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《3章迄完結済17万文字突破!》リアルとゲームのギャップが凄いが何故か絵になる美男美女  作者: 小春日和
第2章 限定カフェ編

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第39話 あっくんの元カノ


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たっぷり40個入りです( ˘ᵕ˘ )


挿絵(By みてみん)



「まずいなぁ……」


陽奈は誰にも聞こえないくらい小さな声で呟いた。


視線の先。


実莉は微動だにしていない。


告白の言葉を聞いた瞬間から、まるで時間が止まったようだった。


普段なら何かしら反応する。


茶化すとか。


驚くとか。


照れるとか。


なのに今は違う。


ただ黙って晃たちを見つめている。


陽奈は思わず頬を掻いた。


(あー……)


(これは完全に自覚ないやつだ)


実莉自身もまだ気付いていないのだろう。


でも陽奈には分かった。


今の実莉の顔は、ただの友達を見る顔ではなかった。


だからこそ厄介だった。


本人が気付いていない感情ほど面倒なものはない。


そんな事を考えている間にも、晃たちの会話は続いていた。


「……」


晃は何も言わない。


予想外だったのだろう。


香澄もそれは分かっているらしい。


少し不安そうに晃の顔を見つめている。


「あっくん……?」


恐る恐る呼びかける声。


晃は視線を落とした。


大学を辞めたあの日。


香澄にも何も言わなかった。


連絡もしなかった。


きちんと別れ話をしたわけでもない。


自然消滅。


それが一番近い表現だった。


だから後ろめたさはある。


それでも。


答えは決まっていた。


「……ごめん」


静かな声だった。


香澄の肩が小さく震える。


「今は彼女を作る気になれないんだ」


「恋愛はしたくない」


あまりにも真っ直ぐだった。


曖昧さがない。


期待を持たせる余地もない。


香澄は少しだけ目を伏せた。


「……そっか」


無理に笑おうとしているのが分かる。


見ているこっちまで胸が苦しくなるような笑顔だった。


「でも」


香澄はスマホを取り出す。


「連絡先交換くらいなら、いいよね?」


晃は少し考える。


そして首を横に振った。


「それもごめん」


「できない」


「なんで?」


「え、なんでって……」


「好意持たれてて断ったのに、

香澄がその気のまま連絡し続けるのは気まずいし」


陽奈は思わず額を押さえた。


(あー……)


(晃だなぁ……)


悪気は一切ない。


むしろ誠実だ。


変に期待させるくらいなら距離を置こうとしている。


でも言い方が不器用すぎる。


案の定、香澄は一瞬固まった。


しかし次の瞬間。


ふっと吹き出した。


「ふふっ」


「なに?」


晃が眉をひそめる。


「いや、変わってないなと思って」


「昔からそうだった」


香澄は笑う。


少し寂しそうに。


でもどこか嬉しそうに。


「じゃあさ」


「本当に普通のお友達ならいいんだよね?」


「……まあ」


「じゃあそうしよ?」


「もう告白したりしないから」


「ね?」


晃は困ったような顔をする。


その表情を見て、香澄は追い打ちをかけた。


「同級生のお友達が一人増えるだけ」


「ダメ?」


しばらく沈黙。


やがて晃は小さく息を吐いた。


「……わかった」


「やった」


香澄の顔がぱっと明るくなる。


スマホを取り出す。


「はい、QR」


「早いな」


「逃げられる前に」


二人は連絡先を交換した。


その様子を見ていた実莉の指先に力が入る。


カサッ。


ビニール袋が小さく音を立てた。


ドラぴこのマグカップ。


限定グッズ。


今日たくさん買った戦利品。


気付けば袋の持ち手を強く握り締めていた。


(……なんでだろ)


胸の奥が重い。


晃は断った。


ちゃんと断った。


香澄とは付き合わない。


恋愛する気もない。


だったら安心するはずなのに。


全然安心できなかった。


むしろ苦しかった。


(恋愛する気ないんだ)


その言葉が妙に引っかかる。


香澄を振った。


違う。


香澄が嫌だったわけじゃない。


恋愛そのものを断った。


つまり。


誰のことも好きになる気は無い。


それだけの事。


なのに。何故だろう。


考えた瞬間、胸がざわついた。


「実莉ちゃん」


陽奈がそっと声を掛ける。


「……ん?」


返事はした。


でもどこか上の空だった。


陽奈は苦笑する。


(重症だなぁ)


本人だけが気付いていない。


おそらく晃も気付いていない。


当事者二人だけが鈍感という最悪の状況だった。


その時だった。


「あ」


香澄が突然こちらを見た。


実莉と陽奈は反射的に身を引く。


だが遅い。


「ひちゃちゃん?」


香澄が声を上げた。


「あ」


今度は陽奈が固まる番だった。


「あー……見つかった」


観念したように頭を抱える。


「え?」


晃が振り返る。


そして。


物陰から出てくる陽奈と実莉を見て固まった。


「なんで隠れてるの」


第一声がそれだった。


「キーホルダー取りに来たらお取り込み中だったみたいだから!」


陽奈が即答する。


「盗み聞きじゃないからね!?」


「途中から聞こえちゃっただけだからね!?」


必死な弁明だった。


むしろ怪しい。


香澄はくすくす笑う。


「ひちゃちゃん久しぶり」


「久しぶりだねー」


陽奈も苦笑いを返した。


一方。


実莉は何と言えばいいのか分からない。


気まずい。


色々聞いてしまった。


でも香澄は気にした様子もなく微笑んだ。


「初めましてですね?」


「源 香澄。

あっくん…晃くんの大学時代の同級生です」


ぺこりと頭を下げる。


「乃村 実莉です」


反射的に頭を下げ返す。


そして。


香澄は実莉を見る。


一秒。


二秒。


何かを考えるように。


それから。


にこっと笑った。


「もしかして」


「ドラぴこキーホルダーの持ち主さんですか?」


「え?」


実莉が目を丸くする。


「袋からドラぴこグッズが沢山見えてる」


「あっ」


「それに……」


香澄は晃の手元を見る。


「あっくん、さっきから大事そうに持ってたから」


その言葉に。


実莉の心臓がドクンと鳴った。


晃は少しだけ気まずそうに視線を逸らす。


陽奈だけがその空気を察していた。


(うわぁ)


(これは大変だ)


胸の中でそう呟きながら。


陽奈はこれから先、もっと面倒なことになりそうだなと密かに確信するのだった。

ご覧頂きありがとうございます!

次のお話で2章が完結します。

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