表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《2章迄完結済15万文字突破!》リアルとゲームのギャップが凄いが何故か絵になる美男美女  作者: 小春日和
第3章 夏祭り編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
56/66

第53話 射的名人


LINEスタンプ販売中!

「リアルとゲームのギャップが凄い人達」

で是非検索してみてください☆

メイン5人のリアルとゲームのキャラクター計10人をイラスト化したスタンプセットとなっています。

たっぷり40個入りです。


晃と実莉が十円パンの屋台の列に並んでいた頃ー


子供たちの声で賑わう射的屋。


「一回五百円! 五発だよー!」


威勢のいい店主の声が響く。


射的屋の店先には、お菓子やフィギュア、小さなおもちゃが所狭しと並び、一番上には大きな白いうさぎのぬいぐるみが吊るされていた。


「うさぎさん!!」


みはるは目を輝かせる。


「これほしい!」


店主から空気銃を受け取り、嬉しそうに構えた。


「よーし!」


小さな肩に力が入る。


「えいっ!」


パンッ!


コルクは勢いよく飛んでいき――


うさぎとは全く違う方向へ。


「ありゃー。」


店主が苦笑いする。


「もう一回!」


二発目。


パンッ!


今度は土台をかすめただけ。


「おしい!」


「ほんと?」


「……たぶん。」


店主が苦笑する。


「もう一回!」


三発目。


パンッ!


また違う方向へ飛んでいった。


「むぅぅ……。」


みはるは頬を膨らませた。


残り二発。


その時だった。


拓郎の後ろに隠れていたとうやが、小さく袖を引っ張る。


「……ぼく。」


「ん?」


「ぼくも、あれほしい。」


小さな指が向いた先。


黒いスポーツセダンを模したラジコンだった。


艶のあるブラックボディ。


低く構えたフォルム。


シルバーのホイールが光を反射している。


子どもだけでなく、大人でも思わず見入ってしまうような洗練されたデザインだった。


「これ?」


海斗がしゃがみ込み、とうやと目線を合わせる。


とうやはこくりと頷く。


「うん。」


「お兄ちゃん、とって。」


まだ四歳。


自分で撃つより、最初から海斗に託すことを選んだらしい。


海斗は優しく笑う。


「オッケー。」


「じゃあ任せて。」


とうやはポケットから大事そうに握りしめていた五百円玉を取り出した。


海斗の手にそっと乗せる。


「お願いします。」


「はい、確かに。」


海斗は店主へ五百円を渡し、空気銃を受け取った。


その瞬間だった。


先ほどまでの柔らかな笑みが消える。


静かに息を吐く。


狙いを定める動作に、一切の無駄がない。


片目を細め、


景品だけを真っ直ぐ見据えた。


まるで空気が変わったようだった。


「……。」


陽奈は思わず息を呑む。


(海斗さん……。)


普段の飄々とした雰囲気とはまるで違う。


ラスクロで見せる”貝類”の姿。


ボスを相手に一瞬の隙を狙う、あの真剣な眼差し。


その横顔は、


夕暮れの光も相まって、まるで映画のワンシーンのように絵になっていた。


思わず胸が高鳴る。


(なんか……ずるいな……)


陽奈は心の中で呟いた。その時だった。


「……。」


海斗は照準を合わせる。


パンッ!


コルクが一直線に飛ぶ。


ラジコンの箱、その中心へ。


コンッ!


綺麗に命中した。


しかし。


箱が僅かに傾いただけ。


倒れない。


「おぉー!」


店主が声を上げる。


「真ん中当てたのに倒れないか!」


海斗は表情一つ変えない。


「……なるほど。」


静かに呟く。


「重心が下か。」


二発目。


今度は少しだけ照準を上へずらした。


「ここだ。」


パンッ!


コルクが箱の上部へ命中する。


ガタンッ!


黒いラジコンの箱が大きく揺れ、


そのまま後ろへ倒れた。


「おぉーー!!」


店主が拍手する。


「見事!」


とうやの瞳がぱぁっと輝いた。


「わぁ……!」


嬉しそうにラジコンを抱きしめる。


そして先ほどまで人見知りしていたのが嘘のように、


海斗へ駆け寄った。


「ありがとう!!」


ぎゅっと海斗の足へ抱きつく。


海斗は目を丸くしたあと、


優しく頭を撫でた。


「どういたしまして。」


その様子を見ていたみはるが、


弟のラジコンと海斗を交互に見る。


「……。」


少しだけ頬を膨らませた。


拓郎が苦笑しながら言う。


「みはるちゃんも海斗さんにお願いしてみたらどうです?」


みはるは手元を見る。


残り二発。


少しだけ考える。


そして。


首を横に振った。


「やだ!」


「みーちゃん、自分でやる!」


四発目。


パンッ!


また違う方向へ飛んでいく。


「むーーーー!!」


悔しそうに頬を膨らませる。


その頭へ、


ぽん。


優しい手が乗った。


見上げる。


海斗だった。


「みはるちゃん。」


「一発だけ、お兄ちゃんに貸して?」


みはるは固まる。


残る弾は一発。


うさぎを見る。


欲しい。


でも、自分でも取りたい。


小さな胸の中で葛藤する。


数秒後。


大きく頷いた。


「……わかった!」


勢いよく銃を差し出す。


海斗は受け取り、


優しく笑う。


「よし、いい子。」


「取ってね!!」


「絶対だからね!!」


みはるは少し後ろへ下がる。


「プレッシャーかけすぎですよ。」


拓郎が苦笑した。


海斗は振り返らず、


親指だけ立てる。


「任せて。」


最後の一発。


狙うは、一番上の白いうさぎ。


ラジコンより大きく軽い。


だが。


うさぎの腰は軽く支えられ、


上部は小さな洗濯バサミのようなもので吊り下げられている。


つまり、


的はでかいが、そう簡単に取れない仕組みになっていた。


海斗は暫くうさぎを見つめる。


上部の支えられている位置さえ外せば落ちる。


その為に狙うのは…


小さな洗濯バサミ。


かなり小さな的。


「……ここだ。」


小さく呟く。


パンッ!


コルクが一直線に飛ぶ。


コンッ。


次の瞬間。


コルクが、固定されていた部分に命中。


洗濯バサミがポロッと離れる。


上からの支えが無くなった白いうさぎのぬいぐるみは


一気にバランスを失いふわりと揺れる。


そのまま重力に逆らえず、ふさっと音を立てながら落ちる。


「あっ!!」


みはるの顔が一瞬で輝く。


「やったぁぁぁーー!!」


海斗は歯を見せて笑い、


ピースサイン。


「大好きーー!!」


みはるが勢いよく抱きついてきた。


海斗は少し驚いたように目を丸くしたが、


すぐに優しく笑い返す。


「はい。」


「お姫様。」


ふわふわの白いうさぎを差し出す。


「わーーーー!!」


みはるは大切そうに抱きしめ、


一目散に拓郎の元へ走った。


「たくろーさん!」


「とってもらったよ!!」


「見て見て!!」


「はいはい。」


拓郎は優しく微笑む。


「ちゃんと見てましたよ。」


その様子を見つめながら、


陽奈がぽつりと呟く。


「やっぱり凄いね。」


海斗は得意げに笑う。


「でしょ?」


「惚れた?」


陽奈は吹き出した。


「もー!」


「そういうこと言うと台無し!」


軽く海斗の腕を叩く。


「えー。」


「ひど。」


肩を落とす海斗。


そんな二人を見て、


拓郎が子どもたちを連れて近づいてきた。


「ほら。」


「ちゃんとお礼言って。」


二人の背中をそっと押す。


「かいとさん!」


「ありがとう!」


「……ありがとう。」


みはるととうやが元気よく頭を下げる。


その後ろで、


拓郎も深く一礼した。


「流石でした、海斗さん。」


「ありがとうございました。」


「このくらい全然。」


海斗は照れくさそうに笑う。


そのやり取りを見ながら、


陽奈がしみじみと言った。


「拓郎さん、本当のパパみたい。」


「まあ。」


拓郎は子どもたちを見つめながら微笑む。


「生まれた時からの付き合いですから。」


「いいパパになりそう。」


陽奈が言うと、


拓郎は真顔で頷いた。


「まずは相手を探さなくては。」


その瞬間。


みはるがぱっと顔を上げる。


「じゃあ!」


「ひなお姉ちゃんと結婚したら?」


「「「えっ?」」」


大人たちの声が綺麗に重なった。


陽奈は目を丸くする。


「な、なんでそうなるの?」


「だって。」


みはるはニヒッと笑う。


「お姉ちゃん、かわいいもん!」


小さな子ども特有の、単純思考である。


その愛らしい思考に、陽奈は思わず微笑んだ。


しかし、みはるの言葉を聞いた海斗はすっと陽奈の隣へ立つ。


「んー、それはダメ。」


そう言って


後ろから陽奈を軽く抱き寄せた。


「なっ……!?」


突然の出来事に、陽奈の肩が跳ねる。


海斗は悪戯っぽく笑った。


「ひなちゃんは、お兄ちゃんのだから。」


「ちょっと……!」


陽奈は慌てて海斗の腕を外す。


「私、ものじゃないんだけど!!」


「そういう意味じゃないじゃん。」


海斗は陽奈に引き剥がされた両手を上げながらケラケラ笑う。


「ほんと距離近いんだから!」


「冷たいなぁ。」


「冷たくない!」


「普通の反応なの!」


そんな二人を見て、


みはるは頬を膨らませた。


「えー。ざんねーん。」


「たくろーさん、ふられた。」


するととうやも小さく頷く。


「……ふられた。」


「私は何もしてませんが?」


「なぜ失恋した事にされているのでしょうか。」


なぜか失恋した扱いを受けた拓郎だけが、不服そうに首を傾げていた。


その一言に、周囲は一斉に笑い声を上げた。

ご覧頂きありがとうございます!

是非ブックマーク登録で最新話の更新をお待ちいただけるとありがたいです( *´꒳`*)

「面白い!」「続きが気になる!」と思ってくださったら、ページ下部にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、執筆の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ