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《2章迄完結済15万文字突破!》リアルとゲームのギャップが凄いが何故か絵になる美男美女  作者: 小春日和
第2章 限定カフェ編

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第26話 くにの気配り

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挿絵(By みてみん)


「先輩の好きなタイプってありますか?」


突然投げかけられた質問。


あまりにも脈絡がなかった。


実莉はフォークを持ったまま固まる。


好きなタイプ。


そう言われて真面目に考えてみる。


すると――


何故か一番に浮かんだのは。


グレージュの髪


眠たそうな目


感情が読めない無表情


朝倉晃だった。


「……」


実莉は完全に停止する。


え。


なんで今?


好きなタイプ聞かれただけなのに。


別にそういう意味じゃない。


晃はただのゲーム仲間の弟で


年下で


変わった子で


それだけのはずなのに。


コンビニ前


イベント会場


ホワイトドラぴこのぬいぐるみ


ゲームのチャット


気付けば何かにつけて晃の顔が浮かぶ。


最近やたらと思い出す。


思い出す回数が増えている。


「……」


「先輩?」


国崎が不思議そうに首を傾げた。


「あっ、ごめん」


慌てて現実へ戻る。


「好きなタイプねぇ……」


誤魔化すようにコーヒーを飲む。


そして少し考えるふりをして答えた。


「普段は何考えてるか分かんなくて」


「読めなくて」


「でも何だかんだ、いざって時に頼りになる人かな」


国崎は腕を組む。


顎に手を当てる。


真剣に考える。


数秒後


「それ俺じゃないすか」


真顔だった。


実莉は吹き出した。


「なにそれ!」


「いや完全に俺ですよ」


「どこがよ」


「全部です」


「そうなの?」


実莉がケラケラ笑う。


その笑顔を見て国崎は少しだけ安心した。


最近ずっと見たかった顔だ。


つられて優しい顔で笑う。


でもその瞳の奥にはほんの少しだけ寂しさがあった。


本当は分かっている。


今の好きなタイプ。


あれは自分のことじゃない。


具体的すぎた。


誰かがいる。


少なくとも頭に浮かぶ誰かが。


国崎は察しが良い。


本人が思っている以上に。


職場で誰より実莉を見ている。


だから気付く。


最近の上の空な様子。


ぼんやりする時間。


どこか遠くを見る目。


もしかしたら実莉には


好きな人がいるのかもしれない。


そう考えると、


実莉の様子の違和感が腑に落ちる気がした。


それでも今はいい。


先輩が自分の目の前で笑ってくれている。


それだけで十分だ。


「のん先輩」


「ん?」


「ほっぺに海苔ついてますよ」


「えっ!?」


実莉が慌てて頬を触る。


左右確認する。


ない。


「えっ?どこ?!」


必死で海苔を探す実莉。


国崎が吹き出した。


「冗談っす」


「なにもう!」


「さっき笑った仕返しです」


「ひどっ!」


頬を膨らませる実莉。


その様子が面白くて国崎は笑う。


そしてミートソースパスタを頬張った。


すると今度は実莉が吹き出した。


「ぷっ」


「え?」


「なんすか?」


「くに」


「ほっぺにミートソースついてる」


国崎が固まる。


「……仕返しの仕返し?」


「違う違う」


「ほんとについてる」


そう言ってスマホの画面を鏡代わりに見せる。


国崎が確認する。


「……ほんとだ」


今度は国崎が赤くなった。


「ほんとフラグ回収うまいわー」


「やめてください」


「面白すぎる」


「先輩笑いすぎです」


「だって!」


二人で笑う。


何気ない昼休み。


だけど妙に楽しい。


実莉がふと呟いた。


「ほんと、くにと居ると退屈しないわ」


その一言に


トクン


国崎の心臓が少しだけ跳ねた。


「……笑って貰えたならそれでいいです」


聞こえないくらい小さな声。


「ん?」


「なに?」


「いや、なんも無いっす」


慌てて顔を逸らす。


実莉は首を傾げたが深くは追及しなかった。


「のん先輩が取ってくれても良かったのになぁ」


「そんなとこまで世話しきれないわ」


「冷たー」


「自分で拭きなさい」


笑い合う。


いつも通り。


賑やかな二人だった。


やがて食事を終える。


「じゃー行こっか」


そう行って席を立ちながら


実莉がお会計のバインダーへ手を伸ばす。


しかしその前に国崎がバインダーを素早く回収した。


「ここは俺が」


「え、いいよ別に」


「楽しかったし」


「ダメです」


即答。


「俺が誘ったんで」


「俺が払います」


妙な圧がある。


実莉が苦笑した。


「…じゃあ甘えちゃおうかな」


「任せてください」


胸を張る国崎。


「ありがとう、くに」


「ご馳走様」


微笑まれる。


国崎は一瞬固まり。


満足そうに頷いた。


その日の午後。


実莉は自分でも驚くほど仕事が捗った。


ランチのおかげだろうか。


気持ちが少し軽くなっていた。




仕事終わり。


都内。


夕方。


オレンジ色に染まるオフィス街。


実莉は会社を出る。


肩からトートバッグを提げる。


仕事が終わって疲れがどっと押し寄せる。


最近、どうもやる気が出ない。


仕事は問題ない。


でも家へ帰ると何もしたくなくなる。


このまま帰宅しても夕飯を作れる気がしなかった。


「今日もコンビニかなぁ……」


ぽつりと呟く。


駅へ向かう途中。


自然と足は近くのコンビニへ向かっていた。


自動ドア。


見慣れた看板。


そして


ここは


晃と初めて会った場所だった。


イベントより前。


ナンパ男から助けてもらったコンビニ。


思い出してしまう。


眠そうな顔


無表情


あの時はまさか


陽奈の弟で


アキの中の人で


5年も共に旅をしてきたゲーム友達だとは思わなかった。


「ほんと不思議……」


苦笑しながら自動ドアへ向かう。


その時だった。


ウィーン


店のドアが開く。


中から誰かが出てくる。


そして


実莉も同じタイミングで店へ入ろうとして。


正面でぶつかりそうになる。


「うわっ」


「あ」


お互い同時に足を止めた。


実莉が顔を上げる。


黒めのパーカー


ふわりと揺れるグレージュのマッシュヘアー


眠そうな瞳


少し驚いた顔


「……あれ」


「実莉さん?」


目の前に立っていたのは


朝倉晃だった。

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ご覧頂きありがとうございます!

少しづつではありますが、お話の更新を頑張って参ります。是非ブックマーク登録で最新話の更新をお待ちいただけるとありがたいです( *´꒳`*)


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