第34話 海斗の衝撃発言
リアギャプに登場するキャラクター達がLINEスタンプになりました!
「リアルとゲームのギャップが凄い人達」
で是非検索してみてください☆
たっぷり40個入りです( ˘ᵕ˘ )
VIP室での食事を終えた後。
実莉と陽奈は二人並んで、再び賑わうカフェ店内へと足を運んでいた。
目的はもちろん――グッズ販売スペースである。
店内は相変わらず大盛況だった。
入口付近から聞こえてくる楽しそうな会話。
グッズを手に取って盛り上がる来店客たち。
レジ前には長い列ができており、限定商品を抱えたファンたちが順番を待っている。
視界のどこを向いても『LAST CHRONICLE ONLINE』一色。
カフェ店員風の衣装を着た人気キャラクター達のアクリルスタンド。
限定描き下ろしイラストを使用したクリアファイル。
カフェメニューを模したストラップ。
ホワイトどらピコのムースケーキ型クッション。
限定Tシャツ。
文房具。
トートバッグ。
ぬいぐるみ。
その他にも数え切れないほどの商品が所狭しと並べられていた。
ゲーム内で見慣れたキャラクター達が現実の商品として並ぶ光景は、ファンにとってはまさに夢の空間だった。
そんな中。
二人が真っ先に向かった場所がある。
「あった!!」
実莉の声が一段高く弾んだ。
その勢いのまま棚へ駆け寄る。
「ドラぴこのマグカップ!!」
棚には真っ白なマグカップがずらりと並んでいた。
側面にはホワイトどらピコが大きくプリントされている。
丸い目。
もちもちした体。
見ているだけで癒される愛らしいデザインだった。
「わぁ……」
陽奈も横から覗き込む。
「本当だ」
「可愛い〜!」
「でしょ!?」
実莉の目が輝く。
完全にテンションが上がっていた。
そして迷いなく一つ手に取る。
ここまでは普通だった。
しかし。
次の瞬間。
二つ目。
さらに三つ目。
ぽん。
ぽん。
ぽん。
当然のようにカゴへ投入される。
「……ん?」
陽奈が首を傾げた。
同じ商品が三つ。
見間違いではない。
完全に同じマグカップだった。
「あのー実莉ちゃん?」
「なに?」
「誰かにお土産??」
「いや?自分用だよ?」
「なんで三つ?」
実莉は不思議そうな顔をした。
まるで『何を当たり前のことを聞いているの?』と言わんばかりである。
そして真顔で答えた。
「観賞用」
一本指を立てる。
「普段使い用」
二本目。
「保存用」
三本目。
堂々と言い切った。
「え?」
陽奈が固まる。
実莉は当然という顔で頷いた。
「三つ必要だから」
「必要なの!?」
「必要」
断言だった。
迷いが一切ない。
陽奈は思わずカゴの中を覗き込む。
全く同じマグカップが三つ。
何度見ても三つ。
「流石に二つでよくない……?」
恐る恐る提案する。
そして一つを取り出そうとした。
しかし。
実莉の手が素早く伸びる。
「いや!」
即座に阻止。
「これは絶対必要なの!」
「三つが最低ラインなの!」
妙に迫力があった。
真剣だった。
本気だった。
ドラぴこへの愛情が重すぎる。
「むしろ普段使い用がコーヒーで黒ずむ可能性が高いから予備込みで四つ欲しいレベル」
「愛が重い!!!!」
陽奈のツッコミが響いた。
近くの客が少し振り向く。
しかし実莉は気にしない。
真剣な顔のまま四つ目へ手を伸ばす。
陽奈が止める。
実莉が入れる。
陽奈が戻す。
実莉がまた入れる。
陽奈がまた戻す。
完全な攻防戦だった。
周囲から見れば何を争っているのか分からない。
だが二人にとっては大真面目である。
その頃。
VIP室。
店内を見渡せるマジックミラー越しに。
男子三人は静かにその様子を眺めていた。
晃。
海斗。
拓郎。
三人とも飲み物片手に店内を見下ろしている。
もちろん声は聞こえない。
だが。
何かを巡って揉めていることだけは分かった。
実莉が棚から何かを取る。
カゴへ入れる。
陽奈が抜く。
戻す。
また入れる。
また抜く。
延々と繰り返している。
「「「……」」」
沈黙。
数秒間。
誰も口を開かなかった。
やがて。
晃がぽつりと言う。
「……あれ何してるんだ」
「わからん」
海斗が片手を顎にやりながら答えた。
しばらく観察する。
また入れる。
また戻される。
まだやっている。
「陳列作業か?」
「絶対違うだろ」
晃が即否定した。
すると。
紅茶を飲んでいた拓郎が静かにカップを置いた。
「あれは、私が推測するに――」
一度咳払い。
そして。
突然高い声を出した。
「保存用と観賞用と普段使い用の三つのドラぴこマグカップが必須なのーん!」
真顔だった。
続ける。
「そんなに買ったら他の人が買えないでしょぉん!」
「そんなの知らないわよぉーん!」
「赤の他人のことより自分の欲が最優先よぉーん!」
「なんて汚れた心なの!アーメン」
完全な一人芝居だった。
しかも。
絶望的に似ていない。
誰のモノマネなのかも分からない。
室内に沈黙が流れる。
晃と海斗がゆっくり拓郎を見る。
拓郎は窓の外を見つめたままだった。
真顔である。
気まずい。
とても気まずい。
だが本人は一切動じない。
軽く咳払いをして続けた。
「つまり」
「三つのマグカップを購入しようとする実莉さんと」
「それを阻止する陽奈さんですね」
急にまともな結論を出した。
「なるほど」
「絶対それじゃん」
二人は納得した。
先程のアフレコは完全になかったことになった。
拓郎も特に触れない。
……多分。
きっと。
「ほんと」
晃が窓の外を見ながら呟く。
「ドラぴこへの愛凄いよな」
「実莉さん」
すると。
海斗がニヤリと笑った。
「晃への愛も結構ありそうだったけどなー?」
「え?」
晃が振り返る。
「何の話?」
本気で分かっていない顔だった。
海斗はさらに笑みを深める。
「ドリンクのストロー」
「関節キスした時の実莉ちゃん」
「あれ絶対……ねぇ?」
意味深に言う。
しかし。
晃は首を傾げた。
「え?」
「なんか変な反応してた?」
海斗が固まる。
「かなり赤くなってたじゃん」
「あー」
晃が少し考える。
思い出したらしい。
そして。
さらりと言った。
「女子ってみんなあんな感じじゃないの?」
「…………」
海斗、停止。
脳内で警報が鳴る。
(みんな……?)
(あれが……?)
(いやいやいや)
全力で否定したくなった。
(晃の飲みかけを誰かが飲んだからって)
(実莉ちゃんみたいに耳まで真っ赤になって)
(会話聞いてないレベルで固まって)
(挙動不審になるか?)
(ならないだろ)
海斗は確信した。
(こいつ)
(女子なら誰でもあの反応すると思ってる)
(……終わってる)
助けを求めるように拓郎を見る。
拓郎は静かに紅茶を飲んでいた。
そして一言。
「重症ですね」
「重症だな」
海斗も頷く。
「だから何が?」
晃だけが分かっていない。
本気で分かっていない。
海斗は肩に手を置いた。
「お前……」
深く頷く。
「なかなか手強いな」
「なんなのこの人……」
晃は気味悪そうな顔でその手を払い除けた。
そして思い出したように言う。
「あ、そういう海斗さんこそ」
「どうなんですか?」
「うちの姉」
ピクリ。
海斗の眉が動く。
「姉って……ひなちゃん?」
「しか居ないですよ」
晃が肩を竦める。
海斗は少し黙った。
窓の外へ視線を向ける。
その先には。
四つ目のマグカップをカゴへ入れようとしている実莉と。
阻止する気力を失い始めている陽奈の姿。
そして。
呆れながらも楽しそうに笑う陽奈の横顔。
その笑顔を見つめながら。
海斗は小さく息を吐いた。
「そうだな……」
静かな声だった。
飾り気もない。
冗談もない。
ただ自然に。
本音が零れ落ちる。
「好きだよ」
その衝撃的な四文字。
あまりにも簡単で。
あまりにも真っ直ぐな言葉。
晃と拓郎は同時に目を見開いた。
完全に固まる。
一方の海斗は窓の外を見たまま。
何事もなかったようにコーヒーへ手を伸ばした。
VIP室に流れる静寂。
その数秒後。
ようやく晃が口を開く。
「……え?」
間の抜けた声だけが響くのだった。
ご覧頂きありがとうございます!
是非ブックマーク登録で最新話の更新をお待ちいただけるとありがたいです( *´꒳`*)
「面白い!」「続きが気になる!」と思ってくださったら、ページ下部にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、執筆の励みになります!




