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《3章迄完結済17万文字突破!》リアルとゲームのギャップが凄いが何故か絵になる美男美女  作者: 小春日和
第2章 限定カフェ編

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第29話 のんとあっくんの距離

◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈


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◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈


夕食を食べ終えた後。


「ごちそうさま」


実莉が手を合わせる。


本当に美味しかった。


思わずおかわりしそうになったくらいだ。


「じゃあ片付けるか」


晃が立ち上がる。


そんな晃を見て、


「私も手伝う!」


実莉も反射的に席を立った。


「いいのに」


「ご飯作ってもらったんだから、これくらいはさせて」


そう言って食器を持ち上げる。


すると横から陽奈が手を振った。


「じゃあ私はデザートとお菓子用意しとこー!」


そう言いながら、先程買ったパンパンの袋へ手を伸ばす。


こぼれ落ちそうなくらい、お菓子の箱や袋が詰め込まれていた。


さらに冷蔵庫を開け、デザートとチューハイを取り出す。


「並べとくねー!」


両手に酒とデザートを抱え、リビングへ向かう。


そしてしばらくして――


プシュッ。


静かに缶を開ける音が聞こえた。


その音を晃は聞き逃さなかった。


皿を運びながらリビングへ目を向ける。


陽奈と目が合う。


「あ、バレた」


そんな顔をしていた。


晃はため息をつく。


「絶対ただ飲みたいだけじゃん」


「バレたか」


頭をかきながら照れ笑いをする陽奈。


「静かに開けれたと思ったんだけどなー」


まったく反省していない。


そのままチューハイを飲み始めた。




数分後。


キッチン。


シンクの前には晃。


その隣には実莉。


二人並んで皿を洗っていた。


意外にも息が合う。


洗う人と拭く人。


自然と役割が分かれていた。


「へぇ」


晃が言う。


「手際いいね」


「一人暮らし長いからね」


実莉が答える。


(まあ料理は晃くんほど上手くないけど……)


心の中でそっと付け加える。


「晃くんこそ、料理だけじゃなくて片付けも慣れてるんだ」


「まあ」


「やらないと部屋が死ぬから」


妙に説得力があった。




その時だった。


実莉が棚へ手を伸ばす。


「この調味料ってここでいいのかな?」


カレー作りで使った調味料を戻そうとしたのだ。


背伸びをする。


少し高い。


「あっ、それは――」


晃が止めようとする。


だが食器洗いで手が濡れている。


一瞬遅かった。


ガタン。


棚の奥で何かが揺れる音。


「ちょっ!」


晃が慌てて手を拭く。


実莉が手を伸ばした先。


保存容器が傾いていた。


「あっ」


落ちる。


そう思った。




次の瞬間。


横から手が伸びる。


ガシッ。


落ちる寸前で容器を掴む。


同時に。


実莉の肩を支えるように腕が回った。


「……危な」


低い声。


すぐ耳元。


晃の息が微かに耳へかかる。


実莉が固まる。


近い。


近すぎる。


振り向けば顔がある。


距離は十数センチ。


晃の腕が自分の体の横を通っている。


完全に囲われていた。


そして晃も固まる。


……近い。


思ったより近かった。


ただ助けようとしただけなのに。


結果だけ見るとどう見ても、


抱き寄せているみたいだった。



数秒間の沈黙。



「……」


「……」




お互い脳内処理が追いつかない。


だがすぐ後。


同じ結論へ辿り着いた。


やばい。


これ見られたらまずいやつだ。


そして二人同時に


バッ!!


リビングを見る。


視線の先には


もちろん陽奈。


絶対冷やかされる。


百パーセント冷やかされる。


なんなら写真まで撮られる。


カフェでのオフ会で笑いものにされる。


……終わりだ。


だが


そんな二人の心配をよそに


ソファからは小さな寝息が聞こえていた。


「すぅ……」


陽奈が眠っていた。


空になったチューハイの缶を片手に


完全に寝落ちである。


「……寝てる」


実莉が呟く。


「そういや姉ちゃん、

いつもチューハイ一缶で寝るんだった」


晃も答える。


二人。


同時にほっとした。


「よかった……」


実莉。


「ほんとに」


晃。


そして顔を見合わせる。


まだかなり近い距離にいることに気付く。


「っ?!ごめんなさい!」


先に離れたのは実莉だった。


「いや、こちらこそ」


「ちゃんと言葉で止めれば良かったね」


少しだけ気まずい空気。


付けっぱなしのテレビからは、


陽奈の好きだというアーティスト『Veil』の曲が流れている。


しんみりとした旋律。


妙に今の空気に合っていた。


そんな中、先に吹き出したのは実莉だった。


「なんで私たちこんなコソコソしてるんだろ」


「知らない」


晃が即答する。


ただの事故なのに。


そう思いながらも


二人とも少しだけ視線を逸らした。


そして


そんな二人をよそに。


陽奈は相変わらずソファで眠り続けている。


晃は苦笑しながらブランケットを取り、


そっと陽奈へ掛けた。


寝ながらも、一瞬表情が緩んだように見えた。


その時。


テレビから聞き覚えのあるBGMが流れる。


画面には大きく文字が映し出される。


『LAST CHRONICLE ONLINE』


ゲームのCMだった。


さらに期間限定カフェの告知まで流れている。


「宣伝の規模すご……」


実莉が思わず呟く。


「儲けてるなー」


晃も感心したように言う。


画面に映る


『LAST CHRONICLE ONLINE CAFE』


の文字。


それを見て実莉はふと思い出した。


(そういえば晃くん、来れないかもしれないんだっけ……)


すると。


テレビを見ながら晃が言う。


「依頼」


「頑張って間に合わせるよ」


そう言ってちらりと実莉を見る。


目が合った。


トクン。


心臓が跳ねる。


(びっくりした、心読まれたのかと思った……)


「それと」


晃がポケットからスマホを取り出す。


「連絡先、聞いといてもいい?」


「カフェの日、連絡取らなきゃいけないかもだし」


あまりにも自然だった。


「そ、そうね」


実莉もスマホを取り出す。


連絡先を交換する。


「姉ちゃんにも伝えといて平気?」


「うん」


実莉が頷く。


「良かった、ありがと」


交換が終わる。


ふとリビングを見る。


陽奈はぐっすり眠ったままだ。


クスッ。


実莉は思わず笑った。


「今日は、そろそろお暇させてもらうね」


そう言いながら荷物をまとめ始める。


「そうだ」


晃がテーブルへ手を伸ばす。


「これ持って帰って」


差し出されたのは食後用に用意されていたデザートだった。


「雪いちご大福?」


「うん」


「豆乳クリーム使ってるやつ」


「結構美味いよ」


「家で食べて」


「じゃあ、お言葉に甘えて」


実莉は嬉しそうに受け取り、


大事そうにバッグへしまった。



「駅まで送るよ」


晃が言う。


「いいのに」


「一応」


少しだけ間を置いて。


「前みたいなナンパに絡まれたら大変でしょ?」


その言葉に。


二人とも吹き出した。


実莉と晃。


ふたりで横に並び歩く。


仕事終わり。


重かったはずの足取り。


なんとなく沈んでいた気持ち。


それらが全部、


少しだけ軽くなっていた。


気付けば今日という一日は、


実莉にとって


かけがえのない時間になっていたのだった。



実莉を駅まで送り届けた後。


晃は陽奈の家へ戻っていた。


シャワーを済ませ。


黒のスウェットに着替える。


洗面所で歯を磨きながらリビングへ戻る。


テレビは消えている。


部屋の照明だけが静かに灯っていた。


ソファにはブランケットに包まれたまま眠る姉。


すぅすぅと寝息を立てている。


晃はその姿を見て少し笑う。


「ほんと平和だな……」


そう呟いた時だった。


「んん……」


陽奈が身じろぎしながらゆっくりと目を開けた。


「……あれ?」


ぼんやりした顔。


寝起き全開である。


晃は歯ブラシを咥えたまま振り返る。


「起きた?」


「……あきら?」


陽奈は周囲を見回した。


そして。


何かに気付く。


「あれ?」


「実莉ちゃんは?」


晃は当たり前のように答えた。


「もう帰ったよ」


「え?」


壁の時計を見る。


23時前。


飛び起きた。


「えっ!?」


「うそでしょ!?」


「私寝てた!?」


晃は頷く。


「寝てた」


「しかも結構爆睡」


「うそぉぉぉぉぉ!」


頭を抱える陽奈。


ソファの上で転がる。


「やらかしたー!」


「せっかく実莉ちゃん来てくれたのにー!」


騒がしい。


晃はそれを見ながら笑う。


「姉ちゃん」


「ほんと酒弱すぎ」


「うぐっ」


痛いところを突かれた。


「一缶しか飲んでないはずなんだけど…」


「一缶で寝てるんだよ」


正論だった。


「今度こそちゃんとホームパーティするんだからねーー!」



そんな叫びは届くはずもない実莉宅。


「……おいし」


実莉は1人、雪いちご大福を


ゆっくりと味わっているのだった。

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ご覧頂きありがとうございます!

少しづつではありますが、お話の更新を頑張って参ります。是非ブックマーク登録で最新話の更新をお待ちいただけるとありがたいです( *´꒳`*)


「面白い!」「続きが気になる!」と思ってくださったら、ページ下部にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、執筆の励みになります!星1つ頂けるだけでもモチベーションめちゃくちゃ上がります!


皆様、応援よろしくお願い致します(>人<;)


◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈

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