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《2章迄完結済15万文字突破!》リアルとゲームのギャップが凄いが何故か絵になる美男美女  作者: 小春日和
第2章 限定カフェ編

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第35話 海斗の本音



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たっぷり40個入りです( ˘ᵕ˘ )



「好きだよ」


あまりにも短く。


そして、あまりにも直球すぎる言葉だった。


その一言によって、VIP室の空気は完全に固まってしまう。


しかし当の本人はまるで気にした様子もなく、コーヒーを一口すする。


静寂の中。


「え?」


晃の間の抜けた声だけが響いた。


「ん?」


海斗が不思議そうに首を傾げる。


まるで自分が何かおかしなことを言ったとは思っていないような反応だった。


流石に聞き間違いかと思った晃は、もう一度確認する。


「今、なんて?」


「だから」


海斗は当然のように答える。


「好きだよ?」


そして続けた。


「ひなちゃんのこと」


再び沈黙。


晃は口を半開きにしたまま固まっていた。


その横で、比較的冷静だった拓郎が口を開く。


「どうやら聞き間違いではないようですね」


一度言葉を区切る。


「それは、ライクですか。それとも……」


「んー、ラブの方」


質問が終わるより早く、海斗はさらりと答えた。


そして二人に向かってニヒッと笑う。


再び空気が凍る。


だが海斗はどこ吹く風だった。


窓の外へ視線を向けながら、どこか懐かしそうに口を開く。


「俺さ、このゲーム続けてこれたの、ハルのおかげだったんだよ」


「ゲーム始めたての頃とか、日本語の読み書きそんなに得意じゃなかったし」


「ハル居なかったら、結構序盤でアンインストールしてたと思う」


その言葉と共に、海斗の記憶は五年前へと遡る。


――ゲームサービス開始直後。


まだ誰もが手探りで冒険していた頃。


当時の貝類は基本的にソロプレイヤーだった。


MMORPGは人との関わりが多い。


しかし、日本語の読み書きが得意ではなかった海斗にとって、それは大きな壁だった。


チャットは単語や短文ばかり。


会話は続かない。


自然と一人で遊ぶことが増えていた。


そんなある日。


「ちょっとヘルプ頼めませんか?」


うさ耳がぴょこんと揺らす神官がいた。


恐る恐る声を掛けてきた三つ編み丸眼鏡の少女。


ハルだった。


その隣には、自分の体重より重そうな巨大ハンマーを背負ったグレージュボブの少女。


アキ。


二人は高難易度クエスト攻略のため、銃士ランキング上位だった貝類に協力を頼んできたのだ。


またか。


貝類はそう思った。


上位ランカーに協力を求めるプレイヤーは珍しくない。


経験値や報酬目当てで近づいてくる者も多かった。


そして大抵の場合、手伝いが終われば離れていく。


会話が続かない。


返事が遅い。


理由はいくらでもあっただろう。


だが海斗自身は、それを特に気にしていなかった。


今回も同じだと思った。


「OK」


短く返事をする。


どうせ今回だけ。


そう思いながら。


三人は砂漠エリアにある巨大ドラゴン討伐クエストへ向かった。


戦闘が始まる。


貝類は無駄のない動きで銃を構えた。


ダンッ。


ダンッ。


ダンッ。


三発の銃弾が放たれる。


それぞれが別々の部位へ正確に命中する。


しかし、それは単なる攻撃ではなかった。


敵の体勢がわずかに崩れる。


貝類はその変化を見逃さない。


次の瞬間には敵の動きを先読みし、照準を修正。


最小限の動作だけで位置を変え、次々と急所へ弾丸を撃ち込んでいく。


迷いがない。


無駄がない。


まるで敵の未来が見えているかのようだった。


「なるほど、そこ攻めると崩れやすいのか」


「すご!」


ハルとアキのチャットが流れる。


しかし貝類は返事をしない。


いや、できない。


戦闘に集中していた。


ボスのHPが三分の一を切った頃。


グォオオオオオオオオ!!!


大きな叫び声と共に、BGMのテンポが早くなる。


緊迫した雰囲気。


そして


突然ドラゴンが地中へ潜った。


「ここのボスってブーストすんの!?」


アキが慌てる。


初めてここまでHPを削った二人にとって、第2形態は想定外だった。


「こっから先の動きわかんないんだけど!?」


ハルも焦る。


その時だった。


ハルの足元に巨大な穴が現れる。


「ハル危ない!」


「守って!」


アキが叫ぶ。


ハルも慌ててバリアを展開する。


だが


わずかに遅い。


間に合わない。


そう思った瞬間だった。


黒い影が空へ飛び上がる。


赤いマフラーが夜風に靡く。


丸いサングラスが月光を反射して光った。


貝類だった。


ドラゴンが飛び出す穴の真上。


完全な先読み。


ダンッ!!


轟音。


ハルの横を掠めるように飛んだ銃弾が、出現したドラゴンの急所を正確に撃ち抜いた。


次の瞬間。


画面中央に表示される。


CLEAR


間一髪だった。


静かになった砂漠へ、貝類が着地する。


完璧な戦闘だった。


無駄な動きは一つもない。


そんな彼が最初に口にした言葉は。


「ごめん」


だった。


「……え?」


ハルが固まる。


なんで謝られたの?


意味が分からない。


貝類は続ける。


「先に説明しておけばよかった」


ボスの行動パターン。


第2形態。


危険な攻撃。


事前に伝えていれば、もっと安心して戦えたはずだった。


長文を打てない自分に非がある。そう思った。


そんな自責の念から出た言葉だった。


そして。


「良かった、無事で」


短い言葉。


それだけだった。


ハルはようやく理解した。


この人は謝っているんじゃない。


心配してくれていたのだ。


「むしろ!!ありがとうございました!」


勢いよく返事をする。


「めっちゃ勉強になりました!」


「敵の動き全部先読みしてたよね」


アキも続く。


「スキル発動のタイミングも完璧だったし」


チャットが次々流れる。


当然、貝類はついていけない。


そんな中。


ハルがふと周囲を見渡した。


ドラゴンが消えた砂漠。


静かな夜空。


数え切れない星。


そして大きな満月。


ゲームとは思えないほど綺麗だった。


「ここのダンジョン、こんなに月が綺麗だったんですね」


思わず呟いた陽奈。


その言葉を最後に、チャットの流れが緩やかになった。


海斗は、画面越しに


ゲームの景色、チャットを静かに眺める。


ハルとアキ。変わった2人だ。


そんなことを思いながら。


『月が綺麗』


何故か目に留まったこの言葉。


海斗の手が止まる。


スマホの検索画面を開く。


表示された結果。


――愛の告白。


海斗は目を見開いた。


もちろん違う。


そんな意味で言ったわけじゃない。


分かっている。


分かっているのだが。


無口の自分を含むチームチャットを嫌がることなく、


ごく普通に話をする2人の女の子を見ていると


少しだけ胸が温かくなった。


そんな時だった。


ハルが貝類にメンションする。


「また一緒にクエストしてほしいです!」


「フレンドになってくれませんか?」


通知が表示される。


『ハル』からのフレンド申請。


LAST CHRONICLE ONLINEを始めてから初めて届いた申請だった。


海斗はしばらく画面を見つめる。


そして小さく笑った。


「日本のゲームも悪くないな」


そう呟いて、申請を承諾したのだった。


5年前。出会った頃の記憶だった。



ーーーー


「その後も毎日ハルから個チャ来てさ」


(知ってる)


晃は心の中で頷く。


「あんなに無愛想にしてたのに、

気にかけてくれた子初めてだったから」


(姉ちゃんには、その無口さが逆に刺さってたんだよな……)


晃の心の声。


「なんか、気を遣わない自分を

受け入れてくれてる気がしてさ」


海斗は少し笑った。


「気付いたら好きだったよね」


腕を組みながら懐かしそうに語る。


そこで晃は、ふと気付く。


ハルと貝類。


実際に会う前から。


お互いのことを気にしていた。


それって。


「まって……ハルと貝類って両おも――」


言いかけた、その時だった。


「何の話してんの????」


突然聞こえた声。


男子三人が一斉に振り返る。


そこには。


大量のグッズを抱えた実莉と。


きょとんと首を傾げる陽奈の姿があった。

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