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《2章迄完結済15万文字突破!》リアルとゲームのギャップが凄いが何故か絵になる美男美女  作者: 小春日和
第1章 5周年記念イベント編〜5人が出会うまで〜

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第3話 ひちゃ、ロックオン中



リアギャプに登場するキャラクター達がLINEスタンプになりました!

「リアルとゲームのギャップが凄い人達」

で是非検索してみてください☆

たっぷり40個入りです( ˘ᵕ˘ )



挿絵(By みてみん)


午後六時。


今日も朝倉陽奈は定時ぴったりで仕事を終えた。


「お疲れ様でした〜」


職員室へ向かって軽く頭を下げる。


中学校の養護教諭。


体調不良の子どもの対応。


怪我の手当て。


保護者対応。


書類仕事。


やることは多い。


だが陽奈は仕事が早かった。


だから今日も定時退社である。


駅へ向かい。


電車へ乗り込む。


そして。


空いている座席へ座る前に。


キョロ。


右。


キョロ。


左。


周囲確認。


警戒体制。


知り合いの顔はない。


生徒もいない。


よし。


陽奈は小さく息を吐いた。


座席へ腰掛ける。


そしてスマホを横向きに持つ。


アプリ一覧。


指は迷わない。


一瞬で目的のアイコンをタップする。


『Last Chronicle Online』


通称ラスクロ。


ログイン画面が表示された瞬間。


陽奈の表情が緩んだ。


帰宅まで待てない。


一秒でも早くログインしたい。


だが。


ゲームしているところを知り合いに見られるのは嫌だった。


特に生徒。


もし見つかったら。


「先生ラスクロやってるん!?」


「先生ハルさんなん!?」


となる。


終わる。


社会的に終わる。


だから警戒は怠らない。


たまに知っている生徒が乗車してくることもある。


その時は。


スッ。


即座にスマホを閉じる。


反応速度だけなら世界大会レベルである。


そのおかげで。


朝倉陽奈は二十六年間。


ゲーム好きであることをほぼ誰にも知られず生きてきた。


ログイン完了。


画面にハルが現れる。


桜色の髪。


毛先は淡い銀色に溶けるようなグラデーション。


ゆるく編み込まれた三つ編み。


丸眼鏡。


長いウサギ耳。


白と桜色を基調とした神官服。


華奢な杖を抱えた文学少女のような雰囲気。


優しく儚げな見た目は、見る者を癒す。


ラスクロでも人気の高い神官キャラだった。


ログインした瞬間。


ギルドチャットが流れる。


『すい♡:たくろー!そっちいったー!』


『拓郎:来い』


『アキ:いやその言い方だと伝わんないでしょ』


『拓郎:そうか』


『アキ:そうかじゃない』


『すい♡:ぎゃーーーーーー』


『拓郎:守った』


『すい♡:たくろーだいすきーーー♡』


『拓郎:うむ』


『アキ:じいさん今日も絶好調だな』


いつも通りだった。


平和である。


『アキ:あ、ハル!おかえり』


ハルのログイン表示に気付いたアキが声を掛ける。


『ハル:ただいまです〜!皆様お疲れ様ですっ!』


『すい♡:今日もかわいいっ♡』


『ハル:ありがとうー!すいちゃんには敵わないよ〜(´>∀<`)ゝ』


傍から見れば。


仲良し女子二人の微笑ましい会話である。


そんな中。


陽奈は即座にフレンド一覧を開いた。


目的は一人。


大量に並ぶ名前の中。


『貝類 オンライン』


いた。


陽奈の目が輝く。


迷わず個人チャットを開く。


『ハル:貝類さん!ただいまです〜』


数秒後。


返信。


『貝類:おう』


きた。


陽奈は思わず口元を押さえた。


『ハル:今日もお疲れ様です!』


『貝類:あぁ』


短い。


短すぎる。


だが。


それがいい。


貝類。


ギルド最強クラスの銃士。


茶髪ツーブロック。


黒い丸サングラス。


ワインレッドの長いマフラー。


黒を基調とした装備。


戦場では誰より冷静。


誰より強い。


口数も少ない。


何を考えているのか分からない。


それでいて。


助けを求めれば必ず来る。


無駄口は叩かない。


必要な時だけ動く。


そんな男だった。


画面を見つめる。


顔が熱い。


電車の窓に映った自分の顔が少し赤い。


『貝類:今日もレイド行くのか』


『ハル:もちろんですっ!』


『貝類:そうか』


終わった。


会話終了である。


だが陽奈は幸せだった。


(いい……)


(めっちゃいい……)


無口。


塩対応。


素っ気ない。


だが。


だからこそ。


(落としたい)


陽奈は一人燃えていた。



三十分後。


アパートへ到着。


二階建ての小さな建物。


階段を上る。


そして。


自分の部屋の前まで来たところで足を止めた。


窓を見る。


明かりがついている。


「……あー」


陽奈は空を見上げた。


「またか」


ため息を吐く。


鍵を差し込む。


ガチャ。


開いた。


鍵が掛かっていない。


犯人は分かっている。


ドアを開ける。


リビングへ入る。


案の定だった。


ソファ。


そこに我が物顔で座る男。


ポテトチップスを食べている。


グレージュの髪。


少し長めの前髪。気だるげな目元。


整った顔立ち。黒いゆるめの服。


芸術家らしい独特の空気を纏った青年。


「おっ」


青年が振り返る。


ポテチを咥えたまま。


「おかえりーひちゃ」


まるで自分の家みたいな顔で言った。


「ただいま」


陽奈は靴を脱ぐ。


そして。


リビングへ入りながら言った。


「なんでいるの」


「合鍵あるから」


青年はソファに腰かけたまま、ズボンのポケットから鍵を出して見せてくる。


「そういう問題じゃないのよー…」


陽奈の口から深いため息が零れるのであった。


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