表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《3章迄完結済17万文字突破!》リアルとゲームのギャップが凄いが何故か絵になる美男美女  作者: 小春日和
第3章 夏祭り編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
46/69

第43話 ベールに包まれた男の正体

リアギャプに登場するキャラクター達がLINEスタンプになりました!

「リアルとゲームのギャップが凄い人達」

で是非検索してみてください☆

たっぷり40個入りです( ˘ᵕ˘ )


「よし、行こうか」


海斗の一言で行動が始まる。


椅子から立ち上がると、モデルのようにスラリと長い足が顕になった。


ただそこにいるだけで絵になる男。


パーマをかけたように綺麗にうねる栗色の前髪をかき上げると、彫刻のように整った顔立ちがよく見えた。


そのまま会計へ向かう。


ラーメン屋から放送局へ。


海斗のもう一つの顔が待つ場所。


「今日、発声練習してないわ」


「えー、控え室でちゃんとやってくださいね?」


それは――


まだ誰にも言っていない。


バレてもいない。


五年来の付き合いになるラスクロのいつメンにも。


もちろん陽奈にも。


顔を伏せて活動しているから。


シンガーソングライター『Veil』。


その正体は、この男だった。


ーーー


「やばいっす、海斗さん」


放送局へ向かうタクシーの中。


車に乗る前に先程までのTシャツからジャケット姿へ着替えた新里虎太が、口元を押さえながら深刻そうに顔を寄せてきた。


「なに?」


海斗もつられて顔を寄せる。


「俺……」


小声で言う。


「息、臭いかもしれない」


「ブッ」


あまりにも間抜けな内容に、海斗は思わず吹き出した。


「ちょ! 笑い事じゃないんすよ! ガチで!」


本人は至って真剣らしい。


「トラちゃん、とんこつラーメンなんか食うからだろー」


「俺は一応さっぱり系だったから大丈夫だわ」


「海斗さんもタバコ臭いっすからね??」


負けじと反撃してくる。


「えー、マジ?」


「でも匂いはテレビに映らないから」


そう言いながら虎太から少し身体を離す。


そして窓の外に視線を向けつつ、ポケットから取り出したガムをさりげなく口に放り込んだ。


「気にしてんのかい」


虎太がツッコむ。


海斗はそんな虎太にもガムをひとつ差し出した。


「いる?」


「いる」


即答だった。


「ありがてぇー」


ガムを口に放り込む虎太を見て、海斗は少しだけ笑う。


窓の外の景色が流れていく。


休日ということもあり、人も車も多い。


現場まではまだ少しかかりそうだった。


「やっぱ人多いっすねぇ」


海斗の横からひょこっと顔を出し、窓の外を眺めながら虎太が言う。


「そうだな」


「まあ時間に余裕持って動いてるんで全然大丈夫っす」


しっかり仕事をこなす優秀なマネージャー。


毎回感心してしまう。


「可愛い子探しながら到着待ちません?」


……少しチャラチャラしているが。


「言われなくてももう探してる」


「でた女好き」


「言い方が悪いな」


そんな話をしていると、信号でタクシーが止まった。


ふと歩道沿いの小洒落たカフェが目に入る。


海斗の目が僅かに見開かれた。


視線の先。


カフェのテラス席。


風になびくグレージュのセミロング。


毛先だけが淡いピンク色に染まっている。


若い女性の後ろ姿。


少し強い風が吹く。


淡い色のワンピースの裾がふわりと揺れた。


「お?」


虎太も同じ方向へ視線を向けていた。


もしかして。


あの子は――


陽奈。


信号が青になる。


タクシーがゆっくりと動き出す。


窓の外の景色が流れていく。


やがて女性の横顔が見えた。


そして海斗は小さく息を吐く。


人違いだった。


「だぁー、惜しかったっすねぇ」


同じ女性を見ていた虎太が言う。


「何が?」


「いや、見えそうだったじゃないっすか」


「パンツ」


「え?」


「ほら、さっきのグレージュセミロングの女の子!」


「風でスカートめくれそうだったじゃないですか!」


「思わず凝視したんすけどねー」


「海斗さんも見てたじゃないっすか」


不思議そうに首を傾げる。


「え……ああ」


曖昧な返事。


「なんか今日、いつもと違いますね」


虎太が言う。


普段なら、


『うわー、ギリ見えなかったわ!』


とか、


『可愛い子発見!』


とか。


一緒になって騒いでいそうなものだ。


なのに今日はどこか上の空。


「……あ!」


虎太が何かに気づいたように声を上げる。


海斗の心臓が少しだけ跳ねた。


まさか。


陽奈を探してしまっていたことに気づかれたか。


「緊張してるんすね?」


「初めての生放送出演」


「へ?」


よかった。


そっちか。


そうだ。


自分は今から人生初の生放送に出演する。


テレビ収録の経験はある。


だが今日は違う。


失敗が許されない一発勝負。


ぼんやりしている場合じゃない。


「まあ、そうだな」


静かに答える。


「なんだ」


虎太が笑う。


「大丈夫っすよ」


「海斗さん、本番にめちゃくちゃ強いじゃないですか」


「それに」


胸を張る。


「俺がついてます」


「それ安心要素なの?」


「ひど」


思わず笑う。


でも虎太がいると、いつもの調子が少しだけ戻ってくる。


「ほら、着きますよ」


ジャケットを整えながら虎太が座り直す。


窓の外には大きな放送局の建物。


「気合い入れていきましょ!」


元気な声が車内に響いた。


ーーー


放送局のエントランス。


入口近くに黒いタクシーがゆっくり停車する。


海斗はマスクをつけたまま車を降りた。


虎太は車内で支払いを済ませ、運転手へ礼を言っている。


荷台からアコースティックギターケースを取り出し、肩へ掛けた。


「ふぅ」


自動ドアの前に立つ。


深く息を吸い込む。


忙しく行き交う人達。


スタジオ特有の空気。


照明機材の匂い。


どこか緊張感を含んだ独特の空気。


テレビ局に来た時にしか感じない匂いだった。


「お待たせしました!」


荷物を抱えた虎太が駆け寄ってくる。


「んじゃ、行きましょっか」


受付を済ませ、控え室へ向かった。


「お疲れ様です! Veilさん!」


関係者たちが次々と挨拶をしてくる。


「お疲れ様です。今日はよろしくお願いします」


笑顔で返す。


控え室へ到着する。


「ここで待っててくださいね!」


「また呼びに来るんで!」


荷物を下ろしながら虎太が言った。


その時。


「新里マネージャー! ちょっとこっちでスケジュール確認お願い!」


スタッフから声が飛ぶ。


「あっ、はい! 今行きます!」


そして海斗を指差した。


「ちゃんと喉温めといてくださいね?」


「やるやる」


「その返事、やらないやつじゃないですか!」


「ほんと頼みますよ!」


「大事な生放送なんですから!」


そう言い残し、足早に去っていく。


現場入り早々忙しそうだった。


足音が遠ざかる。


控え室は一気に静寂を取り戻した。


海斗はギターを取り出す。


部屋に置かれていた丸椅子へ腰掛ける。


軽く深呼吸。


発声練習を兼ねて歌い始める。


今日披露する予定の曲。


『Between』


歌いながら、ふと陽奈の顔が浮かんだ。


思わずギターを弾く手が止まる。


「……思ってるより重症かもな」


誰もいない控え室。


小さく呟く。


そして少しだけ笑った。


しばらくして。


コンコン。


ノックの音。


「挨拶回りしてリハ向かいますよ! Veilさん!」


虎太が顔を覗かせる。


八重歯を見せて笑っていた。


「よし」


海斗は両手で頬を軽く叩く。


ペチッ。


気合を入れるための音。


スイッチが入る。


このドアを開けた瞬間から――


ターニッシュ海斗ではない。


シンガーソングライター『Veil』として。


彼はスタジオへ向かって歩き出した。

ご覧頂きありがとうございます!

今回はシンガーソングライターVeilの招待についてのお話でした。

実は、Veil。第29話 『のんとあっくんの距離』にも少し出ています。

宜しければそちらも合わせてお読み下さい♩

是非ブックマーク登録で最新話の更新をお待ちいただけるとありがたいです( *´꒳`*)

「面白い!」「続きが気になる!」と思ってくださったら、ページ下部にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、執筆の励みになります!星1つでもとても嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ