。
「買い出し、俺と行こうよ。」
「二人で。」
優しく誘う。
拓郎はそのやり取りを黙って見つめる。
(海斗さんなりの気遣いなんでしょうね。)
そう思った次の瞬間。
「俺も、ひなちゃんと手繋ぎデートしたい。」
海斗は真顔で言った。
拓郎は静かに目を閉じる。
(違った。)
(下心だった。)
その一言に、陽奈はため息をつきながら海斗の手を軽く払った。
「一人で行く。」
「賭けだし。」
「えーーー。」
海斗が子どものように頬を膨らませる。
ハーフ顔のイケメンが見せる膨れっ面。
かなりレアである。
普通の女性なら、その破壊力に少しは心が揺らぐかもしれない。
しかし陽奈はまったく気にせず続けた。
「そんな顔しても連れてかないから。」
「なんで勝った人と一緒に行くのよ。」
「けち。」
「けちじゃない!」
「賭けたの自分でしょー!」
「ちぇー。」
拗ねたように口を尖らせる海斗。
陽奈は気持ちを切り替えるようにパンッと両手を叩いた。
「とりあえず買い出しは、全員揃ってからだね。」
そう言うと、大きく息を吸い込む。
「あーきーらー!」
「みーのーりーちゃーん!」
大きく手を振りながら呼ぶ。
その声はすぐに二人へ届いた。
陽奈に気付いた実莉は目を見開き、
慌てて晃の手を離す。
晃もその勢いに少し驚きながら、
つられるように手をズボンのポケットへしまった。
まるで最初から何事もなかったかのように。
そんな二人を見て、
観覧席の三人は一斉に吹き出した。
「手遅れすぎ。」
陽奈がお腹を抱えて笑う。
「何笑ってんの?」
合流した晃が首を傾げる。
「いや、別に。」
拓郎が平然と言う。
「手、繋いだままでも良かったのにー。」
海斗が悪戯っぽく笑う。
「「えっ。」」
見られてた。
そんな心の声が、そのまま顔に出ていた。
「別にあれは……。」
晃が咳払いをする。
「実莉さんが寄り道すると、合流が遅くなるから手を引いてただけ。」
「そ、そうそう!」
「別に変な意味とかないから!」
実莉も慌てて頷く。
「へぇ〜。」
陽奈がニヤニヤしながら頷く。
「青春だねぇ〜。」
「羨ましいねぇ〜。」
その横で海斗も深く頷く。
「そ、そんなことより!」
実莉が慌てて話題を変えた。
「有料観覧席だなんてすごいね!」
「しかも、一番見やすい場所だし!」
「あ、写真見ながらその話してたんだよね。」
晃も頷きながら周囲を見渡す。
無料観覧エリアと違い、
有料席は人との間隔が広い。
みはるととうやが走り回れるほど余裕があった。
「あ!」
「あきらおにーちゃん!」
「みのりおねーちゃん!」
二人が戻ってきたことに気付いたみはるが駆け寄る。
とうやもトコトコと後を追う。
「……おかえりなさい。」
少し照れくさそうにとうやが言う。
「ただいま。」
実莉が優しく微笑んだ。
「ここすごいでしょ!!」
「みーちゃんがね、お願いしたの!」
胸を張って自慢するみはる。
「席を取ったのは、みはるではなく海斗さんですが。」
拓郎が呆れ顔で補足する。
「しかも!」
「はなびが見えやすい、びっぷせきだよ!」
「「VIP席!」」
陽奈と実莉の声が綺麗に重なった。
「二人ともVIPって言葉に弱すぎ。」
海斗が笑う。
ラスクロカフェでも同じ反応をしていたことを思い出す。
「ごめんごめん、つい。」
陽奈は照れ笑いを浮かべた。
「それにしても、すごいね。」
「こんなお金、どこから出てきたの?」
実莉が海斗を見る。
「もしかして……競艇の賞金?」
晃が顎に手を当てる。
「ご名答。」
海斗が指を鳴らした。
「昨日ちょこっとお小遣いが入ったもので。」
「今日は奮発しちゃいました。」
ウインクしながら舌を出す。
「可愛げに言うけど、金の出どころは全然可愛くないな。」
晃が真顔で返した。
「こんな美味しい思いができるんだ……。」
「競艇っていいね。」
陽奈がぽつりと呟く。
「お?」
「今度一緒に行ってみる?」
「色々教えるよ。」
海斗がすかさず勧誘する。
「……アリかもしれない。」
陽奈の心が少し揺れる。
「姉ちゃんは絶対金減らすからダメ。」
晃が即答した。
「そんなことないよ!?」
「私、案外賭け事得意――」
言いかけたところで、
拓郎がぼそりと呟く。
「……ちょうど今、賭けに負けたところですけど。」
「……っ!」
グサリ。
陽奈は胸を押さえた。
「うっ……。」
「賭け?」
「何の話?」
晃と実莉が不思議そうに首を傾げる。
「ナ、ナンデモナイヨ!」
「出たよ、インコ風の口調。」
海斗が笑う。
嘘をつくのが致命的に下手な陽奈である。
「まあ、何はともあれ。」
拓郎が話を戻した。
「こんな素敵な席を用意していただき、ありがとうございます。」
海斗へ頭を下げる。
それにつられて、みんなもお礼を言った。
「どういたしまして。」
海斗は照れくさそうに微笑む。
陽奈はその様子を見届けると、すっと立ち上がった。
「じゃあみんな。」
「花火まで少し時間あるし、何か欲しいものない?」
「私が買ってくるよ。」
その言葉に真っ先に反応したのは子どもたちだった。
「みーちゃん、りんごあめ!!」
「……ぼくも、りんごあめ。」
「おっけー!」
「りんご飴二つね!」
「私は唐揚げ、大きいサイズをお願いします。」
「りんご飴の隣のお店です。」
拓郎が手を挙げる。
「了解!」
「りんご飴二つと、唐揚げ大ね!」
「他のみんなは?」
実莉、晃、海斗が揃って首を横に振る。
「大丈夫。」
「俺たちは焼きそばとか食べてきたから。」
「分かった!」
「じゃあ、ちょっと行ってくるね。」
陽奈が踵を返した、その時。
「……やっぱ俺も行く!」
慌てて立ち上がったのは海斗だった。
陽奈は振り返る。
「えー。」
「さっき断ったでしょ?」
少し嫌そうな顔をする。
手繋ぎ目当てだと思ったらしい。
「違うって。」
「人混みだから心配なんだよ。」
「大丈夫だって!」
「ちゃんと帰ってこれる!」
「ま――」
海斗が言い終えるより早く、
陽奈は駆け足で人混みへ消えていった。
「いってらっしゃーい!」
みはるが元気よく手を振る。
その横で海斗は、
陽奈へ伸ばした手を宙に残したまま固まっていた。
「……行っちゃいましたね。」
拓郎がぽつりと呟く。
「ドンマイ。」
晃が肩をすくめる。
海斗は力なく手を下ろした。
「はぁぁ……。」
大きなため息が漏れる。
「なんかさぁ。」
その場に座り込みながら、
自分を指差す。
「俺、避けられてない?」
「そのように見えなくもないですね。」
拓郎が腕を組む。
「結局どっち?」
「避けられてますね。」
「やっぱりかぁ……。」
頭を抱える海斗。
その姿に実莉と拓郎は苦笑した。
そんな中、晃が静かに口を開く。
「……まあ、仕方ないんだよ。」
背中に手をつきながら、遠くを見る。
「それ、どういうこと?」
海斗が顔を上げる。
晃は屋台へ向かっていく陽奈の背中を見つめたまま答えた。
「姉ちゃんはさ。」
「過去に青春、拗らせてるから。」
◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈
ご覧頂きありがとうございます!
少しづつではありますが、お話の更新を頑張って参ります。是非ブックマーク登録で最新話の更新をお待ちいただけるとありがたいです( *´꒳`*)
「面白い!」「続きが気になる!」と思ってくださったら、ページ下部にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、執筆の励みになります!星1つ頂けるだけでもモチベーションめちゃくちゃ上がります!
皆様、応援よろしくお願い致します(>人<;)
◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈




