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《3章迄完結済17万文字突破!》リアルとゲームのギャップが凄いが何故か絵になる美男美女  作者: 小春日和
第2章 限定カフェ編

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第31話 VIP扱い受けました

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カフェに到着する。


開店直後。


それにも関わらず、店の前には既に長蛇の列ができていた。


「うわ……」


思わず実莉が足を止める。


店の外まで伸びる行列。


前回の五周年記念イベントで販売されていた限定Tシャツを着た人。


ドラぴこのぬいぐるみを抱えた人。


ラスクロのアクリルスタンドをカバンに付けている人。


スマホを横に並べてパーティを組みながらゲームをしているグループ。


さらに、拓郎が提案したという子ども向けメニュー目当てなのか、小さな子どもを連れた家族の姿まで見える。


ゲームイベント特有の閉鎖的な雰囲気はなく、


まるで大型テーマパークのような賑わいだった。


「うわぁ……本当に大繁盛だ……」


実莉が感心したように呟く。


「最終日ですからね」


拓郎が答えた。


「SNSでもかなり話題になっていますし」


「今日が一番混雑しているかもしれません」


そう話している間にも、


列は少しずつ長くなっていく。


後ろからも次々と人が集まっていた。


「やば」


海斗が笑う。


「これ何時間待ちになるんだろ」


「一時間じゃ済まなさそう」


晃も列を見ながら言う。


「とりあえず並ぼ!」


陽奈が元気よく最後尾を指差した。


「確かにな」


「そうだね」


「賛成」


四人は自然と列へ向かおうとする。


だが。


一人だけ動かなかった。


「何してるんですか」


拓郎だった。


その場から一歩も動いていない。


「え?」


海斗が振り返る。


「列に並ぼうとしてるんだけど」


「少しこちらへ」


拓郎が手招きをする。


その様子に四人は顔を見合わせた。


陽奈は首を傾げる。


実莉も不思議そうな顔をしている。


海斗は何か面白いことが始まりそうな顔。


そして。


晃だけは何となく察したような顔をしていた。


「なになに?」


陽奈達が戻ってくる。


「もしかして」


晃が先に口を開く。


「裏口使う感じ?」


怪訝そうな表情。


拓郎は少しだけ目を細めた。


「まあ」


「簡単に言うとそうですね」


「ほらー!」


陽奈が嬉しそうな声を出す。


「VIPじゃん!」


「やったー!」


実莉も少しテンションが上がっている。


しかし。


晃だけは微妙そうな顔をしていた。


「それさ」


「ズルにならない?」


その言葉に三人が一斉に晃を見る。


「いくら拓郎さんが運営側だからって」


「俺らだけ並ばないのはなんか違くない?」


意外と真面目である。


こういう所だけ妙に常識人だった。


実莉も少し考える。


確かに。


楽しみにして並んでいる人達が沢山いる。


その横を素通りするのは気まずい気もする。


だが。


「変なところで真面目出さないでよ」


陽奈が頬を膨らませる。


「思ったこと言っただけ」


晃は真顔だった。


「せっかくVIPなのに」


「まだVIPって決まってないから」


「もうVIPでいいじゃん」


「よくない」


姉弟が言い合いを始める。


その様子を見ながら、


拓郎は静かにため息を吐いた。


そしてメガネを押し上げる。


「これはズルではありません」


いつもの説明モードだった。


四人が黙る。


「前回の五周年記念イベント」


「その中でも特に武闘大会は大盛況でした」


あの時のことを思い出す。


巨大なスクリーンに映し出された拓郎とアキ。


まだデモンストレーションの段階で


歓声と熱気に包まれていた。


「私と晃さんはそこで顔が割れています」


「特に晃さん」


拓郎が視線を向ける。


「軽く有名人になっています」


「かなり、の間違いでは?」


海斗が補足した。


「それ」


実莉も頷く。


あの日の武闘大会以降。


SNSではアキの中の人として話題になった。


ゲーム内でも。


「イグニスレイドのタイムアタックにも影響出てましたよね」


実莉が言う。


「出てた」


晃が即答する。


「知らない人からフレンド申請飛んでくるし」


「PT募集で名前出されるし」


若干うんざりしていた。


「この状況楽しもうかなとか言ってた人が何をいう」


陽奈が言う。


「流石にやられすぎたらうんざりくらいすんだよ」



「今日の服装を見る限り」


拓郎は続ける。


「変装する気も無さそうですし」


全員が晃を見る。


黒パーカー。


グレージュマッシュ。


眠そうな目。


完全にいつもの晃だった。


隠す気ゼロ。


しかも。


周囲を見ると。


既に何人かの女性客が晃を見ながらヒソヒソ話している。


「あれアキさんじゃない?」


「え、マジ?」


「顔良……」


聞こえている。


本人にも。


「……いるな」


晃が遠い目をした。


「店内で騒ぎになられても困るんです」


拓郎が言う。


「なるほど」


晃が納得した。


「それなら分かる」


そして。


拓郎の視線が次に向く。


海斗だった。


「そして」


「リアルレイド体験ぶっちぎり一位」


「海斗さんも十分有名人です」


「えー」


海斗が笑う。


「俺そんな有名?」


「照れるなぁ」


呑気な海斗である。


「もう少し自覚してください」


そんな海斗に向けられる拓郎の目が冷たい。


蛇がカエルを見るような目だった。


「はい」


「すみません」


即座に謝る海斗。


圧に負けていた。


海斗は肩を落とす。


だが。


確かに拓郎の言う通りだった。


この五人が普通に入店したら。


間違いなく目立つ。


アキ。


拓郎。


KAITO。


五周年イベントで話題になった人物だ。


ラスクロプレイヤーなら気付く人も多いだろう。


「ですから」


拓郎が言う。


「別の席を用意しています」


「別の席?」


実莉が首を傾げる。


「まあ」


拓郎は少しだけ間を置いた。


「簡単に言うとVIP席ですね」


「VIP!!」


女子二人が同時に反応した。


「やったー!」


「すごい!」


完全に乗せられている。


晃は呆れた顔をした。


「単純だな……」


「VIPだよ?」


陽奈が真顔で言う。


「VIPだよ?」


実莉まで乗っかる。


「二人とも弱いな」


「普段なら味わえないんだよ!この特別感!」


晃は理解を諦めた。


海斗が笑う。


「確かに、普通に店内入ったら面倒そうだしね」


「俺も賛成」


こうして全員納得した。


それを確認した拓郎は歩き出す。


向かう先は店の裏手。


スタッフ専用入口だった。


「結局さ」


歩きながら晃が言う。


「拓郎さんってプライベートで来てるの?」


「仕事で来てるの?」


実莉も少し気になっていた。


すると拓郎は振り返る。


そして真顔で答えた。


「私にも分かりません」


「え?」


「どういうこと?」


陽奈が笑う。


拓郎は肩をすくめた。


「そういう性分なんです」


完全に開き直っていた。


そんな拓郎を見ながら。


四人は思わず笑う。


そして


一般客の列を横目に見ながら、


五人はスタッフ専用入口へ向かって歩いていくのだった。

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ご覧頂きありがとうございます!

少しづつではありますが、お話の更新を頑張って参ります。是非ブックマーク登録で最新話の更新をお待ちいただけるとありがたいです( *´꒳`*)


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