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《2章迄完結済15万文字突破!》リアルとゲームのギャップが凄いが何故か絵になる美男美女  作者: 小春日和
第3章 夏祭り編

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第50話 浴衣姿と照れ隠し


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メイン5人のリアルとゲームのキャラクター計10人をイラスト化したスタンプセットとなっています。

たっぷり40個入りです。


「あちー……」


団扇を仰ぎながら、姉の寝室のベッドに寝転がる弟。


女子更衣室(仮)から追い出された朝倉晃である。


あれから二十分ほど経っただろうか。


リビングからは、


「これ、合ってるっけ?」


「ここってどこと結ぶんだっけ……?」


などと、陽奈の不安げな声が聞こえてくる。


「……気になる。」


決して下心ではない。


純粋な心配である。


しかし、こうして待っている間も部屋は暑い。


団扇の風に合わせ、首筋を一筋の汗がゆっくりと伝う。


「扇風機くらい持ってくればよかったな……」


ぼそりと呟いた、その時。


「あーきーらーー!」


リビングから陽奈の声が響く。


晃はベッドからゆっくりと身体を起こした。


「終わったの?」


少し大きめの声で返す。


「終わったー! 来てー!」


その返事を聞き、ベッドから降りる。


リビングへ向かった。


「開けるよ。」


一応声をかけてから、ゆっくりと扉を開く。


その瞬間。


晃の眠たげな瞳が、ほんの少しだけ見開かれた。


そこにいたのは――


紺色を基調とした、落ち着いた雰囲気の浴衣を纏う実莉。


ところどころに散りばめられた淡い桃色の花柄が、上品な中にも可愛らしさを添えている。


そして何より。


鮮やかな赤髪がよく映えていた。


普段の、仕事のできるキャリアウーマンという印象とはまるで違う。


どこか柔らかく、愛らしい雰囲気。


晃は自然と息を飲んだ。


数秒間。


ドアノブを握ったまま固まる。


無言で実莉を見つめていた。


「変……かな?」


その視線に耐えきれず、実莉が口元を隠しながら小さな声で尋ねる。


その仕草すら、妙に可愛く見えてしまう。


「晃!」


パンッ。


陽奈が手を叩いた。


その音で、晃ははっと我に返る。


「んぁ……?」


間の抜けた返事。


陽奈が吹き出した。


「どう? 実莉ちゃんの浴衣姿!」


「普段とのギャップで破壊力抜群でしょー!」


「ちなみに着付け担当は私です!」


胸を張る陽奈。


そんな姉には目もくれず、晃はぽつりと言った。


「……いい。」


「めっちゃ似合う。」


そう言って、ふっと笑う。


ドクン。


実莉の心臓が跳ねた。


「ありがと……。」


思わず視線を逸らす。


(急な笑顔は反則すぎる……。)


すると晃は、浴衣姿の実莉を眺めながら続けた。


「やっぱりいいね。」


「日本人女性の浴衣姿って。」


「……へ?」


実莉はもう一度晃を見る。


もしかして。


似合うって――


私に言ったんじゃなくて。


(日本人女性全般への感想……?)


唖然とする実莉をよそに、晃は語り続ける。


「日本人女性特有の小柄で柔らかな体格を浴衣が引き立てるから、より綺麗に見える。」


「やっぱり和服はいいよね。」


「まさに芸術。」


腕を組みながら語る晃。


無表情。


だけど、どこか少し早口だった。


よく見ると、視線も実莉ではなく遠くを見ている。


完全にオタクの語りモードである。


そんな弟に、陽奈は呆れた視線を向けた。


「ほら、照れ隠ししない。」


「……してないけど。」


眠たげな目が陽奈を捉えながらボソッと呟く。


「はいはい。」


陽奈は晃の肩をぽんぽん叩く。


「つまり?」


「実莉ちゃんは可愛いってことでいいんだよね?」


ニヤリ。


意地悪そうな笑み。


晃はしばらく真顔で姉を見つめ――


諦めたように小さくため息をついた。


「うん。」


「可愛いよ。実莉さん。」


その言葉は。


今度こそ、しっかり実莉に向けられていた。


(今度は……喜んでいいんだよね?)


「ありがとう……ございます……?」


戸惑いながらお礼を言う実莉。


その姿を見て、陽奈は満足そうに大きく頷いた。


「くぅー! おあついねぇ!」


「クーラー、ガンガン効いてるけど。」


冷静なツッコミ。


次の瞬間。


バシッ!!


陽奈の拳が晃の背中に炸裂した。


「いったぁあ!」


背中を押さえながら仰け反る。


そんな晃を無視しながら陽奈は手を合わせた。


パンッ!


「さて!」


陽奈が笑う。


「準備もできたことだし――」


「行こっか、夏祭り。」


実莉も頷く。


こうして、浴衣女子2人と


背中を負傷した青年1人が


夏祭りへと繰り出すのであった。



その頃。


夏祭り会場。


夕方四時から始まった祭りは、すでに大勢の人で賑わっていた。


浴衣姿の女性グループ。


金魚すくいへ向かう親子連れ。


手を繋いで歩くカップル。


様々な人々が行き交う。


屋台から漂うソースや焼き鳥の香ばしい匂い。


祭り特有の熱気が辺りを包んでいた。


そんな中。


少し開けた広場。


大きな木の下に置かれたベンチ。


そこに腰掛け、一人の男が大きく息を吸う。


「これが日本の祭りねぇ。」


深呼吸を終えた男が呟く。


団扇で仰ぐたび、前髪の隙間から整った顔立ちが覗く。


彫刻のような端正な顔。


長い手足。


そして今日は、落ち着いた色味の浴衣姿。


ターニッシュ海斗だった。


いつも以上に目立つ。


通り過ぎる人が思わず振り返るほどに。


「人、多いっすねぇ。」


隣のベンチ。


焼きそばを頬張りながら言う青年。


ツーブロックの黒髪。


袖を肩までまくったTシャツ姿。


海斗のマネージャー、新里虎太だ。


今日は送迎係として会場まで来ていた。


普段なら集合時刻に遅れて来そうな海斗が、


集合場所に一番乗りしているのは、この男のお陰である。


「今年初めて大きな花火が上がるらしいからね。」


海斗が答える。


虎太は焼きそばを口いっぱいに頬張る。


誰よりも早く夏祭りを満喫している。


「食べ過ぎ。」


「焼きそば屋の若い兄ちゃんがオマケで量増やしてくれたんで」


虎太はそう言って親指を立てる。


そんな姿を見つめながら、海斗が尋ねた。


「で?」


「なんでまだいるの?」


「なんでって……。」


本来は、送ったらすぐ去る予定だった。


虎太は真剣な顔をする。


「こんな人混みに男前の海斗さん一人を放置できないっすよ。なんかあったら大変だし。」


焼きそばのソースを頬につけたまま言うので説得力がない。


「本当は?」


「海斗さんが首ったけのハルさんに会ってみたくて」


「観念するの早いな。」


海斗は呆れてため息をついた。


「だって見たいじゃないですか!」


「この海斗さんを本気にさせた人!」


そんな話をしていると――


「お待たせしました。」


「お?」


虎太が空になった容器を袋へ押し込みながら顔を上げる。


海斗もそちらを向いた。


そして。


思わず声を漏らす。


「……え?」


そこにいたのは。


紺色の開襟シャツにベージュのパンツ姿。


胸には黒いウエストポーチがかかっている。


普段よりずっとラフな格好をした峯拓郎。


そして――


彼の両手には、小さな手が一つずつ繋がれていた。



ご覧頂きありがとうございます!

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