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《3章迄完結済17万文字突破!》リアルとゲームのギャップが凄いが何故か絵になる美男美女  作者: 小春日和
第2章 限定カフェ編

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第28話 あっくん、モテ要素多すぎ

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ゲーム友達の家にお邪魔している。


文字にするとそれだけだ。


本当に軽い気持ちで来た。


友人とコンビニで偶然会って、


夕飯に誘ってもらって、


お言葉に甘えて着いてきた。


本当にそれくらいの感覚だった。


だが


実莉は今さら気付いていた。


自分は今から男の人の手料理をご馳走になる。


しかも…


少し意識してしまっている男の人の手料理を。


その事実に、落ち着くことができなくなっている。


実莉はこう見えて、


男の人の手料理を食べるのが何気に初めてだった。


だからだろうか。


さっきから妙にそわそわする。


「なにか手伝うことある?」


落ち着かないのを紛らわせるようにキッチンで支度する晃に声を掛ける。


その声で冷蔵庫を開けていた晃が振り返った。


そして実莉を見る。


そこには居心地が悪そうにもじもじしている実莉。


晃は少しだけ首を傾げた。


(…初めて来た家だし、落ち着かないよな)


(気を遣ってしまうのも無理ないか)


確かに落ち着いていないのは事実。


しかし落ち着かない理由の憶測結果が不正解。


完全に勘違いだった。


「実莉さんはゆっくりしてて」


「お客さんなんだから」


相変わらず表情は薄い。


しかし優しい声だった。


「そーだよー!」


リビングから陽奈が手を振る。


「こっちでテレビでも見てよー!」


そう言いながらリモコンを手に取った。


「姉ちゃんは手伝えよ」


晃が呆れた声を出す。


だが。


「あっ!」


テレビが光った瞬間陽奈が突然大きな声を上げた。


音楽番組だ。


「待って待って待って!」


「今私の好きな歌手出てる!」


「聞けよ」


即座に返されるツッコミ。


完全に無視だった。


実莉も苦笑しながらリビングへ向かう。


テレビには一人の男性が映っていた。


高身長。


黒い衣装。


細く長い足。


スタイルが良い。


顔は前髪でほとんど隠れている。


それでも。


なんとなく格好良いのは分かった。


そして。


歌が始まる。


優しく。


どこか儚い声。


耳に心地よく響く。


「あ、この曲知ってる」


実莉が言った。


最近よく耳にする曲だった。


CMでも流れているし。


有線でも聞く。


「でしょー!」


陽奈のテンションが上がる。


「この人最近めちゃくちゃ人気なんだよ!」


「顔出しはしてないんだけどさ」


「スタイルと雰囲気だけでもうイケメン確定なんだよね!」


「しかも声最高!」


「五年前くらいからネットで活動してたんだけど、最近テレビ出演までしちゃってさ!」


早口だった。熱く語っている。


本当に好きなのが伝わる。


「無名時代から追っかけてるよな」


キッチンから晃の声。


もう手伝いを要求する気は完全に失せたらしい。


「うんうん!」


「古参ファン!」


誇らしげだった。


「へぇ」


「なんて名前なの?」


実莉が聞く。


「Veil!」


「ヴェールっていうの!」


陽奈の目が輝く。


「切ない系のラブソングが多いかなー!」


「ちなみに今流れてるのはBetweenって曲!」


「おすすめだから是非聞いて!」


熱量がすごい。


「ベール流れたらいつもこんな感じ」


「晃!ベ、じゃない!ヴェ!!ヴェェ!」


前歯を下唇に当てて、正しく発声して見せる陽奈。


「やめて、つば飛ぶよ、つば」


晃が汚いものを見る目で陽奈のほうを見る。


「覚えてくれたら済む話なの!」


実莉は思わず笑ってしまう。


騒がしい陽奈の座る2人掛けソファへ静かに腰掛ける。


そしてテレビの歌へ耳を傾けた。


歌詞は英語が多めだった。


正直内容はよく分からない。


でも不思議と心に響く。


静かな夜に一人で聞きたくなるような曲だった。


「確かに良い曲だね」


「でしょ!?」


陽奈が嬉しそうに身を乗り出した。


挿絵(By みてみん)


そんな会話をしながら、暫く音楽番組を見ていると


「ご飯できたよ」


キッチンから声がした。


晃がカレーをよそっていた。


「わーい!」


真っ先に立ち上がる陽奈。


子供か。


そう思いながら実莉も立ち上がる。


ダイニングテーブルへ向かう。


並べられたカレー。


サラダ。


スープ。


香りだけで美味しそうだった。


「いただきます」


三人で手を合わせる。


実莉はスプーンを手に取った。


カレーをすくい、口へ運ぶ。


――瞬間。


目を見開いた。


「……え」


思わず声が漏れる。


美味しい。


想像以上だった。


家庭的な味。


だけどそれだけじゃない。


玉ねぎの甘み。


野菜の旨味。


しっかり煮込まれている。


辛さも絶妙。


スプーンが止まらない。


「美味しい……!」


素直な感想だった。


晃は少しだけ驚いたように瞬きをする。


「そう?」


「普通のカレーだけど」


普通じゃない。


全然普通じゃない。


店で出てきても普通に嬉しいレベルだった。


「でしょー!」


何故か陽奈が胸を張る。


「晃、料理上手なんだよ!」


得意げである。


「なんで姉ちゃんが自慢してんの」


晃が呆れる。


「さっきから何もしてないくせに態度だけは一丁前だな……」


「いいの!」


即答だった。


実莉は吹き出す。


本当にこの姉弟面白い。


だがそんなことより。


実莉の頭の中は別のことでいっぱいだった。


(晃くん、料理できるんだ。しかもこんなレベルで。)


ゲームでは無口。


マイペース。


眠そう。


何考えてるか分からない。


そんなイメージだった。


なのに。


料理は上手い。


家事もできる。


姉の面倒も見ている。


優しい。


気遣いもできる。


そして。


さっきコンビニで会った時も。


自然に夕飯へ誘ってくれた。


(待って……)


(晃くん絶対モテるでしょ……!?)


心の中で思わず突っ込む。


むしろモテない理由が見当たらない。


料理できる男は強い。


これは間違いない。


そしてその瞬間


何故か、


焦りに似た感情が自分の中に芽生えた気がした。


「どうしたの?」


陽奈が聞いてくる。


「え?」


「いや、なんでも」


慌てて首を振る。


危なかった。


今の思考は絶対にバレてはいけない。


すると。


向かい側の晃が不思議そうにこちらを見ていた。


「美味しくなかった?」


「違う違う!」


実莉は慌てる。


「めちゃくちゃ美味しい!」


「ほんとにびっくりした!」


その言葉に。


晃は少しだけ目を細めた。


笑った。


……ように見えた。


ほんの一瞬だったけど。


実莉の胸がドクンと跳ねる。


(だめだ)


(今日なんか調子狂う……)


カレーを食べながら。


実莉はこっそり視線を逸らした。


向かい側では。


何も知らない晃が普通にカレーを食べている。


そんな姿すら。


少しだけ格好良く見えてしまう自分がいた。

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ご覧頂きありがとうございます!

少しづつではありますが、お話の更新を頑張って参ります。是非ブックマーク登録で最新話の更新をお待ちいただけるとありがたいです( *´꒳`*)


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